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2007年12月18日

 

ディテールを積み重ねて自然に見せてくれたグリング

 こんにちは、中井です。このところ観劇活動が充実、当たりの作品も多くてうれしい限りです!
 
 まずはグリングの『Get Back!』。やっぱり作・演出の青木豪さんは上手いですね。長年一緒に仕事をしてきたマンガの原作者と作画担当者が別々の道を選ぶという話を、誰もが共感できる作品に仕上げていました。夫婦、恋人、同級生、会社の同期など、同じスタートラインに立っていたふたりが、いつの間にか能力の差が開いて、それをお互いにわかっているけど言えない。

 そういう経験ってありますよね。

 それを、ディテールを積み重ねて自然に見せてくれました。主演の片桐はいりさんはエキセントリックな役を演じることも多いと思うのですが、この作品では、強いけれど本当は優しい人がハマッていました。やはり客演の高橋理恵子さんも素晴らしかったですね。話の本筋とは関係ないけど、ポイントで顔を出す“フツーの人”を見事に演じていらっしゃいました。

『野鴨』も印象に残っています。イプセンの戯曲を、庭劇団ペニノのタニノクロウさんが演出されたんですが、以前、THLの紹介記事で読んでから「庭劇団?」と気になっていたんです。この作品は、小さな劇場全体が森のようにつくり込まれていて、客席数も少なく、すぐ横を役者さんが通って、全体的にとても贅沢でした。物語自体は「この人とは友達になりたくない」と思う人ばかりが出てきて、いかにもイプセン(笑)。今度はぜひ、ペニノ本体でタニノさんの世界をのぞいてみたいです。

 そしてナイロン100℃の『わが闇』もおもしろかった! 3時間20分という長さを感じませんでした。ナイロンはいつも「劇団っていいな」と思わせてくれますね。今回も劇団員の方がみんな「この人じゃないと出来ない」という役で、イヤな性格の役でさえ、見終わったあとにイヤな印象が残らないんです。あ、ナイロンはパンフレットも好きです。毎回、「今度はどんな内容? どこから読もう?」とワクワクしながら広げています。

 最後に『死ぬまでの短い時間』についても。岩松了さんの世界はまだ「うん、わかる!」とは言えませんが、「もう1回見て、もっと理解したい」と初めて思いました。私も成長しているんです(笑)。

中井の気になる!! ◆ミュージカル『テニスの王子様』The Progressive Match 比嘉 feat. 立海(2月11日まで全国各地) ◆宝塚月組『ホフマン物語』(兵庫・宝塚バウホール 1月2日~13日) ◆劇団鹿殺し「2008改訂版・百千万(ももちま)」(下北沢・駅前劇場 1月11日~21日) ◆NODA・MAP『キル』(渋谷・シアターコクーン ~1月31日) ◆新感線『IZO』(青山劇場 1月10日~2月3日)◆RUN&GUN Stage 『ブルーシーツ』(新宿・紀伊國屋ホール 1月9日~20日)


Profile

中井美穂 (なかい・みほ)
95年、フジテレビ退社後フリーアナウンサーに。現在『旅の香り』(テレビ朝日系・日曜18:56~)、『タカラヅカ cafe break』(MXテレビ・月曜22:00~)に出演。2007年1月スタート『世界陸上~We Love アスリート~』(TBS・金曜25:25~)でのMC、また8月25日~9月2日に開催される『世界陸上大阪大会』でもメインキャスター務める。『STORY』(光文社)連載コラムも好評!