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無人島の10日間。俺は退化しているのか、進むのか

 10月2日に『中居正広の金曜日のスマたちへ』スペシャルの中で放送された吉川の無人島生活。VTR終了後、食い入るように見ていた中居の「吉川晃司、なんであんなにカッコイイんだろう」という言葉が印象的だったが、デビュー25周年を機に、「人が太刀打ちできない場所で己の小ささを見つめたい、己を追い込みたい」との思いから始まった10日間の過酷体験について、今週は番外編として吉川に話を聞いた。

「とにかく日中はずっとカメラが回ってる状態だからしんどかったね。寝床を作るにも電信柱くらいありそうな丸太をひとりで運んだり、オオコウモリもオオトカゲもいたしね。でも、何より怖いのはアリだって言われて、それはスタッフも一番怖がってた。普通の小さいアリみたいなんだけど、肉を食いちぎる。一斉に襲われたら動物なんて死んじゃうからね。で、ある日、腹が減ったら食べられるように干物にした魚の欠片をカバンに入れておいて、次の日開けたらカバンの中がアリで真っ黒。俺もさすがに悲鳴をあげたよ。ウワァァァァって。まあ、向こうも必死だからね。ウミガメの卵も1メートルくらい深いところに産んでて、よくここまで母ガメは掘るなと思ったけど、それを食べるためにトカゲも頑張ってそこまで掘る。これは命の競争なんだなと思ったね」

 いきなりすごい話だが、吉川は、「都会にいて伸びたゴムみたいになってた五感が研ぎ澄まされてよみがえるのがよかった」と、真っ黒に日に焼けた顔で島の日々を振り返った。

「夜は本当にひとりぼっちで、最初の夜なんか、寒いし、緊張してるし、珊瑚の死骸が波にもまれてガチャガチャいう音がすごくて眠れなかった。サバイバルの専門家に聞いたんだけど、人間って、壁に囲まれれば囲まれるほど安心して野生の力を失っていくけど、まったく何もない空間では恐怖でなかなか寝れないんだって。マタギの人たちも山の中では一面だけ葉っぱを葺いて壁を作って、壁に背を向けて寝るんだって。で、吉川さんが(島で)葉っぱで壁を作ったのは正解ですって言われたけど、最初に教えてくれよと思ったよね(笑)。一晩だけ、雨も降らずに満天の星が見えた夜があって、それはもうハンパじゃないくらいきれいな星空だったけど、あとは風と雨との攻防。濡れた洋服も乾かせなくて、もう神経衰弱だよね。夜中にひとりで何回も叫んでたから。試されてるんだなと思ったけど、いい加減にしてくれって何度も思った。湿った草で火をおこすのにすごい時間かかって、ボッと火がついたときはすごい喜びなんだけど、記録のカメラが湿気と塩気にやられて撮れてなくてがっかりしたりね。とにかく海がきれいで楽しいなんていう余裕は残念ながらもてなかったな。栄養が取れなくて体が動かなくなるし、島にいる間は本当にやってられなかったけど、帰ってみればいろんな意味でよかったよ。人間、耐えるってことをしないとありがたみが分からないからね。ひとりで何かするってことは、いろんな意味で研ぎ澄まされるし、まず自分を守ることをしなきゃいけないわけだから。でも、“文明という名の堕落”と誰かが言ったけど、人間は最も退化した生き物だと思ったね。人間には道具を作る能力があるから、道具や武器を持ってれば一番強いけど、それをはずされたら太刀打ちできない。掌が柔らかすぎるから、木の葉っぱを持っただけで切れるしね。でも動物はそんなことない。腐らせた餌をしかけてトカゲを捕まえたんだけど、なんでトカゲは腐ったものを食べても大丈夫なんだろう、俺たちは進化してるんじゃないんだって、捕まえたトカゲを見ながらずっとそんなことを考えてたね」

 島を離れるとき、吉川は島に向かって「ありがとうございました」と頭を下げた。「たかが10日間だけど」と吉川は言うが、『たかが』が大きな前進になることは、吉川の秘められた心だけが知ってる気がする。

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