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2009年11月23日

 

KOJI KIKKAWA 25th ANNIVERSARY
『LIVE GOLDEN YEARS TOUR』@ OMIYA SONIC CITY

 デビュー25周年のライブを追って訪れた大宮ソニックシティの大ホール。開演予定時刻からわずかに5分押しで場内が暗転すると、けたたましい歓声が沸き起こった。印象的なオープニング映像が最新アルバム『Double edged sword』を表す剣の形になると、続けてデビュー曲『モニカ』から現在までのレコード&CDジャケットが次々に映し出される。吉川の登場を待つ歓声がピークを迎え、『Purple Pain』でステージの幕が切って落とされた。

 2曲目でサングラスを外した吉川は疾走感のある曲を次々とたたみかけ、バラードではひとりひとりの思いに届けるような、しなやかに伸びる美声を聴かす。MCは最小限。会場からさまざまに発せられる声に、「今日は俺、そういうつっこみには応えないことにしたから(笑)。時間は限られてるからね、1曲でも多くやりたいから」と宣言。そうは言っても持ち前のやさしさでちょくちょく言葉は交わされたのだが、吉川は野生の馬のごとく“美しき常識はずれ”な様相でロックなステージを繰り広げた。

 今から5年前。思えばこの連載のスタートは、デビュー20周年記念の写真集『風上に乞う』の撮影を行ったネパールへの同行取材だった。「弱い動物は、危険を回避するために自分の匂いを相手に知られる風上には決して立とうとはしない。でも俺は、風上に教えを乞いたい」。そんな言葉を発した吉川は、5年間さまざまな風を浴びながら、変わらないでいることの大切さと難しさを改めて感じたように思える。「子供のころに田舎のあぜ道で語った夢が、25年たって変わってなければまずまずの人生」。ここ最近、路地裏ウオーキングの途上で聞いた言葉だ。吉川にとっての風上は流行の先端を走ることではなく、突飛な何かで耳目を集めることでもなく、常に自分との闘争とチャレンジがテーマだったように思える。今、風の向こうに何かが見えているかい?と。

 ステージ上の吉川は、25周年メドレーをはさみ、「じゃ、次はこれからの吉川をやるから」と、ハードなロックを鳴らしていた。ズシリと重いドラムの音、それに食い込むようにうねるギターの音。吉川は、手に持ったスタンドマイクをグラグラ揺らし、片手はヒラヒラと宙を泳がせながら、長い脚をくねらせてステップを踏む。挑戦と、ちょっとした遊び心を象徴するハイキック用のシンバルは、この日もステージ中央でにぶい光を放っていた。蹴り上げられた回数は2回。アンコールで登場した吉川は『真夜中のストレンジャー』を歌い、語らないはずのMCで今の思いを伝えた。「ホントはね、当初『モニカ』よりこの曲がシングル候補だったんだよ。でもなんかそういう運があって、運をうまくつかんでこういうことになってきて、だから、後はちゃんとやんなきゃなって。もう体はいろんなところがボロボロだけど、50周年まで歌おうと」。その言葉に会場から盛大な拍手と「がんばれー!」というかけ声が響く。「頑張れ言うな、頑張ってんだから!(笑)」。44歳の吉川晃司は、軽やかに次の25年への一歩を踏み出した。

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2009年11月09日

 

第71回 世田谷区上用賀~用賀

馬も運動も歌もすべては“丹田”

「馬ってね、何度も乗るとその人間を覚えてる。俺のこと覚えてるなぁと思うと、やっぱりうれしいよね。でね、他の馬に乗ったりすると嫉妬したりもして。そういうの分かったりするとかわいいよね(笑)」。前回、世田谷の馬事公苑からスタートしたウオーキングで、吉川は馬にまつわる興味深い話を聞かせてくれた。公苑の近くにある馬具ショップに立ち寄って乗馬用のパンツを物色しながら、さらに馬の話を聞いてみた。

「馬と関わって分かったのは、すべて“丹田”なんだってことだよね」。吉川が言う“丹田”とは、みぞおちの下からへそ下あたりまでのエリアを指すのだが、すべてのコツはそこが中心だったということだ。「ミュージカルでオペラの発声を習ったときもそうだったし、格闘技もそうだし、乗馬も同じで、乗ってるときは丹田が中心になる。ああそうか、スポーツや体を使うときは何でも一緒なんだって。先生にも聞いたんだよね。“馬も丹田ですか?”って。そうよって言われて、なるほどなと。体を使うことはすべてそこに重心を持ってこられるかどうか。そういう事が分かると何をするにしてもある程度の応用が利くし、そのつながりが面白いよね。俺、乗馬始めて3週間で障害を跳び始めて、5~6度目には落馬して肋骨を折って、ちょうど大河の撮影当日は折れてました(笑)。乗馬やってる人からは、そんなに早く跳ぶなんてクレイジーだって言われたけど、撮影現場では馬鹿でかい照明が焚かれたり、カメラのクレーンが動いてたり、甲冑を着て走り回る連中の怒号が響いたり。馬がビビらないほうがおかしいような状況の中、興奮して人の群につっこんだり、機材を飛び越えちゃったりってケースも少なくはない。ってんで。乗馬歴1カ月であろうがなんであろうが、引き受けた以上、生徒には、少々馬が暴れようが跳び跳ねようが落馬しない程度の力はつけさせておかないと教え手のこけんに関わるってんで、厳しかったけど、おかげさまで障害競技が大好きになった。じゃあいっその事、新人戦にでもなんて冗談も出たけど、出場するからには絶対に優勝できるはず!くらいの力をつけておかないと、やっぱり格好悪いよね」

 馬事公苑から用賀に向かう裏道は、人通りも少なく、のんびりしたムードが漂う。乗馬には知り合いを何人も連れていったそうで、一度乗ればみんな馬が好きになるそうだ。「特に女性のリピート率はほぼ100%」と吉川。「理由はよく分からないけど、女の人は馬と直接つながっちゃうみたい。最初は股の間が擦れて痛いけど、ヒップアップになって脚が細くなって、ボンキュッボンの体になる。ただ、みんなじゃじゃ馬になるね(笑)」。

 用賀中町通りから用賀駅に入る手前、新しくなった街並みにも古くから続く店は何軒か残っていて、路地裏の食堂兼和菓子屋『ミナト』で団子を購入。コーヒー休憩しようと喫茶店『珈琲譚』の扉を開けると、コーヒー豆の香ばしい匂いが漂ってきた。「ああ、いい匂い」。吉川は、旨いコーヒーを出す店と確信したときには必ずブルーマウンテンNO.1を注文する。もちろんこの日もそうだった。コーヒーを楽しみ、シンプルなトーストをつまんだ後、吉川が向かったのは用賀駅近くのリハーサルスタジオ。先ほど買った団子はバンドメンバーと休憩中に食べる差し入れだったのだ。スタジオではすでに音楽が鳴り響いていた。リハを重ねて作り上げられた25周年記念の『LIVE GOLDEN YEARS TOUR』は、来年2月6日の日本武道館ファイナルまで続いていく。

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用賀の裏道で銭湯を発見! 入りたくなるほどきれいな外観だ 仲町通り近くの『ミナト』では軽食や定食も食べられる 用賀駅近くの道には百人一首が。「こういうのいいよね」