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2012年01月30日

 

愛と勇気でハードルなんて踏み倒せ!

 いろいろなハードルがバシバシとやってくる感がビシバシのご時世。愛と勇気を持って、ハードルなんて全部踏み倒してやれという気概を持って臨もうではありませんか!」

 2012年初の「D.N.A.ロックの殿堂~吉川晃司 EDGE OF HEART~」の収録は、エネルギッシュなあいさつでスタートした。昨年大みそかにツアーファイナルを終え、お正月は「いつも以上に眠り、元旦は魚をさばき、その後はたまりにたまった書物や見たかった映画を見たり」して、吉川らしい“寝正月”を過ごしたことで、多少はリフレッシュできた? 聞こえてくる声も、いつもに比べて力強い。

 年も明けてそろそろ1カ月。今、吉川が何をしているかというと「残務整理」。前回の収録で正月は2012年にやることを整理すると話していたが、絶賛その作業に追われているという。「去年は後ろにいろいろとほっぽらかしたままで前に向かって走るしかなかった状況だったから、今年はそういったものを拾いつつ、どうするかを考えてる」

 そう話すそばから、さまざまな動きが見えてきた。番組でも紹介した初めてのストレートプレイの舞台『陽だまりの樹』(4月上演)の製作発表が都内で行われ、吉川は「裸でぶつかる」と意気込みを語った。そして、8月25日には映画『るろうに剣心』が公開。そのほかにもいい話が次々にラインアップされているという。

 東日本大震災で傷ついた人たちや地域への支援の動きもまだしばらく続きそう。「やっぱりね、俺は戦争が始まったようなもんだって思ってるから。傷ついた地域、傷ついた人たちのために、他の地域の人間は、生産性を高めてどんどんやっていかなきゃなあって思うんだ」

 原発問題についても同じだ。「専門家でもない俺が、原発のことなどに触れるといろいろ反応や批判の意見もいただいてますよ。俺は活動家ではないけれど、発信できる場所を与えられているということで、みんなで考えていきましょうよっていうことは言っていいと思ってる。徐々に正しい方向に、みんなが元気で、幸せな生活ができる国に戻していかないとおかしいよね」

 もちろん、本分である音楽活動にはより一層力を入れる。「去年いろいろエネルギーを使ったところもあって、支援活動にはどこかで一段落つけないと思考が持たないなって感じなんだよね。よりエネルギッシュにより有効打が打てるようなこともやりつつ、本分の歌もしっかりやっていかないとね。本分は歌い手。ちゃんと曲を書き、詞を作り、楽器を弾いて、CDを作らないと! 会社が潰れたらもともこもないからさ(笑)。だから、今年もファイトでいきます!」


2011年12月26日

 

31日にみんなで乾杯するまでは気が抜けない

 ツアーファイナルを控えて行われた2011年最後の収録はいつも以上に熱かった。

 今回の話題はもちろん、「……むちゃくちゃ働いた」吉川の2011年。3.11以降、吉川は 「日本一心」の旗印のもと、音楽という万能の武器を手に、見えない敵に戦いを挑み、傷ついたものを癒し、立ち上がれる者にはエールを送ってきた。

 7月に東京ドームで行われたCOMPLEXの再結成ライブ、その後は当初から予定されていた自身のツアー。そのほかの活動も含めて、音楽と向かい合った。「100%以上で歌っちゃう」「これほど歌を大事に意識したことはなかった」と吉川。

「初心に還ったというのかな。駆け出しのころは、全力でぶつかるしかないから、全身全霊で臨んでたんだよね。でも、経験を積むほどに、技や知恵がついて、うまいことはしょるようになる。特に3日後にツアーのステージがあるな、なんて考えると余計にね。でもね、知恵も技も得た状態で全力を出すと、もっとすごいことができる。自分でもびっくりするパワーが出たりするわけ。この間『FNS歌謡祭』に出た時もそう。あんなに大音量で歌ったことなかった(笑)」

 音楽と向き合う傍らで、COMPLEXと自身のツアーで集めた義援金を効率的に届けるため、今もなお奔走中。「傷ついていないものがまず全力を出せ」と言い続けてきた吉川らしい。

「どうして動いたのか、なぜそこまで突き動かされたのか――。言葉にするのはすごく難しい。『別冊カドカワの本 愚 日本一心 吉川晃司』(1月12日発売予定)を読んでくれれば少しは分かってもらえるかもしれない。このことについて本を出すのはどうかと思ってたんだけど、実際に被災した人たちを前にしたら、そんなことも言ってられなくて、どうせならやっちゃおうって思ったんだよね」

 1月には、吉川を追ったドキュメンタリー『吉川晃司 ヒーローになれなかった日~新たなる挑戦・日本一心~』(WOWOW、1月20日放送予定)の放送もあり、2011年の吉川の動きの理由が分かりそうだ。

 しかしその前に、恒例の年末ライブが待っている。30日と大みそかの二日間、代々木競技場第二体育館でロックする。

「31日のライブを終えてみんなで乾杯するまでは気が抜けないよ。そのかわり、正月はうまい魚とうまい日本酒で一息つきたい。何よりも、リセットしたり、2012年にやることを整理する時間を作りたいんだ。2011年は全力でやろうって決めたから、闇雲にやってきたけど、それを闇雲に続けていくっていうのだと、自分自身がひっくり返っちゃう(笑)。それじゃ、どうにもならない。年は変わるけど、日本はまだまだ何にも変わってないし、本格的な戦いはこれから。ふんどし締めなおしていこう!」


2011年11月28日

 

フルスロットルの吉川晃司を癒すもの。

 全国ツアー『KIKKAWA KOJI LIVE 2011「KEEP ON KICKIN' & SINGIN'」~日本一心~』も大詰めに近づいてきた。残すは、広島、神戸、名古屋の3都市と、12月30、31日に国立代々木競技場第二体育館で行われるファイナルだ。

 その合間を縫うようにして行われた番組収録。やっぱり今月も吉川の「忙しい」で始まった。前回のコラムでも話していたが、ツアーの合間には、映画『るろうに剣心』での壮絶なチャンバラシーンの撮影もこなしたそう。「17歳でデビューして今年が一番忙しいよ」と、吉川はボヤく。

 ツアーで全国を飛び回る中、吉川はどんなふうに毎日を送っているのだろう?

「朝起きると午前中は筋トレやストレッチ、マッサージを受けて、午後からは会場に入っちゃう。公演の後はスタッフやメディアの人とちょっと飲んで、ホテルに戻って寝る。ツアー中は出て歩くこともままならなくて、そういう生活になっちゃうね。だから公演前日なんかに、行きつけの店にちょろっといってつまむのが楽しみなんだ」

 吉川の癒しはご当地の味! 番組に、北海道での楽しみについての質問が届いたことで、ある味覚との奇跡の出会いについて教えてくれた。

「今日は珍しいものが入ってるからって出してくれたのがさ、なんとししゃもの刺身! ししゃもってさ、すごく数が減ってる。国産のものは本当に少なくなってるから、本当に珍しいものだよ。それで、刺身の話だ。見た目はニシンみたいな感じで、醤油で食べる。もうね、とにかくうまい。説明したいんだけど、何に似てるとかいえない味なんだよなあ。他にも北海道は美味しいものが多いね、厚岸(あっけし)の牡蠣でしょ、あと今回は行けなかったけど、空港のある千歳の王将の赤味噌ラーメン。辛くてうまい」

 何よりも魚が好きな吉川。北海道以外でももちろん楽しみにしている味があるそう。

「福岡ではアラ(一般にはクエ)。胃ぶくろから何から全部食べられる魚だよ。九州はフグっていう人もいるけど、俺はフグよりもアラのほうが好きだね。金沢は、今の季節だったら香箱蟹(こうばこがに)だね。ズワイガニの雌で、そんなに高くなくて一杯200~300円ぐらいで買えたりもするんだけど、このミソがすごくうまいのよ。今週行く広島では、よなき貝。え、牡蠣? 広島の牡蠣はまだ早いね、1月ぐらいになるといいんじゃないかな。広島のは焼いたり、フライにしたり、火を通す食べ方のほうが美味しく食べられると思うよ」

 ライブの合間に少し体調を崩したそうで、「トローチばかり食べて」、「生姜湯を飲んでいる」そう。それもライブに万全の態勢で臨むため。「どこの会場に行っても温かく迎えてもらっているんだよ。このままファイナルまで突っ走るよ」


2011年10月31日

 

『悪い奴らは休まない』。吉川晃司も休まない!?

 日本中を駆けずり回っている」という挨拶で始まった今月の収録。毎回、吉川の口からは「忙しい」という言葉が漏れるが、この秋は「本当に忙しい」らしい。もともと計画していた予定に、東日本大震災のチャリティー公演が加わり、ぐっと仕事量が増えたのがその理由。「まあね、何よりも傷を負っていない人間たちが頑張らなきゃいけない。一生懸命働いてないと被災した人に申し訳ない」と、いつもの調子だ。

 そんな吉川をさらに忙しくさせているのが、映画『るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-』(来年夏公開予定)だ。『ハゲタカ』シリーズや大河ドラマ『龍馬伝』を手がけた大友啓史監督による作品で、主演は佐藤健。先日、吉川を含めて江口洋介や香川照之ら追加キャストが発表され、改めて話題を集めている。

「鵜堂刃衛(うどう・じんえ)っていう人斬りの役。それで、ここのところずっとチャンバラやってるんだけど、普通のチャンバラと違うからこれまでやったことがまったく役に立たない(笑)。それなのに11月にはツアーの合間に壮絶な殺人シーンを撮影することになっちゃってさ。ま、頑張るけどね」

 鵜堂刃衛という役だが、原作を読むとケタケタ笑ったりと特徴がある。それだけに吉川がどう演じるのかさまざまな予測が飛び交っている。

「台本をもらって、俺にこのキャラクターは無理じゃないかって思ったの。それで監督に相談したら、映画なりの刃衛でいいんじゃないかってなってね。原作ファンには怒られちゃうだろうけど少し静かな男になってるかも。あ!ただ、佐藤健くんはそのまんまよ!(笑)」

 来年夏の公開に向けて撮影も大詰め。

「とにかく力が入っているんだよ。京都にも行ったし、滋賀にも行ったし、鳥取も行って、国宝でのロケもあった。本物を使ってるから、映像になったときには結構な絵になると思いますね」

 10月30日から、ツアー『KIKKAWA KOJI LIVE 2011「KEEP ON KICKIN’&SINGIN’!!!!!」~日本一心~』もスタートした。

「気づけば今年もあと2カ月だよ。流されないようにやってかないと、すぐ時は過ぎて、いつのまにかしわくちゃになっちゃう(笑)。俺の理想はクリント・イーストウッドさんとかキース・リチャーズさんみたいにね、顔に皺がワーッとなって……そこにレコードの針を落とすといい音が奏でられるようなの。男の顔っていろいろ出てくるよね。悪い奴は悪い顔してる。ただ、本当に悪い奴は優しそうな顔をしているから気をつけなきゃいけない。ボブ・マーリーは『悪い奴らは休まない』って言ってたね。俺?俺は悪い奴じゃないよ(笑)。俺はそいつらを阻止するために頑張んないとね」

 来月もまた吉川の「忙しい」を聞くことになりそうだ。


2011年09月26日

 

たまにはソフトな話題も。吉川、初めての恋

 実りの秋は番組にも訪れたようで、今回の話題は盛りだくさんだ。ここ最近の不思議な天候の話に、秋の味覚・きのこ鍋の話、そしてチャリティーライブのその後の報告。さらに映画の話に、アルバム『KEEP ON SINGIN'!!!!!~日本一心~』とそれに伴うツアーについてと、さまざまなトピックに及んだ。

 番組には毎回、吉川にあてたリスナーからの熱く力強いメッセージやエールが届く。が、今回はちょっとやわらかい話。「吉川さんの初恋の話が聴きたい」。センチメンタルな気分になりがちな秋におあつらえの話題だ。

「初恋、何をして初恋っていうの?」。吉川は大きな体を照れくさそうに後ろに反らせると、学校の先生や赤いリボンが似合う近所の女の子について語り、「これくらいでいいでしょ、ねっ!」と切り上げた。が、本紙としてはもっとリアルなエピソードを聞きたい。振り返ってみるとコラムでその辺りの話は聞いたこともないし、このチャンスを捕まえて突っ込んでみた。

 少年のころはずっと「バレンタインデーは屈辱の日」だったそうだ。「その日になると『もらってないでしょ』って姉ちゃんがポンと一個くれる、そんな切ない男だった(笑)」

 以前、恋愛関係には奥手と話してくれたことがあるが、初めての恋は中学3年の時だったという。

「相手はね、水泳大会で何度か顔を合わせてた女の子で競泳の選手。その子から手紙をもらったんだよ。俺もいいなって思ってたからすごくうれしかったね。ただ学校も違うし、お互い一生懸命部活をやっていて、頻繁に会えるわけでもなくて。最後には、はっきりしない男は嫌だって振られちゃったよ」

“はっきりしない”という部分について迫ると、実はこの時、初めての恋にして初めての“モテキ”。同じタイミングで、その女の子の友達からも告白されたんだとか。

「初めて好きだって言われて舞い上がってるのに、もう一人さらに好きな子の友達なんてどうしたらいいか分かんない。そりゃ、言われちゃうよね」

 初めての恋は水泳大会の日に終わった。あまりのショックに当日出場予定だった2種目のうち1種目を棄権、残りの1種目で10秒近く自己ベストを更新して優勝したそう。それもまた吉川らしい。

「この(恋愛の)話題では気の利いたことは言えないよ。秋は恋の季節? それもよく分かんない(笑)。ただ、紅葉とか美しい季節だからデートにはいいかもね。きのこ鍋食べたりして。俺がそんなデート?……したこともあったかもね(笑)」 

 今回は残念ながらここでお開きに。時を見つつ、本コラムではこのトピックに “KEEP ON TRYIN'!!!!!”しようと思う。


2011年08月29日

 

吉川晃司の暑くて熱い夏

 数年前までは東京にはいなかったクマゼミが今、すごい鳴いてる。福島でも確認されてるらしいよ。やっぱり温暖化の影響なんだろうね」。

 前回に引き続き、今回もまた夏の暑さからスタートした吉川のトーク。それもそのはず、この日は灼熱という表現がぴったりとはまる真夏日。歩かずとも立っているだけで汗がにじんだ。 

 吉川にとって、今年の夏は暑いだけでなく“熱い”夏だった。7月30、31日に行われたチャリティーライブ「COMPLEX 東京ドームLIVE~日本一心~」、そして、8月6日に広島で行われた「ヒロシマ祭りコンサート」への出演、さらに9月21日に発売されるアルバム『KEEP ON SINGIN'!!!!!』の総仕上げに、映画の撮影。さらに親しい人との別れもあり……。いろんなことがどちゃりと押し寄せた。「てんこもり! 早く秋になってくれ!」とエネルギッシュな吉川も冗談交じりの悲鳴をあげる。東日本大震災を受けて、しばらく前に「できる人は、集中的に仕事をして時間を作って、できた時間を使って自分にできることをしなきゃいけない」と話していたが、まさにそれを実践している動きだ。

 番組には、東京ドームでのライブの感想を述べたメールが数多く寄せられた。

「このタイミングじゃなかったらできなかったと思う。これ、テレビの番組でも言ったんだけど、結構大変だったのよ。21年経てば、プレイヤーもそれぞれ変化しているわけだし、前の曲をそのままやるっていうのはきついんだよね、いろいろと。リハーサル期間中には、背が高くて大きい人とも意見をぶつけ合ったりもしたし(笑)。で、ステージに立ったら立ったで自分がきっかけを作ることを忘れちゃって、みんなに延々と演奏させちゃったりもしたし。頭の中が真っ白になっちゃったんだよね」と、苦笑い。でも、布袋さんの笑顔だけは鮮明に覚えていると話す。「彼も、ギタリストとしてステージに立つことがうれしかったんじゃないかな。あの笑顔、すごかったもの」。その勢いに任せて、次もある?と尋ねてみたが、「そうだねえ……、また21年後じゃない?」。

 ライブの収益金については、より効率的かつ効果的に被災地や被災者のもとに届けようと、最善の方法をリサーチ中だそう。「なるべく早くどうにかしたいんだけど、いろいろ仕組みが難しいんだ。税金とかね。他のアーティストも同じ問題にぶちあたってるみたい」と、吉川もチャリティーや支援の難しさを改めて感じているようだった。

 そんな“熱い夏”を過ごしている吉川だが、ようやく夏休みを取れそうとのこと。「久しぶりに馬に乗りに行こうかな。もう1年ぐらい乗ってないんだ」と目を輝かせた。


2011年07月25日

 

夏に負けない

 日本中どこでも暑いねー。見知らぬ人とでも“暑いですねー”って挨拶しちゃうくらい暑い」とさほど暑さがこたえていないかのような、夏が似合う男・吉川晃司である。このごろはロードワークでもしっかり汗をかく。熱中症が心配される季節でもあるが、彼自身、かつて無人島生活で熱中症を経験したことがあり、「あれ、指が全然動かなくなるんだ。凍傷にかかったみたいにさ。それでナイフを使っていて指切っちゃったもん」と、リスナーにも熱中症への注意をうながすことも忘れない。

 そんな暑さへの対策として、今回の放送で吉川が薦めてくれたのは、やはり植物。「ゴーヤが一時人気でなくなっちゃったけど、ツル植物はいいね。会社では朝顔、夕顔、それからせっかくだからメロン(笑)。もう3つほど実をつけてるんだけどね。本当は間引いたほうがいいそうなんだけど、土の量を考えてそのままにしてます」と相変わらずの様子。「でもね、植物っていいんですよ。ツタ植物の後ろに農業用ネットかけてはわせると遮光にぴったりだし、家の中でも、ちゃんと考えて植物を配置するとサーキュレーション(空気の循環)が変わって涼しくなるし。そうそう、稲なんて、その周辺で温度差ができて風が生まれるそうだし……」。暑さ対策とはいえ、相変わらず植物の話になると止まらない吉川である。

 そしてもうひとつ暑さ対策に挙げてくれたのが食べ物だ。

「ショウガがいいそうなんです。夏野菜は体温を下げるけど、ショウガは体温を上げてくれる。新ショウガで作った“ガリ”をね、冷蔵庫に常備しておいてガリガリと食べてる」

 新ショウガで作っておくのがベターだが、今から作っても悪くない。「お寿司屋さんだったら特別なコツとかあるかもしれないけど、俺は普通に作ってる」そうだ。ショウガといえば、日本酒のアテに「谷中ショウガもいいね」。さらに寝る前には、体温を上げるためにショウガ湯などの温かいものを飲むのもいいとアドバイス。

 こうした体調管理は、ライブに向けた調整のためという意味もある。

「スタミナつけようと思ったら肉よりもニンニク。炭水化物は控えて栄養価の高いソバを食べたりね。最近は、きつねソバとか山菜ソバとか1日に1回はソバだなぁ。俺、スポーツで人格形成してきた人間だから、ライブって“試合”みたいなものって感覚がどうしてもあるんだ。試合に向けて体を絞り込んでいく感じだね、今は」

 絞りに絞り込んで臨む東京ドームライブ。真夏の最中の2daysは猛暑以上に熱くなることは間違いない。


2011年06月27日

 

湧水とモミの木

 夏の“本領発揮”に向けて着々と準備を進めている中、「3週間くらいレコーディングのためのちょっとした山ごもり」から帰京して間もないタイミングで今回の収録。「標高1000メートルくらいのところだったんだけど、戻ってきたらちょっと調子悪くてさ。湿気が多いというか空気が濃いっていうか。酸素が薄いほうが調子いいのかもしれないね(笑)」と早くも山ごもりの成果が表れている様子。

「レコーディングしながらライブに向けて体も作らなきゃいけなくて、あ、高地トレーニングってのがあった!と。酸素が薄いところで有酸素運動をするとヘモグロビンが増えて…ということらしい。朝6時30分から7時の間に起きて、7時30分には朝食、9時30分までひと仕事して、それから2時間ほどのロードワークをして…」

 すっかり健康的にもなったと笑顔の吉川。そして、山でのロードワークの楽しみとなったのは「いたるところにある湧水」だったとか。

「湧水というのは、それ自体が神様のような扱われ方なんですよ。だいたいそばに祠(ほこら)も祭ってある。そして必ず樹も植えてあるんだよ。樹齢が400~500年っていうから、江戸時代の始めころの樹。こーんなに(と両手をいっぱいに広げて)太いモミの樹で、人間って小さいな、自然ってすげぇ!って心に栄養をもらってました」

 しかしこの湧水巡りには、ちょっとうすら寒いエピソードもある。

「近くにあった湧水は5、6カ所かな。それを日替わりで何カ所か回るんだけど、おー魚がいるー!とか喜んで見てると、地元のおばちゃんが『そこでは人がいっぱい死んでいて幽霊が出る』とか言うの。ちょっとゾーっとしちゃうじゃん(笑)。湧水が神様のように扱われるのは水が人間にとって一番大切だからなんだけど、だからこそ奪い合う争いも起きてるんだね。人間って変わらないんだなって思うね」

 少し遠い目で話す吉川であったが、リスナーからのメールの「今の音楽シーンにはロックが少ないのでは?」という問いに答えて「俺なんかがロックについて話すのはあまりにもおこがましいけど」と断りながら、「ロックは音楽の種類というより、マジョリティーに反対するマイノリティーの生き方だ」としつつも、「今は日本全体が下り坂の時代で、戦い方も変えていかないといけない」とつぶやくのだった。どちらの話も東日本大震災の経験を踏まえての言葉だ。しかし、彼の“遠い目”は昔を懐かしんだり、今を悲しむ目ではない。あくまでもこの先残すべき「希望の持てる輝かしい未来」を見据えようとするまっすぐな目なのだろう。


2011年05月30日

 

職人の腕と誇りと音楽と

 東京ドームのCOMPLEXチャリティライブ『日本一心』、広島でのライブ、対バン出演、加えてアルバム製作にツアーと、夏から冬にかけて本業に注力することになる吉川晃司。今回の放送は、その嵐のような激動の“幕間”のように、落ち着いた話題で始まる。

「そろそろ梅の収穫が始まるなー。6月の初旬から始まるのが通常。だから、この季節の長雨を“梅の雨”と書くんですね」

 今年はプライベート菜園での野菜は「土も休ませないといけないし、野菜をやる時間がない」と、果物が中心になっている。「今年はすごい来てるね。梅、さくらんぼ、グミ、ヒメリンゴ、グミ、金柑、シークァサー、カボス、桃……」。小学生のころ、母が漬けた梅酒をこっそり盗み飲みし、えらい剣幕で怒られたというエピソードを番組でも披露。「梅は10個くらいしかなってないけど、今年はこれで梅酒を作るのが楽しみ」と照れた様子で少年のような笑顔を見せる。果物のチョイスはお酒関係?と問うと「いや(笑)、花がきれいなのを選ぶ。桃の花、大好きだし、金柑の花も白くてちっちゃいのが咲くんだよ」。

 この春からまた日の出とともに起きる生活になり、まず朝するのは果物の木々の手入れだという(「アブラムシがひどくて水で飛ばすんだ。あとは雑草。毎朝50本くらい抜いてもまた出てくる(苦笑)」)。その後いつものロードワークに出る。梅雨を迎えるこのごろ、そのロードワークの途中に目にした古伊万里の傘立てにほれ込んでしまったそうだ。

「職人の腕と誇りがこもっていて、いいんですよ、これが。で、事務所の近くに骨董屋さんが多いから探し歩いたり、ネットでいろいろ調べたりしてみたんだけど、結果的にいうと、ない。見つからない。明治初期に日本に来た外国人が買っていっちゃってる。お店の人に聞いたら『最近よく聞かれるけど、日本人で持ってる人は絶対手放さないね。外国へ行って、骨董市探したほうがいいよ』だって」

 番組を通じて呼び掛けたりもしているが、そこまでこだわるのは、「今は使えない顔料を使っていて色が味わい深い」ということもあるが、やはり「職人の腕と誇り」に尽きるだろう。

「素人が見てもそれと分かるほどの職人の腕。これはね、『こりゃあ、大変だったろう』と分かってもらえる、という報われ方が、同じ“職人”としてなんか分かるんだよ」

 夏から秋にかけて、その“職人”吉川晃司の本領が発揮される。腕と誇りをかけた“作品”を感じ取る日々がまた始まる。


2011年04月25日

 

歴史的な戦いが始まる

「前回の番組は、震災直後に収録し直してもらって作ったんだけど、ひとつ大きな反省。傷を免れた者が、深手を負った人々に対して『がんばれ』っていうのは違うんだなってこと。言葉がなかなか見つからないから、どうしても言っちゃうんだけど、まずは被災しなかった者たちから“がんばる”べきなんだなということです」

 普段から“がんばれ”と言われるのが嫌いだという吉川。その言葉は、被災者のみなさん同士、救援活動にあたる人々同士、つまり同じ境遇の人々が互いに励ますために使われるべきであって、まずがんばらなければいけないのは、吉川自身を含めた“自分たち”なのではないかという真摯な反省と問いかけから今回の番組は始まる。そして語りたいことは多くとも言葉を見失い、それでも伝えるために曲を削る勢いで思いを吐き出していく。

「みなさん、これは対岸の火事じゃないです。人間の身体で例えたら、この震災は胸のあたりに大打撃を受けたということ。頭や足にはすぐに影響出ないかもしれないけど、すぐ処置しないと弱っていく。毒も回っていく。国も同じことだと思うんだ。これから海外の敵も多くなるだろう。経済的にも権力的にも。たかがエンターテイナーごときが何を言うかと思う人もいるだろうけど、されどエンターテイナーなわけで、困難な、歴史的な戦いが始まったんだと、それを踏まえて価値観の変化を受け入れて、挑んでいく決意をしなきゃいけない。そして今何をすべきなのか。思うに、まずは身近なことから始めることです。節電する、風評に惑わされない、支援のための寄付をする。それはみなさんすでにやってらっしゃると思う。そしてもう1個、俺が思うのはね、“手をつなごう”“ひとつになろう”という言葉があふれてるけど、その前に我々一人ひとりが自分を見つめて、自意識のレベルアップを図らなきゃいけないんじゃないかということです。例えば夜の明かりがこんなにも減ったことで分かるように、価値観や我々の生活が大きく変わっていこうとしているでしょう。それをしっかりと受け入れること。それから、情報や知識を疑問なく受け入れられなくなってしまった中で、それでも批判を恐れずに自分の“ものさし”を作らなきゃいけないということ。それができなきゃ、ひとつになっても、結局右往左往して混乱するだけになってしまう……」

 それはもしかしたら、自分自身に言い聞かせる言葉だったのかもしれない。だがしかし、岐路に立たされている我々にとっても、ひとつの指標になることは間違いない。


2011年03月28日

 

大丈夫、ひとりじゃない。

 今回の放送は、東日本大震災の発生を受けて、予定していたプログラムを変更し再収録。この再収録に当たり、吉川は悩んだ。「言葉で伝えるのが難しい…己れの非才浅学が嫌になる…」。一度は胸が詰まって言葉を失い、ディレクターの「大丈夫ですよ、誠実さが伝わりますから」という言葉に「こういう仕事で誠実なだけじゃダメだろう」と苦笑する。被災者を思い、何ができるだろうと悩み、言葉の端々に今にも被災地へ行って助けたいという思いをにじませる。

「電波に乗せるなら、聞いてくれる人を豊かにしたり、力強く思ってもらえることを大切にしないと…」。

 そうして何度か録り直し、たどり着いた言葉が「ひとりじゃない」。

「被害に遭われてこのラジオを聞いているみなさん、大丈夫です。ひとりじゃないです。日本中がエールを送ってます。想ってます。想いはいつもそばにあります。どうか、励ましあって、踏みとどまってください――」

 紹介するメールも、遠く離れた地から被災地のみんなを思う切々とした言葉。「自分に何ができるか冷静に考えています。どうか被災地の方々、生き抜いてください。地震や津波に負けないでください!」というメールの言葉。それを受けて吉川も「そう、もう思ったことをやりましょう! できることからやりましょう!」と言葉をつなげる。「傷つくことから逃れられた我々が引っ張っていかなきゃいけない。まず手が届くところから始める。それも有効な行為です。例えば買占めってあるじゃないですか。あれだって程度問題で生活に支障のない程度で切り上げれば、その分被災地へ届けられる。物流だって滞ってる。だから、被災していないところであれ送って、これ送って、というのを我慢すれば物流を軽減させることもできるわけです。みなさん、まずそれぞれが熟慮することが大切じゃないでしょうか」

 今回選んだ曲も、被災地のみなさんに贈る、ひとりじゃない、みんなが応援してるんだという思いを込めた曲。そして、「報道番組ばっかりで、しかめっ面したおじさんがしゃべってるだけじゃ、子どもたちが滅入っちゃうよね。だから、ロックの番組だけど…」と、『アンパンマンのマーチ』。

「早く日本が元気になれるように、みなさん、力を、思いを尽くしましょう! ハードルは増えましたが、大丈夫、思いがあれば、心が折れなければいつか必ず越えられます。いつもは“がんばれ言うな”って言ってますが……もう、がんばってくれ、としか言いようがない。がんばってくれ。そして、我々もがんばろう!」

※弊紙でも告知した入門アルバム『KEEP ON KICKIN'!!!!!』の発売は、ユニバーサルミュージックの「物流を少しでも被災地のために譲りたい」という思いから、延期となりました。


2011年02月28日

 

ギター・トークは終わらない

 音楽の“ジャンル”というヤツは分かりにくかったり人によってさまざまだったり揚げ句の果てには「なんとなく?」なんて人もいたりして、吉川晃司が「音楽のさぁ、カテゴライズ? よく分からないんだよ。日本人ってカテゴライズ好きだけど。○○系ってあったけどあれもよく分かんないね」とこぼすのもよく分かる。これも、今回“RESPECTS”のコーナーでハードロックを選ぼうとしたのが発端。

「色気づいてくると――俺は中3だったけど、ハードロック聞くようになるんですよ。ディープパープルとかね。でリッチー・ブラックモアのマネしてギター削ったり(笑)。でもさ、パープル・レインボーはハードロックなの? スコーピオンズは? 見た目はヘヴィなんだけどさ」

 とハードロックとヘヴィメタルの違いについて悩みだす。辞書を引いて「『(ハードロックは)電気楽器の進歩によって生まれた大音量のロック…ブルースを基調とし』…へぇ!」と感心したり、スタジオに遊びに来ていたDJの落合隼亮に尋ねたり。結局落合の「線引きは生きざま?」という言葉に「なるほど!(笑)」と納得。

「ヘヴィメタルをやってるのって“悪”なんだけど、マジメで頭がいいヤツが多かった。ケンカになると“そういうことはしたくないから”って(笑)。それに比べるとハードロックやってるやつは“不良”だなぁ…(笑)」

 そんなハードロックから「ひとり選べと言われたらこの人」と選んだのはマイケル・シェンカー。

「この人にあこがれてフライングV(ギター)を買っちゃったんだけど、これってスキー場で黒いウェア着てるみたいなもの。本当にすっごい上手で着てるか、それを知らずに着てる下手なヤツ、どっちかっていう(笑)。後で恥ずかしくなってすぐヤマハのFG1000に変えちゃいましたけど(笑)。この人のギターはピッキングも裏付けされたテクニックの上に歪んでいるわけなんです。来日する度に聴きに行くんですけど、ギター投げちゃったり、途中で演奏やめちゃったり、とにかく問題児でね(笑)。で、絶対ロック史上10本の指に入るリフなのがこの曲で…」

 と選んだのはマイケル・シェンカー、UFO時代の『ROCK BOTTOM』。

「これに近いリフを作りたい作りたいと思って『Mr.Body & Soul』で。似てるけど違うぞっていう(笑)…」

 本人も「こういうのは話し出すとキリがない!」言うが、本当にどこまでも話し続けそうな勢い。なんだけど、聞いてるこちらは楽しくてたまらない。好きなことを楽しく語れる人ってやっぱり魅力的なのだった。


2011年02月02日

 

ゲスト・増子直純(怒髪天)とクロストーク

 今月の『エッジ・オブ・ハート』には初のゲストとして、怒髪天のボーカル、増子直純が登場。増子もこの『D.N.A ロックの殿堂』でDJを務める。この日は終始笑いの絶えないトークが続いたのだった。

 吉川自身は怒髪天と直接会ったことがなかったが共通の知り合いは多く、「任侠を地でいってるバンドだって聞いて。“会ってみるときっと面白いよ”って言われてたんですよ」と吉川。「今日は“殿”に会いに行くんだから、いつもならヒゲもそらずに来るのに、しっかりシャワーまで浴びてきました。参勤交代です(笑)」と増子が言う。「いやいや」と苦笑する吉川。実は「持ち上げられると照れる。最初はけなして入ってくれたほうがやりやすいんだけどね」。増子曰く、吉川は「言いたいことをバシッと言ってくれる。バシバシ言って“聞けーっ”っていうのがカッコイイ」。「いや、頭の中では“もうちょっとカシコク生きろよ”って声はするのよ。でもどうしても言っちゃう。体のデカイやつに向かっていかないとね」と吉川が言えば「その考え自体、すでに職業が違う(笑)。強い武将みたい」と増子。「寛容がないってことなんですよ」ととぼける吉川だったが、「腹を切ってやるぜ!みたいなところがある。それが魅力なんですよ」と増子が言う。吉川のロックな生きざまは、同じくロックに生きる人にとってもあこがれのひとつなのかもしれない。

 吉川がお気に入りだという怒髪天の『オトナノススメ』を挟んでトークも後半、怒髪天のメンバーの話になる。「ギターのリフがすごいよね。常道のロックとは違う」と吉川。増子も「(曲を作るギターの)上原子は本当に幅広いっすよ。楽曲作りは曲先なんですけど、4曲作ればいいってときでも10曲くらい作ってくる。無茶苦茶早いんですよ」。今度(上原子を)紹介しますよと増子が請け合うと、吉川が「ボーカリストがギターリフまで(曲を)作ってるんでさ、どっかで限界が来るかもしれないなあ。結成して26年ってさ、夫婦だって10年20年難しいじゃないですか。俺なんてユニットですら難しかったから(笑)、チームって憧れるね」ともらすのだった。

「ソロも一長一短。だけど誰かと本当に親しくなるには本当の“元”が見えてこないとね。時間がかかる。適当に話を合わせたり流したりできない性質だから(笑)。孤立した頑固ジジイみたい(笑)」という吉川が、ミュージシャンと語る珍しいシーン?が聞ける今回の放送。必聴です! 2月中旬には、増子がDJを務める『D.N.A ロックの殿堂』に吉川がゲスト出演の予定。こちらもぜひ聞いてみて。


2011年01月31日

 

ゲスト・増子直純(怒髪天)とクロストーク

 今月の『エッジ・オブ・ハート』には初のゲストとして、怒髪天のボーカル、増子直純が登場。増子もこの『D.N.A ロックの殿堂』でDJを務める。この日は終始笑いの絶えないトークが続いたのだった。

 吉川自身は怒髪天と直接会ったことがなかったが共通の知り合いは多く、「任侠を地でいってるバンドだって聞いて。“会ってみるときっと面白いよ”って言われてたんですよ」と吉川。「今日は“殿”に会いに行くんだから、いつもならヒゲもそらずに来るのに、しっかりシャワーまで浴びてきました。参勤交代です(笑)」と増子が言う。「いやいや」と苦笑する吉川。実は「持ち上げられると照れる。最初はけなして入ってくれたほうがやりやすいんだけどね」。増子曰く、吉川は「言いたいことをバシッと言ってくれる。バシバシ言って“聞けーっ”っていうのがカッコイイ」。「いや、頭の中では“もうちょっとカシコク生きろよ”って声はするのよ。でもどうしても言っちゃう。体のデカイやつに向かっていかないとね」と吉川が言えば「その考え自体、すでに職業が違う(笑)。強い武将みたい」と増子。「寛容がないってことなんですよ」ととぼける吉川だったが、「腹を切ってやるぜ!みたいなところがある。それが魅力なんですよ」と増子が言う。吉川のロックな生きざまは、同じくロックに生きる人にとってもあこがれのひとつなのかもしれない。

 吉川がお気に入りだという怒髪天の『オトナノススメ』を挟んでトークも後半、怒髪天のメンバーの話になる。「ギターのリフがすごいよね。常道のロックとは違う」と吉川。増子も「(曲を作るギターの)上原子は本当に幅広いっすよ。楽曲作りは曲先なんですけど、4曲作ればいいってときでも10曲くらい作ってくる。無茶苦茶早いんですよ」。今度(上原子を)紹介しますよと増子が請け合うと、吉川が「ボーカリストがギターリフまで(曲を)作ってるんでさ、どっかで限界が来るかもしれないなあ。結成して26年ってさ、夫婦だって10年20年難しいじゃないですか。俺なんてユニットですら難しかったから(笑)、チームって憧れるね」ともらすのだった。

「ソロも一長一短。だけど誰かと本当に親しくなるには本当の“元”が見えてこないとね。時間がかかる。適当に話を合わせたり流したりできない性質だから(笑)。孤立した頑固ジジイみたい(笑)」という吉川が、ミュージシャンと語る珍しいシーン?が聞ける今回の放送。必聴です! 2月中旬には、増子がDJを務める『D.N.A ロックの殿堂』に吉川がゲスト出演の予定。こちらもぜひ聞いてみて。


2010年12月27日

 

2011年はおみくじで“凶”を引け!

 寒さが一層増してきたこのごろ。風邪をひかないようにとリスナーに注意を呼び掛ける吉川晃司。風邪をひいちゃったら「サウナで水をガブガブ飲んでビタミン摂取」で治すそうだが、「7~8割は治るけど、たまに肺炎にもなりかねない。リスキーな治し方をしちゃうんだよね」と苦笑する。リスナーのみなさんには「風邪にはイチゴかキウイですよ! レモンはほとんどビタミンCが入ってないんだから」とアドバイスする。

 そして、今回の番組で印象的だったのは、リスナーからの「『不在証明』を再演(広島)して、松田優作さんをどう思ったか」という質問への答えだった。「松田さんとのつながりってすごくって。生前親しくしてもらっていたし、よくライブにも来てくれてました。でも必ずアンコール前に帰ってしまう。スタッフが教えてくれるんです。“ロングコートの襟を立てて帰って行きましたよ”って…(笑)。息子さんが生まれたときには、“吉川に似ているな。吉川みたいになったら面白いな”って仰ってくれたそうで。うれしいですよねぇ。で、実は広島での公演のときに不思議なことがあったんです。打ち上げの後、ホテルで松田さんの夢を見た。松田さん、それから今のスタッフもみんないて、“今の映画界は腐ってる!”って言うの。で、“行かなきゃいけねぇ!”“よし、行くぜ!”ってなって、みんなで部屋を出ていくんだけど、そしたらね、本当に部屋から出ちゃっていたんです。下着姿でね。ハッと気づいてフロントに電話して扉を開けてもらいました(笑)。松田さんの言葉ってすごく強烈に入ってくるんだよね。アテられるっていうかね。『ブラック・レイン』をやってるころなんて特に強烈。どんどん入ってきてしまうから、そういうことが起きたのかもしれない」。不思議な、しかし心温まるエピソードだ。そして確かに、松田優作と吉川晃司の間で交わされそうな会話でもあったのだ(ちなみに今回、番組中で現在の映画界をくさすトークもあった)。

 さらに、今回は自然と2011年、新しい年に向けての話題が出た。吉川晃司、2011年の目標は? 「まずはとにかくアルバム作ります」。そのために今は機材の交換を考えているとのことで、「コンピュータ系は何年かに一度変えないといけないんですよ。古いものに買い足しができなくて、全部買い替え。スタジオの大掃除も兼ねて機材を出そうとすると、出しても出してもゴミが出てくる(笑)。ホント、大変です」と苦笑する。「我々って職業的にどうしても年末が忙しくなるじゃないですか。だから大掃除も年末の31日とかから始めて、1月の5、6日くらいまでやることになっちゃうの。でまたやり始めるとハマっちゃう。B型だから(笑)」。そんなに忙しいなら無理してやらなくても…と思うのだが、「いや、大掃除は大切ですよ。旧年を振り返って反省し再スタートを切るためにも新年でリセットしなきゃ。そのためには大掃除が一番です」。

 そこで、吉川流新年の過ごし方を。「ナマコもだけど、お雑煮が欠かせない。マガモとハマグリで作るの。ハマグリはなじみの魚屋さんに頼んであるんだけど、今年はいいものがないそうで残念。マガモ…合鴨じゃなくて真鴨ね、これは神田の下町にある鴨屋さんにお願いしておくの。それでお餅は細かく切ってドロドロにしたものの上に切ってない餅を入れる2層式。これが吉川流」。熱々になったお餅がずっと冷めずに食べられる逸品だ。そして年始には初詣だ。「年中歩き回って神社に行ってるけど、やっぱり初詣には行きたいね。ただ人気がある神社は混雑がイヤでね。近所の人が少ない神社でいいんですよ。で、おみくじを引くの。“凶を出せ!”ってね(笑)。昔4年連続で凶が出たことがあったんだけど、凶って実は数が一番少ないんだって。だから凶が出るってことは逆に運がいいんだよ。運なんてそんなもの。“運が悪い…”なんて調子の悪い顔してると周りの人がどんどん離れていっちゃう。人間なんて誰でも長いものに巻かれたいんだから、調子がいい顔してれば人も集まってくるし、運の善しあしなんて気にしないこと。逆に“凶を引くぜ!”くらいの気持ちでおみくじ引いてみるのもいいんじゃない?」。運なんて関係ない。吉川晃司の2011年は、また熱い年になりそうである。


2010年11月29日

 

冬のはじまりと食のこだわり

 やっと寒くなってくれました。でもなんか、四季がない。春と秋がない…」というつぶやきから始まった今月の『エッジ・オブ・ハート』。秋を飛び越して急激に寒さが増し、11月なのに年末並みの冷え込みとなった午後、いつにもまして飄々とした様子で現れた吉川晃司。「紅葉が結局は遅くて、東京のイチョウ並木、まだ黄色いじゅうたんになってないんだよね。秋になればギンナン拾いに行ってるのに、今年は行けない…。秋の楽しみが減っちゃった」とこぼすのだった。

 続けて読者からのお便りでも多かった冬の味覚についての話題になる。「冬に食べたくなるものっていったら鶏団子鍋」という吉川。「“お相撲ちゃん”に教わったんだけど、鶏肉に、レンコンを半分すりおろしてもう半分はみじん切り。そして海老のすり身をたくさん入れる。これがミソで、鶏団子がふわふわになるんです。あとはゴマ油、ニンニク、ショウガをたくさん。ゴマ油を入れるから中華風になるんだけど、これがうまい」。ひと冬になんどか食べるそうで、「鶏団子だけでもいいけど、鍋にネギを敷き詰めて食べるのもいい」とのこと。番組では言わなかったが、しいたけ、タケノコもみじん切りにして入れると良いそうだ。また、「鶏肉の代わりにイワシでもいいね、つみれになるけど。包丁2刀流でミンチにすればいい」。

 そしてもうひとつが「これがないと正月が越せない」というナマコ。「実物を見ると最初に食べたヤツは立派だと思う(笑)」という見た目がグロテスクなナマコであるが、正月となると「最近は高いんで結構な出費になっちゃうんだけど」バケツいっぱいに買ってきて自分でさばいて食べる。「このわたなんて生で塩してそのまま食べてもいい。良くできたもので、夏野菜は体を冷やすって言うでしょう。ナマコは体を温める。利尿作用もあって、むくみ防止にもいいんだよ」。

 自分でナマコを調理する人も少ないので、ナマコを選ぶときのアドバイスを聞く。「ナマコには赤、青、黒とあるんだけど、うちの田舎では高いんだけど赤が多かった。だから選ぶなら僕は赤。小ぶりのもののほうがおいしいと思うな。気をつけなきゃいけないのが、水をいっぱいに吸わせてるような魚屋さん。水を吸って大きく重くなったナマコを計り売りするところは要注意」とのことである。

 こうして食の話も盛りだくさんの『エッジ・オブ・ハート』。番組を聞き終わるとお腹が空いた気がしてしまう人は決して少なくないのでは。音楽に食にと、気ままでロックな吉川の言葉は今日も電波に乗って飛んでいく。


2010年10月25日

 

息継ぎ、ダンゴ虫、夏目漱石

 最近はリスナーからのお便りが多くてうれしい悲鳴の吉川晃司。毎回収録前の打ち合わせでは、お便りを読んでスタッフ一同と大盛り上がりなひとときを過ごすこともしばしば。番組では吉川晃司『ナイフ』が発表された2000年に出た新札・2000円札に「いいアイデアだと思ったのに、どこいっちゃったんだよ!」と叫び、RESPECTSのコーナーでは「ツェッペリン派とパープル派まっぷたつだった」その昔、「パープル派のふりしてたけど、本当はツェッペリンも好きだった」とこっそり明かす。お便りコーナーで「できるだけ多く答えようよ」とたっぷりリスナーからの質問に答えていく。

 カラオケで吉川の歌がうまく歌えないと聞かれたら「これは困った! 言われて気付いたんですが、私の曲はブレスが少ないんですよ。水泳をやってたせいでしょうねー。一番いいコツは息をしないこと(笑)。というのは冗談で、プールで50mダッシュしてから1曲、慣れてきたら200mダッシュしてから1曲って練習してみてはどうでしょうか!」。末の息子が中3にもなって筆箱でダンゴ虫を飼ってるんだけどどうしましょう?と聞かれると「未来のファーブルかも。ダンゴ虫はおとなしいし、虫の選択は悪くない」と“そこかよ!”という回答。しかし「日本の教育って右へ倣えで洗脳してるみたいじゃないですか。そう考えると、息子くん、私は評価できると思います!」とポジティブな評価を下しもする。

 今回のリスナーへの答えの白眉は、お薦めの小説を教えて!(ただし中国史関連を除く)という質問だった。

「一番は夏目漱石です。北方さんにも、知り合いの作家さんみんなにも薦められたんですけどね。40歳を過ぎて初めて漱石のすごさを知りました(笑)。漱石って中高生のころに一回は読むじゃないですか。それで分かったつもりになっちゃうのは間違いだったんだな。思考能力もたいしてないときに読んだってそりゃ分からない。漱石はこの先の文明の末路を予想していたんです。人間関係が希薄になることとか、私がよく“文明の堕落”と呼ぶことをすでに言い当ててるわけですよ。『坊っちゃん』なんてバカボンのパパとよく似ていて、実にすばらしいです。どうしてもね、一度読んだものは読んだと思って再読しないことが多いでしょうけど、知識として頭に入ったからって“知恵”にはならない。知識と経験があって、初めて身にしみ込んで使える知恵になるんだよね。だからもう一度夏目漱石を読んでみてください」

 リスナーからの質問には誠心誠意答えてます。これからもみなさんのお便り、お待ちしております。


2010年09月27日

 

誇り高きアフリカ

 10月1日放送予定の番組のためのアフリカ行から帰国早々、今回の番組収録。番組内でもアフリカについて熱く語るひとこまがあった。

「撮影は過酷だった。雨にたたられて夜は寒いし、本当に死にそうな目にあってリアルに“みなさん、さようなら”って思った瞬間もあったんだけど、そこでいろいろな人々や、野生動物に出会えていい経験ができたし、深くうなずくものが多かった」

 と吉川。何よりも「野生動物のすごさ」に感動したのだそう。「体が全然違う。筋肉に力入れると筋が出るでしょ、あれが全部見えてる。インパラなんて間近で見ると、脚なんて下からスラリとのびてきて、太もものあたりでボコン、ボコンって筋肉になる。動物園で見る動物、あれとは全然違うものなんだって、みんなにも知ってほしいって思った。そして人間もすべからくそう。マサイ族の人たちと仲良くなったんだけど、彼らって身長が平均で180cm、俺くらいあるわけ。で、細マッチョっていうか、ぜい肉が全然ない筋肉質。隣に並ばれると恥ずかしくなっちゃうよ。きっと自然の中で動物たちと共存している人々だから、野生動物のように美しいんだな。同じケニアでもナイロビで暮らしている人はボテボテなの(笑)。“文明という堕落”という言葉をしみじみ思ったよ」

 ついつい“堕落”してしまいがちな我々はどうしたら、マサイ族のようにリアルな生を生きられるのだろう?

「過剰供給な生活に慣れちゃってるのが問題なのかもしれないな。飢餓状態になる必要はないけど、喉が渇いている状態を作れるかどうか、ということなんじゃないかなぁ」

 出会った人々、野生動物…アフリカについては「何時間でも話せる」ということだったが、「詳しくは番組を見てのお楽しみ」である。

 生きる、ということについて、ちょうどアフリカから帰国早々、作家の北方謙三氏と銀座に飲みに行って感じた歌があった。『RESPECTS』のコーナーで紹介されるちあきなおみ。「銀座の場末のバーで、むさくるしいおっさん2人でぐでんぐでんになりながら“男たるものは…”なんて話している横でバーのママが“バカねぇ”なんてつぶやいている。そこで延々と流れていたのがちあきなおみ。状況もあって結構来ちゃったということもあるけど、その人の背景や生きざまがにじみ出てくる歌だなと。声の質や歌唱力も断然スゴイけど、彼女の生きざまを想像させる説得力があった。歌には体験していないものは乗ってこない。良くも悪くも。だから俺も気を付けないと。しっかり生きるしかないんだけどね」


2010年08月30日

 

吉川晃司の平和ソング!?

 先日の『24時間テレビ』をご覧になった人はご存じだろう。吉川が広島の母校の生徒のために平和ソングを作った。ちょうど本番組の収録時はその曲作りを終えたばかりで「大変な作業だった(苦笑)」ともらしていた。

「子どものための曲って難しいよね。一回作ったらメンバーたちから“吉川っぽくない”って言われてさ。“もっともらしいんだけど、吉川がいいヤツに見えちゃう”だって(笑)。俺らしくないって。じゃあ、今度は俺らしく作ればいいのかって作れば、アレンジャーから“これは難しすぎて子どもには歌えない”ってダメ出し(笑)。どうしてもトリッキーなタイミングにしちゃうクセがあるんだよなぁ」

 広島県で、子どもたち主催で開催している『夢配達人プロジェクト』。夢を募集し、選ばれた生徒たちの夢の実現に県が協力するというもの。今回は吉川の母校の生徒たちが「原爆の悲惨な実態を伝える歌を作り、歌うことで語り継ぎたい」という夢を出し、その作曲者は、同校出身者の吉川晃司にお願いしたいとなった次第。

「依頼曲って、すごく大変なんだけど分かることが多いんだ。自分にどんなクセがあるのか、どういう部分が足りないのか。指摘されて分かることがたくさんある。自分らしい部分を生かしつつ、子どもたちにも歌いやすいように…自分の中で自然に置き換えていく作業だったかな」

 こうして改めて吉川から音楽の話を聞くと、彼が求めている方向性も見えてくる気がする。本番組コーナー「RESPECT」で紹介するミュージシャンの数々からも分かる。今回は趣旨をちょっと変えて冒頭の子どもたちへの楽曲提供のために調べている最中にたまたま見つけて「耳が止まった」というゴダイゴもそうだ。「ジノ・ヴァレリのようなスーパーフュージョンプログレのバカテク集団に近いところにある」。リズム隊には外国人のメンバー。打ち込みのない時代に、あそこまでのテク。「モンキー・マジックのライブバージョンが分かりやすいかと思って」吉川自ら音源を持参した。

「結局、シンプルでありながら、普遍性が高いもの。美的感覚が近いものがいいって思う。コードって下手なガキのころってド多用しちゃうんだけど、少し分かってくると“バカだったな”って分かる。突き詰めるとシンプルになっていくんだよ。平和ソングを作るからジョン・レノンの『イマジン』を聞きなおしたけどやっぱりスゴイって思ったもんね」

 吉川晃司の音楽の“源泉”に近づける気がしてくる。これからも本番組でその深淵に近づいていきたい。


2010年07月26日

 

秘境探検ミュージシャン

 すっかり夏本番、今年の夏も大忙しで、「夏休みなし。秋には休みが取れたらいいなーと思っております」と放送の冒頭で吉川。「なんかね、無人島以来、“秘境探検ミュージシャン”なんて言われて、いろいろと変なオファーを受けることが多いんですよ。スケジュールが取れたら行きたいんだけど、ちょっと無理かな…」。

 無人島で自給自足するハードな日々はみなさんのご記憶にも新しいだろう。あの姿を放送されて以来“吉川=タフ”のイメージが定着してしまったようで、「シベリアでマンモスの氷漬けが見つかったから見に行く」というような、ちょっとハードでタフな旅モノの企画のオファーが多いとか。「そういうのもいいな、と思うよ。だって個人じゃそんなすごいもの見に行こうと思っても行けないじゃない」と、行きたい気持ちは満々だ。ポッドキャスティングで放送を聞いてくれたという海外のリスナーからのメール――“吉川さんの『グラマラスジャンプ』を聞いて、俺も世界へ飛び出さねばと思い”“赤道直下の小さな島にたどり着いて早十数年です”――を読んで、「いや、マジですか。冒険者ですね。すばらしい」と嘆息する。「暑いところだから、サーファーとかスキューバとかをお仕事にされているのかな? いつか会えるといいですね」。ヘッドラインでの連載のきっかけも、吉川が“ホコリと誇り”を見つけたネパール行だった。思えば、吉川晃司ほど旅が似合う男もいない。彼はいつも“今の自分”から飛び立つ旅に出たがっているかのようなのだ。

「うん、旅はいいよね。己の小ささ加減を知ることができる。細かいことが気にならなくなるしね(笑)。今行きたいのは、シベリアとか、アフリカとか、モンゴルとか、果ての果て……果て感のあるところ。長い時間をかけていきたいな。“秘境探検ミュージシャン”として、ライフワークにしたいですねぇ(笑)」

 ハードな旅に備えて「銃の免許も取ろうかな」なんて、大それた(?)野心もあるそうだ。

「猟銃とかスポーツライフルとかいろいろ種類もあるし、アメリカじゃあ、州によって銃のライセンスも違うし、大変だとは思うけど、そういうのがあるとまた旅も変わるかもしれない」

 なんだか、ヘミングウェイのようにさらにハードでダンディーな渋~い男になりそうな吉川である。

 番組が放送されるころには夏休みを取り始める人もちらほらいるかもしれない。今年の夏は、吉川のように、“己の小ささを知る”旅に出るのもいいかもしれない。


2010年06月28日

 

鼻つまみものが選ぶ曲

 今月の吉川晃司の『エッジ・オブ・ハート』は、高校のアマチュアバンド時代の話に花が咲いた。番組中で「めちゃめちゃマニアックな世界観だった」と紹介したバンドのマライア、そこでギターを弾いていた土方隆行。そして「当時高校生でやってたってのが我ながらスゴイと思う」というほど「大人なバカテクバンド」だったというジノ・ヴァネリ。番組収録前には、土方隆行の音源が古いこともあって、音源があるかないかでしばし議論もあった。「マライアも影響受けたけど、土方さんが出した2枚のソロアルバムからコピーしたことが多かったよ」と吉川。マライアの音源はあったが、土方隆行の音源がなかなか見つからないというディレクターに、「いや、絶対俺家にあるよ。帰ったら探す」。収録は土方隆行の『スマッシュ・ザ・グラス』の紹介で進めるとして、万が一土方隆行の音源が見つからなかったら「この部分だけ収録しなおしに来るから」と約束するほどのこだわりよう。

 そして、打ち合わせをしながらマライアやジノ・ヴァネリの音楽を聞き「懐かしいな、涙が出てくる。音楽っていいよね…」。

「こういうの聞いてコピーするようになったのって、当時俺たちが鼻つまみものっていうかへそ曲がりっていうか、世の中で流行ってるものがイヤだったからかな。大人びた音楽を聞いてるのをプライドにしてたんだよね。“なんだ、お前らまだそんなの聞いてんのかよ?”って(笑)。でも土方さんはまだしもジノ・ヴァネリなんてめちゃくちゃ難しくて、結局すごい苦労したんだけどさ。今だってその辺の普通のプロじゃ無理ってくらい難しいんだ。それを高校生でやろうってんだからバカだよね。でもね、当時、ドラムとボーカルはちょっと怪しかったんだけど、ギターとベースとキーボードのヤツがすっごくうまくて、結構聞けた。今聞いてもイケる(笑)」

 お聞きになった方はご存じだろうが、土方隆行、ジノ・ヴァネリの古びていないキャッチーなサウンドに驚く。そしてまた、今の吉川にも通じるものがあるようにも聞こえるのだ。

「今でも影響はあるよ。キメとかね。ロックなのにフュージョンっぽいキメを使っちゃうのはそれだね。どうしても“ドドッシャ、ドドッシャ、ドドッ、ドンドン”みたいなの入れちゃうんだ。もっと簡単なのにしてくれって嫌がられるんだけど(笑)」

 そんな話を聞いていたディレクターが「高校時代の音、あったら流しましょうよ(笑)」。いつか、番組で吉川の高校時代の音楽を聞く日が来るかもしれない。


2010年05月31日

 

「四角ばった摩擦係数の高い“エッジ”」

 今月からラジオ番組と連動し、心機一転リニューアルした吉川晃司の連載“蘭心竹生”。サードシーズンに突入し、『路地裏ダイヤモンド』から、ラジオ番組と同タイトルの『エッジ・オブ・ハート』に改題してお届けしていきます。

 今回の第1回目の“エッジ・オブ・ハート”、5月の放送は4月に収録されたものだった。ブースに入った吉川は、「こうしてラジオの番組を担当させていただくのも何年ぶりかな?という感じなんですが」と言いつつも、ブランクを感じさせない落ち着いた雰囲気と、笑いをにじませた軽妙さで言葉を継いでいく。そして、「言いたいことを言い、かけたい音楽をかける番組にしたい」と番組への意気込みを語る。「たとえ非難ごうごう雨あられだとしてもですね、この“エッジ・オブ・ハート”、四角ばった、摩擦係数の高い展開をしていきたいですね。自分なりの価値観……素敵だなと思うことをいろいろ話していけたらいいなと思います!」と早くも吉川節全開。この“エッジ・オブ・ハート”、このうえもなく吉川的で楽しい番組になることは間違いない。

 この番組は季節の話題から始まり、吉川晃司の曲を、当時のエピソードを交えて語る「K2 バックステージ」、吉川晃司がリスペクトしているアーティスト、その曲を紹介する「RESPECTS」、吉川晃司の近況報告などのコーナーからなる。選曲も、吉川のちょっとひねくれているようでいてよく聞くと、実は“どストレート”なものばかり。例えば今回の冒頭は桜の話になったが、「サクラだからって“チェリー・ブラッサム”とかじゃあ、吉川的に面白くない」と、「サクラってウメ科の花で、アンズにも似てるんだよね」といつもの博学っぷりを見せながら、アンズ、つまり『アプリコット』という曲をチョイスしたり、「RESPECTS」では、ミック・ジャガーを尊敬するアーティストとして挙げつつも、その『ワイルド・ホース』をカバーしたスーザン・ボイルを選んだり。その曲がどれも渋くてかっこいい。はずしているようではずさない、吉川流の選曲は見事の一言に尽きる。

 これからの番組では「“旬”の食べ物の話も入れていきたい」と吉川。4月は貝類の季節で、カレイやヒラメはまだまだ、ホシガレイなんて夏にしか刺し身で食べられない、なんていつもの食べ物への偏愛も打ち合わせでちらり。食べ物、自然、そして音楽。吉川が「素敵だなと思うもの」がぎっしり詰まった“エッジ・オブ・ハート”。回を追うごとにパワーアップしていきそうだ。