今月は痛いところを突かれまくりの作品ばかり…
こんにちは、中井です。この連載のタイトルは私が大の宝塚ファンというところから来ていますが、今月はその宝塚、月組の東京公演を1度観ただけでした。その代わりというわけではありませんが、ワタクシ的に新しいジャンルに足を延ばしたのが、コンテンポラリーダンスのヤン・ファーブル『わたしは血』と、フラメンコのアントニオ・ガデス舞踊団『血の婚礼』&『フラメンコ組曲』。これがどちらもおもしろくて収穫でした。
『わたしは血』は、気味悪さ、残酷さが全体に漂いつつも、あちこちにユーモアが感じられて楽しめました。フラメンコは以前、本場スペインのダブラオで延々と、情念たっぷりに続くショーを観てお腹いっぱいになっていましたが、ひとつの作品として構成されているものは、やはり印象が違いますね。特に『フラメンコ組曲』は、ソリストの踊りはもちろん、団員たちのフォーメーションも見事! アンコールでは歌い手やギタリストたちも踊りに加わる盛り上がりで、その迫力にすっかり酔いました。
そして、噂に聞いていたポツドールを遂に観劇。乱交パーティのような特殊な舞台を想像していたのですが、ストーリーがちゃんとあって、それも「閉塞的な地方ならこういうこともありそう、こういう人たちもいそう」と思えるものだったのが意外。ドキュメンタリー映画を観るような生々しさとやるせなさ、やりきれなさを感じました。ただ、俳優さんが出てこない、拍手もないエンディングは初めてでびっくり(笑)。
このポツドールの『激情』と共通点を感じたのがグローブ座の『殺人者』です。どちらも狭い半径の中で生活する人たちの話で、出てくるのが“性格が悪い”ではなく“素行が悪い”人たちなんですよね。内容はまったく違うのに、全体的な感触が似ていたのが興味深く、どちらもおもしろかったです。
それとはまったく逆の世界観、支配者と民衆という大きな構図を描いた『コリオレイナス』を名古屋で観たのですが、さすがシェイクスピア、そういうテーマが昔の話で終わらず「今もある話だな」と考えさせられました。イギリス公演も予定されているからでしょう、衣装もセットもアジアンテイスト(何しろ兵士が持っているのが日本刀!)でしたが、取って付けた感じもなく、私は好きでした。宝塚のレヴューで大階段を見慣れている私は、お芝居でこれを使いこなす難しさも知っているつもりですが、この作品は成功していたと思います。大好きな吉田鋼太郎さんが今回も素敵でした。どっちつかずな性格の人物は、上手な役者さんがやるに限りますね。
激情や殺人者やコリオレイナスとか観ていて、登場人物を嫌悪したりあきれたり浅はかだと感じて嫌な気持ちになるのって、自分自身が考えて行動することを最近してないような気がすることに気付かされるからかもしれないなぁ。
中井の気になる!!◆『TOMMY』(日生劇場 ~3月31日)◆『カスパー』(新宿・space107 3月22~31日) ◆『コンフィダント・絆』(渋谷・PARCO劇場 4月7日~5月6日) ◆『AOI/KOMACHI』(三軒茶屋・世田谷パブリックシアター 4月11~15日) ◆猫のホテル『苦労人』(三軒茶屋・シアタートラム 4月18~29日) ◆モダンスイマーズ『回転する夜』(新宿・THEATER/TOPS 4月18~30日) ◆東京セレソンDX『あいあい傘』(新宿御苑前・シアターサンモール 4月4~22日)