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2007年07月17日

 

『少女とガソリン』ー濃厚な作品を小空間で体験できる幸せ

 こんにちは、中井です。今月は世界陸上の取材で海外出張があったため、あまり本数は見られませんでした。でも、数は少なくても内容はとっても充実していましたよ。

 まずは阿佐ヶ谷スパイダースの『少女とガソリン』。今回は土地や血が持つ力が描かれていましたが、長塚テイスト濃厚な展開に「この人たちが揃ったら、つまらないわけがない!」という役者陣が絡んで、期待にたがわぬおもしろさでした。これが初舞台の下宮里穂子ちゃんも良かった。「よくぞ見つけてきた」という逸材でしたね。土地や血の力が目覚めていく過程が、女優としてまだ無色の彼女とうまくシンクロしたと思います。

 こういう濃い作品を、スズナリという小さい空間で体験できるって幸せですよね。この作品は「暴走する男たちシリーズ」第3弾で、前2作の上映会を同じ場所で開催したり、劇場を外側から飾りつけたり、スパイダースのスズナリに対する想いを感じました。

 コクーン歌舞伎『三人吉三』は、中村勘太郎君と七之助君が成長著しかったです。6年前の『三人吉三』とは逆の配役で“実は双子だった恋人同士”を演じていたのですが、歌舞伎によくある「ありえないでしょう」という設定を「もしかしたら、あるかも」と思わせてくれる色気が加わっていました。まじめなシーンで桟敷席の中を歩く時も芝居がブレず、感心しました。ひとつだけ残念だったのが、客層が歌舞伎座とほとんど変わらない印象だったこと。せっかくコクーンという場所でやるんだし、作品全体もおもしろいのですから、もっと若い人が観に来られるといいですよね。安いチケットの日を設けるなど、何か工夫できないかな、と思いました。

 そしてオペラ、イタリアのパレルモ・マッシモ劇場の来日公演『カヴァレリア・ルスティカーナ』と『道化師』も素晴らしかったですよ。2作ともペリズモ・オペラというリアリズム追求型の作品で、内容が嫉妬によって生まれる悲劇なので、決して観たあと明るい気持ちにはなりませんが、悲劇の合間に流れる曲がめちゃくちゃ美しい! 真に美しいものは人を悲しくさせると私は思うのですが、それを改めて確信した作品でした。

中井の気になる!!◆NODA・MAP『THE BEE』ロンドンバージョン(三軒茶屋・シアタートラム ~29日) ◆ダンダンブエノ『砂利』(表参道。スパイラルホール 7月21日~31日) ◆ホリプロ『お気に召すまま』(渋谷・シアターコクーン ~29日) ◆こまつ座+シスカンパニー『ロマンス』(三軒茶屋・世田谷パブリックシアター 8月3日~9月30日) ◆地球ゴージャス『ささやき色のあの日たち』(渋谷・シアターコクーン 8月5日~26日)


Profile

中井美穂 (なかい・みほ)
95年、フジテレビ退社後フリーアナウンサーに。現在『旅の香り』(テレビ朝日系・日曜18:56~)、『タカラヅカ cafe break』(MXテレビ・月曜22:00~)に出演。2007年1月スタート『世界陸上~We Love アスリート~』(TBS・金曜25:25~)でのMC、また8月25日~9月2日に開催される『世界陸上大阪大会』でもメインキャスター務める。『STORY』(光文社)連載コラムも好評!