第67回 台東区谷中~文京区本郷
25年経っても変わらない、まずまずの人生
8月3日、月曜日の『めざましテレビ』を見た人は吉川が出演していたことをすでにご存じだろうが、路地裏ウオーキングの取材に訪れたのは、『愛子のあいたいYOU』のコーナーを担当する皆藤愛子さん。1984年2月1日に吉川が『モニカ』でデビューする1週間前が誕生日だそうで、最初から「ガーン!」という衝撃をくらった吉川だった。
谷中商店街を抜けたところにある駄菓子屋で合流した後、案内したのは、江戸ウチワを購入した『いせ辰』と、招き猫職人の作品が並ぶ『GALLERY猫町』。こちらは残念ながら閉館日だったが、ここで買った招き猫は吉川のスタジオに飾ってある。作家が作る一点モノがいたくお気に入りなのだ。しかし、どちらかというと犬派の吉川は、その理由を「俺、秋田犬に似てるでしょう」と説明していた。
さんさき坂を歩きながらふと見ると、旨そうな和菓子屋『荻野』がある。目指すは団子なのだが、店のおかみさんが吉川を見つけると大喜びで大サービス。サインを書き、おしゃべりしていると、旦那さんも出てきて、路地裏スタッフ&テレビスタッフ全員に「ウチの名物の団子をどうぞ」と振る舞ってくれた。せっかくのご好意なのでいただくと、柔らかく、みたらしの味もほどよい甘辛加減の旨い団子だった。その後は谷中墓地で徳川慶喜を参り、いかにも細い路地を散策し、言問通りに出たとたんに「ことといきやがれ」と吉川がギャグを言い、古くて粋な鰻屋やバーなどを見学しながら、本郷の東大の近くに『こころ』という渋~い喫茶店を発見して喜び、最終目的地の、金魚を楽しむ納涼喫茶『金魚坂』へ向かった。そこでインタビューを受けた吉川は、25周年の節目ということもあり、さまざまに含蓄のある言葉を繰り出した。曰く、「俺は自分の知らない自分を見せてくれるものにいつもふれていたい。だから、そういうことを気付かせてくれる人に惹かれる。つまり自分と違うタイプ。恋愛もそうじゃない。恋愛って、自分では思いもよらない行動に出ることがあって、俺はどうしたんだって動揺したり、驚いたりするけど、そこで保険をかけると、人間どんどん小さくなっていっちゃう。ハダカでいれば皮膚だって強くなるからね」。物事に対して慎重派かどうかという話題では、曰く、「俺みたいに石橋を叩かないで泳いで渡っちゃうと、たまに思ったより流れが急で流されたり、石がぶつかってきたりする」。そして自身の音楽については、「絶対に変わるもんかと思ってるし、大事なことは変わらないことだと思う」と吉川は話を続けた。「まわりの景色がどう変わろうと、変わらないでいることの難しさ。人間って環境に左右される動物だからね。だから、田んぼのあぜ道を歩いていたときに培った思いを、その後25年経って再会して同じこと言ってたら、まずまずの人生かな」。なーんてね、と言いながら照れる吉川だった。
吉川のなじみであるこの店は、金魚の養魚場に、食事も楽しめる喫茶店が併設され、金魚関連の小物も多く扱っている。店先では金魚すくいも楽しめるということで、さっそくチャレンジ。「皆藤さんとカップルっぽく見えるといいな(笑)」と言っていた吉川だったが、金魚すくいでも勝負は勝負。並んで座るもいきなり真剣な目つきに。狙ったのは水槽の中で一番存在感のある大きな出目金だった。
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