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2009年09月28日

 

第69回 目黒区碑文谷~武蔵小山

商店街で買うのは心意気

 碑文谷の『円融寺』から裏通りをぐるりと周り、『平和通り商店街』に向かうと、とある角で『創作陶器』という看板を出した食器店に出くわした。吉川は興味津々でウインドウをのぞいている。「和食器の店って寄りたくなるんだよね」。さらに進むと、次に出くわしたのは材木店。店の前の材木をコツコツ叩きながら、「オーク材とチーク材って、どっちが北だっけ? 確かオークが北の木で、チークが南の木。どっちも堅い木だよね」。こういうちょっとした知識は、男子ならではの必須事項なのだろう。「この間無人島にロケに行ったとき、竹が生えてたんだけど、日本の堅い竹と違って成長した後も手で折るとグシャっと曲がる。あれはシナチクだね」。お土産話を聞きながらいよいよ『平和通り商店街』に入ると、静かだった住宅街にちょっとした活気がみなぎってくる。銭湯『月光泉』の看板に書かれた“各種シャワー”という文字を目ざとく見つけた吉川は、その言葉がツボだったらしく「各種シャワーって、どんな?(笑)」と楽しそうに笑った。

 ここの商店街のメインは、魚屋、肉屋、総菜屋などが軒をつらねた一角。さっそく魚屋をチェックすると、「ここはいい魚置いてる」と満足げ。「尾長鯛っていう魚があったけど、高級魚でウマイんだよ。三宅島とか、あのへんの海域で捕れるんだけど、スーパーとかにはあまり置いてないからね」。そして次の魚屋では店先に並んだサンマをツンツンと指で触り、「今年はサンマが豊漁だけど、これ、イキがいいよ。まだ硬直してないし、くちばしが黄色いでしょ」。さらに奥に進むと、煮物や天ぷらなどの総菜がずらっと並んだ一角があった。「イカゲソの天ぷら食いたい!」。さっそく買ってつまみ食い開始。「軽く揚げてあるからイカが柔らかくてウマイね。どうせ住むなら、俺はこういうとこに住みたいよ」。平和通り商店街がかなり心にささった吉川だった。

「スーパーってのは品揃え豊富だし便利で良いけれど、そのぶん味気ないと思うんだよね。値段は高いし、モノだってこういう店ほど新鮮じゃない。それに、やっぱり商売って“人”でしたいじゃない。売る人と買う人が顔を合わせて仲良くなると変なもの売ろうとしないし、昨日のだから半額でいいやってことにもなる。スーパーとかコンビニにはそれがないから。本当にモノしか売ってない。でも、商店街なんか心意気の“意気”も売ってる。人の思いも一緒に取り引きできるから味わい深いし、やっぱり人ってどこまでいっても人間関係だから、そういうことのおもしろさとか大事さは失いたくないなって思うんだよね」。商店街を抜けた路地を進んでいくと、武蔵小山駅へ通じる通りに出た。それを目黒方向に向かうと、「あれ、すごい!」と、あるものを発見。レトロなその建物をのぞくと、そこは貸しスペースやシェアハウスとしても使われているところで、「シェアハウス体験あり」の看板が出ている。「俺、体験してみようかな(笑)」。コーヒーを注文し、セルフで2階に運び、所狭しと並べられた骨董品の中に座って小休止。さて、無人島、どうでした? と問いかけると、「いやぁ、大変だった」と吉川。「でも、ギリギリの思いをして、自分の小ささとか、いろんなことを感じたのは、結果としていい経験だったね」。この後、吉川が語った無人島での思いは、次回たっぷりとお伝えする。

(つづく)

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どんなシャワーなのかぜひ試してみたい 商店街の路地でじゃれあう猫。絵になる 食欲をそそる出来たてお総菜がドーン!

2009年09月14日

 

第68回 目黒区上目黒~碑文谷

古寺には子ども時代の思い出が

 9月7日。過酷を極めた海外取材から帰国したばかりの吉川は、中目黒のスタジオにいた。身体の肉が落ち、日焼けし、本人曰く「帰還兵みたいだった」という姿は、帰国後数日で少しずつ元に戻りつつあったが、その“今”を写真に収めるべく、吉川を撮り続けているカメラマンの細野晋司氏が、さまざまなアングルからシャッターを切っていた。

「真っ黒になって帰ってきちゃったよ」と吉川。裸の上半身と、ずり降ろしたジーンズからのぞく腰骨のラインが艶めかしい。「昔は素潜り10メートルぐらいいけたけど、今は7~8メートルぐらいしか潜れなかったね。もう酸欠になりそうになりながら貝を捕ったりしたけど、しんどかったよ」。立ち話をするにつけ、そのロケがいかにハードなものなのかが伝わってきた。それに関しては後日改めて報告するとして、帰国後最初のウオーキングで向かったのは、学芸大学の駅近くにある『飯塚精米店』。ここでは自家製おにぎりを作っていて、街角ランキングでも常に上位に入る人気店だ。「こんな店があるんだったら、さっきスタジオでおにぎり食わなきゃよかったな」という吉川だったが、碑文谷公園の木陰で食べたおにぎりは「うまい! これなら食えちゃうね。やっぱりちゃんと作ったものはウマイよ」ということで、鮭のおにぎりを完食。「昔、こっち方面に住んでたときはたまにジョギングに来てた」というこの公園には、ポニーの乗馬を体験できる施設や、ウサギなどがいるミニ動物園があり、中央には大きな池がある。日差しの強い午後は空いたベンチが見つからないほど近隣の人たちに親しまれている公園だ。木陰の柵に腰掛けながら、過酷ロケの写真を何枚か見せてもらった。そこにはかなりオドロキの写真があり、興味はさらにつのる。ロケ話を聞きながら再び歩き始めた道の途中で色っぽい雰囲気の小料理屋の看板を見つけると、「いいねぇ、こういうとこでたまにはしっぽりいきたいねぇ…」。そしてセミの鳴き声と風を感じ、「もう秋だね…」とポツリとつぶやいた。

 目黒通りを越え、碑文谷のダイエーの脇を入ると、駐車場に食い込むように建っている小さな焼き鳥屋が目についた。「行くならこういうとこに行かなきゃ!」。買い食いした焼きたてレバーもなかなかの美味。「誰かの結婚式で来たことがある」というサレジオ教会を過ぎ、『円融寺』に向かう。由緒ある天台宗の寺には、古い仁王門があり、その先には歴史を感じさせる木造の本殿があった。「時を経たものって、やっぱりいいね。醸すものが違う。いろんなものを見てきてるんだろうね。あの(高い床の)下には絶対、あり地獄とかの巣があるよ。子どものころ、そういうのを見つけちゃ、葉っぱとか木でちょんちょん突いて、出てくるのをつかまえて遊んでた。赤土にいるオケラとかもね。オケラは甲冑を着てるみたいで、子どもにとってはカッコイイ虫なんだよ」。少年は虫取りが好きだが、吉川もその類にもれなかったようだ。

 次の目的地を『平和通り商店街』と決め、静かな住宅街を進む。「これいいね!」。見つけたのは『珠算塾』の看板。「今、ヨーロッパとかで流行ってるらしいよ。珠算ができると暗算が速くなるし、脳が活性化されるっていうけど、俺は子どものころ、そろばんを車にして遊んでたよ(笑)」。やはり予想通りの少年だったようである。

(つづく)

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碑文谷公園のポニー舎を見学「馬はいいよね」 碑文谷ダイエー近くにあるこだわりの焼き鳥屋 この看板は渋い! 今から習っても遅くないのか?