初の民放連ドラ出演「楽しんでやれればいいかな」
4月19日、吉川はお台場のフジテレビ湾岸スタジオにいた。時間はすでに夜10時を回っている。スタジオ前室のモニターには、瑛太が考え事をしながらシャワーを浴びるシーンが写し出されていた。吉川は現在、フジテレビ系連続ドラマ『素直になれなくて』(毎週木曜午後10時~)に出演中。瑛太演じる中島圭介の父親、中島亮介として渋い存在感を光らせている。「でもまあ、俺はちょっと浮いてる感じでしょ。でなきゃ俺に(ドラマの)声をかけるわけないから、ミスター・違和感みたいな(笑)」。そんな冗談を言う吉川だが、かつて恋人同士だった(らしい)風吹ジュン演じる祥子との場面では、ちょっと甘く、せつない目をしたダンディーな男の横顔を見せている。
ドラマの撮影には『待ち』がつきものだ。この夜も、前シーンの終わりを待ちながら、吉川は前室の床で腕立て伏せを始めた。クイックイッと体を揺らし、紙に何かを書き留めると、今度はソファの上でV字になって腹筋。続いて横向きになり脚を上下させる動き、そしてスクワット。何を書いているのか聞いてみると、「何回やったかを『正』でつけてるの。だいたい1日100回ずつくらいやるんだけど、こうやって数をつけると、そこまでやらなきゃと思ってサボらなくなるからね」。日ごろの鍛練はこんなところでも行われていたわけだ。
「亮介さん、お願いします!」。ドラマの現場は役名で呼ばれる。スタジオに向かった吉川を待っていたのは、亮介の自宅のセット。吉川曰く「星飛雄馬か神田川か」という雰囲気の、古びたアパートの狭い一室。わけあってそんな暮らしをしている亮介の過去については、これから少しずつひも解かれていくようだ。それにつれて、祥子との関係も描かれていく。4月22日に行われた第3話のロケでは、亮介と祥子のシーンもあった。「まあ、風吹さんの足をひっぱらないようにやりたいね」。吉川はそう言うが、モニターを通して見た亮介は、男の人生の余韻を感じさせる、深い柔和な笑みを祥子に向けていた。
「今までもけっこう民放のドラマの話はいただいてたんだけど、その時はなかなか触覚が動かなくて。でも、25周年のアニバーサリーだからって、いろんなことをやっていくうちに、やってみるのも面白いかなと。何にしても、物事との関わりって自分の気持ちいかんで、それに尽きるんだなと思って。己の人生というか生き方というか、刺激になるように、前向きになるように作用してくれればいいわけなんだよなと思ってね」
今回のドラマのように、瑛太や上野樹里など若い俳優たちとの共演も楽しいと吉川。「最初、瑛太君の父親役って聞いたときは、えっ、そんな大きい息子がいるの?と思ったけど、実年齢より割と上の設定だったからね(笑)。まあ、何話まで登場するか分からないけど、楽しんでやれたらいいなと思ってますよ」
ドラマの続きは毎週木曜を楽しみにするとして、ところでこの『路地裏ダイヤモンド』はここでいったん休憩とし、しかるべき時期に再開することにさせていただきます。吉川も「新たな路地裏を探るべく、新しい場所を開拓したい」とのこと。来月からは月1回、最終週での連載コラムとし、内容を一新してお届けします。
仮タイトルは『吉川晃司 エッジ・オブ・ハート』。吉川出演のラジオ番組と連動し、音楽にまつわるエピソードからさまざまに広がる吉川ワールドにフォーカスしますので、ご期待ください。ではまた5月末にお会いしましょう。