「春風亭小朝独演会」で実感!! 落語は観る側の想像力も試されている
こんにちは、中井です。
さて、観たばかりで印象が強く残っているグリングから話を始めます。青木豪さんの作品はプロデュース公演の『獏のゆりかご』で経験していましたが、活動母体になっている劇団のグリングは初めて。お茶の間が舞台になった、その家のおばあさんのお通夜の話で、設定は小劇場の作品に多いパターンです。でも、登場人物の関係が分かってくるにつれて、主人公の奥さんの苛立ちとか、程度の差こそあれ親子間にある誤解とか、非常に共感できてくるんですよ。とても個人的な話なのに「そうだよね」「こういう人いるよね」と、うなずく回数が増えてくる。そして父親を憎んでいた長男が、自分に子供が生まれることを伝え、それを聞いた父親が息子の嫁に「よろしく」と頭を下げるシーン、いやぁ、グッと来ました。
もうひとつグッと来たのが『春風亭小朝独演会』。小朝師匠が7年ぶりの歌舞伎座での独演会で、共演者の林家正蔵師匠と林家いっぺい君共々、歌舞伎にゆかりのある演目でした。小朝師匠は『中村仲蔵』と『文七元結』で、トリの『文七』が素晴らしかった。歌舞伎の人気演目を、たったひとりで立ちもせずに演じるわけですが、それができちゃうし、しかも遜色ないんですよ。お芝居だったら当然ある「この人の演技が」「あの人の着物が」という余計な情報がないせいか、とても集中できました。もちろんそれは、小朝師匠がこちらを惹き付けてくれるからなんですが。落語って、噺家さんの技量と同時に、観る側の想像力も試される怖い芸だと実感しました。
それからナイロン100℃の『犬は鎖につなぐべからず』もおもしろかったです。岸田戯曲賞はよく耳にするけど、そこに名前が残っている岸田國士のお芝居はほとんど知らなかった私。2月に『禿禿祭』で『命を弄ぶ男ふたり』を観て、難しい話じゃなくて“センス”を書いている人なんだと思っていたのですが、その岸田さんの短編を8本コラージュするという試み自体が、まずおもしろいですよね。ひとつひとつ知っている人は「よくつなげたな」と思ったのでしょうが、ひとつも知らない私はすごく自然で。これを劇団の公演として打つなんて、KERAさんの冒険であり、自信の表れでもあるんだろうな。
中井の気になる!!◆阿佐ヶ谷スパイダース『少女とガソリン』(下北沢・ザ・スズナリ ~7月4日) ◆コクーン歌舞伎『三人吉三』(渋谷・シアターコクーン ~28日) ◆NODA・MAP番外公演『THE BEE』(三軒茶屋・シアタートラム 6月22日~7月29日) ◆東宝ミュージカル『レ・ミゼラブル』(有楽町・帝国劇場 ~8月27日) ◆『お気に召すまま』(渋谷・シアターコクーン 7月5~29日) ◆宝塚歌劇団・雪組『エリザベート』(東京宝塚劇場 7月6日~8月12日)