KOJI KIKKAWA 25th ANNIVERSARY
『LIVE GOLDEN YEARS TOUR』@ OMIYA SONIC CITY
デビュー25周年のライブを追って訪れた大宮ソニックシティの大ホール。開演予定時刻からわずかに5分押しで場内が暗転すると、けたたましい歓声が沸き起こった。印象的なオープニング映像が最新アルバム『Double edged sword』を表す剣の形になると、続けてデビュー曲『モニカ』から現在までのレコード&CDジャケットが次々に映し出される。吉川の登場を待つ歓声がピークを迎え、『Purple Pain』でステージの幕が切って落とされた。
2曲目でサングラスを外した吉川は疾走感のある曲を次々とたたみかけ、バラードではひとりひとりの思いに届けるような、しなやかに伸びる美声を聴かす。MCは最小限。会場からさまざまに発せられる声に、「今日は俺、そういうつっこみには応えないことにしたから(笑)。時間は限られてるからね、1曲でも多くやりたいから」と宣言。そうは言っても持ち前のやさしさでちょくちょく言葉は交わされたのだが、吉川は野生の馬のごとく“美しき常識はずれ”な様相でロックなステージを繰り広げた。
今から5年前。思えばこの連載のスタートは、デビュー20周年記念の写真集『風上に乞う』の撮影を行ったネパールへの同行取材だった。「弱い動物は、危険を回避するために自分の匂いを相手に知られる風上には決して立とうとはしない。でも俺は、風上に教えを乞いたい」。そんな言葉を発した吉川は、5年間さまざまな風を浴びながら、変わらないでいることの大切さと難しさを改めて感じたように思える。「子供のころに田舎のあぜ道で語った夢が、25年たって変わってなければまずまずの人生」。ここ最近、路地裏ウオーキングの途上で聞いた言葉だ。吉川にとっての風上は流行の先端を走ることではなく、突飛な何かで耳目を集めることでもなく、常に自分との闘争とチャレンジがテーマだったように思える。今、風の向こうに何かが見えているかい?と。
ステージ上の吉川は、25周年メドレーをはさみ、「じゃ、次はこれからの吉川をやるから」と、ハードなロックを鳴らしていた。ズシリと重いドラムの音、それに食い込むようにうねるギターの音。吉川は、手に持ったスタンドマイクをグラグラ揺らし、片手はヒラヒラと宙を泳がせながら、長い脚をくねらせてステップを踏む。挑戦と、ちょっとした遊び心を象徴するハイキック用のシンバルは、この日もステージ中央でにぶい光を放っていた。蹴り上げられた回数は2回。アンコールで登場した吉川は『真夜中のストレンジャー』を歌い、語らないはずのMCで今の思いを伝えた。「ホントはね、当初『モニカ』よりこの曲がシングル候補だったんだよ。でもなんかそういう運があって、運をうまくつかんでこういうことになってきて、だから、後はちゃんとやんなきゃなって。もう体はいろんなところがボロボロだけど、50周年まで歌おうと」。その言葉に会場から盛大な拍手と「がんばれー!」というかけ声が響く。「頑張れ言うな、頑張ってんだから!(笑)」。44歳の吉川晃司は、軽やかに次の25年への一歩を踏み出した。
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