京浜島といえば、羽田空港を離発着する飛行機を眼前で見られる場所として、飛行機好きの間では有名な場所だ。突端の公園では、機影を撮影する人や、家族連れが遊ぶ姿、散歩がてら自転車で来ている人たちがのんびりとおしゃべりする姿が見うけられる。夕日を待ってのロケ。空がしだいにオレンジ色に染まってくる。
「いいねー、夕日」。ギターを取り出し、吉川がつぶやく。「昔はよく夕日を見に行ったりしたね。上京した当時は東京で360度見渡せる場所ってあんまり知らなくて、車で都心から鮫洲のほうに向かったら、視界がバーンって開ける橋があってさ。今は高層ビルが建っちゃってつまらなくなったけど、そのころはよく行ったね。10代から20代の始めのころ。なんでこんなにせせこましいんだろうなあ…っていう思いもあったし、あとは女の子とデートする時とかね」
景色は変わっても、そのころと変わらぬ夕日が吉川を照らしていた。
番組の最後に吉川がここで歌ったのは『終わらないSunSet』。1987年にリリースされたこの曲はファンの間でも人気の高いスローナンバーだが、この歌が生まれたのも街歩きがきっかけだった。場所は東京ではなくニューヨークなのだが。
「『MODERN TIME』っていうアルバムのころだから、20歳のときかな。深く考慮する暇なんかまるでとれない生活に本当にヘロヘロになっちまったぜえ~ってな感じで、俺はもうNYに逃げちゃうぜえー! みたいなね。でも行ってみたらちゃっかりテレビが待ち構えてたりして、ちょっとさあ~休みじゃねえ~じゃん!って。野郎友達3人で行ったんだけど、俺はひとりで街に出て、それこそマンハッタンの上から下までずっと歩いてた。“どこだっていいんだよ、ここじゃない何処かなら!”みたいな心境で、ただず~っとね。そしたら行き止まりの海に出ちゃって、あたりには何もなくて、シーフードレストランみたいなのを見つけて入ってカニかエビかなんかを食ったんだけど、夕方で、“店はもう終わりだよ”って言われて。で、そこに本当に海に向かうテラスがあって、そこで作ったの。ホント何も考えられないまま、その時の想いだけをそのままにって感じなんだけど、歌ってのはそういうのがいいのかもね。自然に涙が流れてきてたんだよね」
さまざまな出来事や出会った光景が彼の中で沸騰し、歌が生まれる。NYにも“路地裏ダイヤモンド”はあったということだ。
現在は、ニューアルバム『TARZAN』をひっさげての、4月27日からスタートするツアーリハの真っ最中。『KIKKAWA KOJI LIVE 2007 CLUB JUNGLE TOUR "TARZ
AN!"』は、8月18日・両国国技館でのFINALまで続くが、その間も“何かが見つかる”路地歩きは続く。