噂を裏切らない作品だった注目の「イキウメ」
こんにちは、中井です。今月もたくさんの舞台を観ることができました。その中から初モノの感想をまとめて書きたいと思います。
まず最初は、小劇場でかなりの注目度と聞いていた劇団イキウメです。「話の完成度が高い」という前評判だったので楽しみにしていましたが、『狂想のユニオン』はその噂を裏切らない作品でした。小劇場と言うと、日常の出来事を普通の会話のトーンで話すというイメージですが、イキウメは直球のSFなんですね。小劇場では家族物、小劇場以外ではシェイクスピア作品や大掛かりなミュージカルを見慣れていた私は、それだけでワクワクしました!
設定は少し複雑でしたが、誰もが1度は抱く「この世界とどこかでつながった、もうひとつの奇妙な世界があったら……」という想像を、細部にまで神経をめぐらせて考えた物語でした。高さを感じさせるセットも良かったですね。役者さんは、本来は気持ち悪い印象を与えるのが狙いであろう市長役と油屋社長役のふたりに、なぜか萌えました。自分でも不思議です(笑)。
そしてもうひとつ、「観たい」と思っていた願いがかなったのがラッパ屋。大人の劇団で、作品は家族がテーマのコメディーと、イキウメとは対照的でしたが『妻の家族』もとても楽しめました。二男四女の兄弟が実家に集まり、それぞれが抱えるトラブルが明らかになって……という話なのですが、そこに絡んでくる借金の金額が絶妙に現実的で上手いんですよね。家の危機を外様の婿たちが救おうとする、特に、家族になりたての婿がキーマンになって家族を再生しようとするストーリーはグッと来ました。大の大人の役者さんたちが次々と池に落ちてズブ濡れになる、体を張ったシーンは大笑いしましたけど。
三田村組の『猿股の行方』は、ONEOR8の田村孝裕さんが作・演出しているのと、知っている役者さんが出演しているので観に行きました。心温まる家族の話で終わるのかと思いきや、妻を亡くした夫のちょっとした“男の部分”が出てきて「やられた!」と思いました。でもそれも、長年連れ添った夫婦の絆があるからこそで、田村さん、若いのにこういう話が上手くて感心しました。大先輩の三田村周三さんに引き立てられ、岡本麗さんらベテランの方と一緒だからこそ、この作品ができたのだとすると、素敵な武者修行の場ですよね。次の三田村組はモダンスイマーズの蓬莱竜太さん作・演出だそうで、そちらも楽しみです。
中井の気になる!!◆モダンスイマーズ『回転する夜』(新宿・TEATER/TOPS 4月18~30日)、猫のホテル『苦労人』(三軒茶屋・シアタートラム 4月18~29日)、朝海ひかる主演『プライマリー・カラーズ』(ル・テアトル銀座 5月1~6日)、森山未来主演『血の婚礼』(新大久保・東京グローブ座 5月3日~20日)、古田新太主演『薮原検校』(渋谷・シアターコクーン 5月8~31日)、稲垣吾郎主演『魔法の万年筆』(渋谷・PARCO劇場 5月12日~6月12日)ほか