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2009年07月27日

 

第66回 台東区谷中 初音小路~さんさき坂

25周年も夢の途中だと俺は思う

 7月22日。日本中が皆既日食の話題で揺れたこの日は、25周年イヤーを迎えた吉川のニューアルバム『Double-edged sword』のリリース日でもあった。朝のワイドショーの取材も入ったこの日、吉川がテレビクルーを案内したのは台東区の谷中だった。

 最初に目指したのは、日暮里駅から谷中銀座商店街に向かう途中にある『初音小路』。「映画のセットみたいだよね」と吉川が言うその路地には、昔ながらの食堂や飲み屋が軒を並べている。「初めて来たときから、夜に飲みに来てみたいとずっと思いながら何年か経ってしまった。今度来るときまでなくならなきゃいいけど」。小路の中ごろにある『都せんべい』で好物の「ゴマがめっちゃ入ってる」せんべいを購入。パリッとかじると、香ばしい香りが漂った。

 この界隈に来たときはいつも寄っていたという谷中銀座商店街のうどん屋をのぞき、街のにぎわいを楽しみながら商店街を抜け、左に折れると、昔懐かしい駄菓子屋を発見。10円の『おばけ煙』と30円の『セメダイン風船』を買い、「昔はこういうので遊ぶのが楽しくて、かわいいもんだったよねぇ」といいながらその場で遊び始めた吉川は、今でも十分楽しそうな様子だ。

 次に吉川が足を向けたのは、さんさき坂にある和風小物の『いせ辰』。版画模様の江戸うちわが並ぶ中、「これ買おう」と手に取ったのは『かまわぬ』の文様のもの。吉川は『かまわぬ』が好みなのだ。一本の丸い竹を細かく裂いて骨にした江戸うちわは、竹のしなりがよく、風の送りもやわらかい。竹といえば、この連載の元タイトルでもある『蘭心竹生』の“竹のように生きる”という言葉を思い出した。曲げられても戻る。まっすぐに生きる。25周年にあたり、その思いを新たに聞いてみる。

「まあ、まっすぐ行くには無傷ではいられないわけだけど、俺を応援してくれる人たちも、“こいつはどこまでやるんだろうな”っていうのを見たいんじゃないかなと思うんだよね。でもそれは、“どこかでつぶれるかな”っていう思いも反面あるような気がする。見たいような、見たくないような、それはそれで身近に感じるようなね。でも俺は変わらないというか、変われない。生涯いち歌手だし、毎回が真剣勝負。常に自分を越えてかなきゃ次のものは出せないから毎年どんどんキツイけど、人間は年老いていくのか成熟していくのかどっちかだからね。よく“人生折り返し”とか言うけど、折り返してどうすんだよって。むしろ折り返すなよ、進めよって。人生ってひとつの作品であるしかないわけだから、最後に行き着くまではすべてが途上。夢の途中だと俺は思ってるんだよね。アルバムに関しては、ファンの人たちがどういう吉川を望んでるのか、アニバーサリーとしては感謝の意を表すというか、今までありがとう、これからもよろしくっていう意味を込めて、みんなが好きな速くて激しいやつを多めにしたってのはあるけど、自信を持って作った。だから、あとは体のケアをちゃんとして、見るからに健康であることが大事だと思ってる。もっとちゃんと鍛えてね。いくら精神を語っても、健康じゃなきゃ実現できないからね」

 谷中散策はまだ始まったばかり。この後吉川は、ある和菓子屋で大歓迎を受けることになるのだが、そこに至るテレビ取材の詳細も含め、次回に続く。

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10メートルほどしかない『初音小路』だが、趣きアリ 駄菓子屋で『おばけ煙』を大人買い! しめて100円 職人技が光る江戸うちわ。3150円だが「長くもつよ」

2009年07月13日

 

第65回 大久保~歌舞伎町~高田馬場

攻撃と防御は“諸刃の剣”

 大久保にある竹原慎二氏のジムを後にして始まったウオーキングは、新大久保の韓国料理街~歌舞伎町の裏手を通り、戸山、早稲田、高田馬場と続いた。

 韓国料理街では、入り口に『チェ・ホンマン来店の店』と書いてある料理屋を発見。「この狭い入り口、どうやって入ったんだろう(笑)」。通りかかった『金薬局』では店のお姉さんに進められるまま、『とうもろこしのヒゲのお茶』を購入。利尿作用があるというそのお茶は、甘いとうもろこしの味がした。

 ハイライトは偶然訪れた。「バッティングセンターに行こう」という話しになり、歌舞伎町の裏にある施設に向かったところ、そこには数種類の対戦型ゲーム機が。「戦う」という言葉に刺激されたのか、吉川と竹原氏は『太鼓の達人』で対戦することに。「俺、やったことないよ」と吉川。1回目は簡単な曲でやることになり、選曲したのは『ゲゲゲの鬼太郎』。トン、トン、トットトントトン。軽快にリズムを刻み、勝ったのは吉川(音楽人だもの、当然か?)。すると竹原氏が「もうちょっと難しいのでやりましょうか」。選曲されたのは『タッチ』。そしてふたりは、「あー、なんだこれ!」「わからん!」「あっとっとっと」と大笑いの末、初体験のゲームに撃沈された。

 明治通りに出て、戸山公園のほうへ向かう。『白子米穀店』と看板を掲げた駄菓子屋で懐かしいお菓子を買い食い。さらに路地を探索すると、こじんまりした『諏訪神社』を発見。猫が多いこの公園は、珍しいことに猫への餌やりOK。近所の人たちがちゃんと猫のケアをし、時には去勢手術も受けさせているそうだ。ひと休みしながら、ふたりは夜ご飯の相談を始めた。この後は、吉川の高校時代の先輩が経営する広島風お好み焼きの店に行くことになっている。「竹原くんはソバ派? うどん派? 俺は断然うどんなんだよね」。どうやら具材の話をしているようだ。

 お好み焼きの前に、早稲田通り沿いに渋い甘味屋を発見し、甘いものをいただく。大正12年からやっているという『高野屋』は、昭和の香り漂う懐かしさがいっぱい。「お茶飲むなら、こういうとこに来るのがオシャレだと俺は思うんだよね」。氷宇治ぜんざいを頬ばりながら、持論を展開する吉川だった。

 先輩のお好み焼き屋『れもん屋』は、高田馬場の駅近くの路地にあった。酒とつまみとお好み焼きを前に、吉川が竹原氏に「今度ふたりで漫才やらない? ボケとボケだけど、前田日明氏も入れれば3人でボケになる(笑)」と冗談を言って場を盛り上げる。「大事なところで“かむ”のが俺の専売特許」と、竹原氏も応え、食事は笑いと共にすすむ。竹原氏は、例えば吉川のライブに頻繁に訪れるタイプではないが、「いいんですよ。分かるんですよ」と吉川。男同士の絆とは、そういうものかもしれない。ボクシングの話で竹原氏は、「基本的に攻撃も防御なんですよ。ただ避けるだけじゃなく、相手にプレッシャーをかける避け方をしなきゃいけない。距離を取り過ぎて避けると次のパンチが打てないから、前に出て避ける。最初は怖いけど、慣れと、あとは勇気」。含蓄ある言葉に、「まさに諸刃の剣だね」と吉川。奇しくも、常々吉川が口にしていることと重なったのは偶然ではないだろう。必要なのは勇気。7月22日にリリースされるニューアルバムのタイトルが『Double-edged sword』なのも、決して偶然ではないのだ。

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いかにも路地裏感漂う駄菓子屋。子どもにも大人気だ 「にゃぁ~」カメラ目線もバッチリな『諏訪公園』の猫 『高野屋』の氷宇治ぜんざい。氷のシャリシャリ感が◎