Categories

Recent Comments

Recent Trackbacks

≪ 2008年01月 | Home | 2008年03月 ≫

2008年02月19日

 

寝たきり老人が突然元気に…いろいろなことを考えさせられた三田村組

 こんにちは、中井です。仕事でもプライベートでも北へ行くことの多かったこの冬ですが、東京では相変わらず、小劇場から大劇場まで出かけまくっています。

 今月、特に印象深かったのは三田村組の『天井』です。三田村組は、三田村周三さんというベテランの方が、気の合う俳優仲間に声をかけ、公演のたびに若い劇作家に脚本と演出を依頼する形を取っているそうで、『天井』はモダンスイマーズの蓬莱竜太さんの作・演出でした。

『天井』は、寝たきり老人が突然元気になる話です。元気になるのは本来はいいことなのですが、まわりの人は老人がずっと寝たきりだと思うから、果たせない約束もするし、他の人の前では見せない秘密や本音もさらけ出すし、老人が間もなく死ぬという想定のもとに人生の予定を立てています。だから老人が元気になっても、家族や周囲の人は単純に喜べない。一方で老人は、体力だけでなくエゴも復活して、昔以上にわがままに振る舞うようになる──。とても皮肉な話ですが、どっちの立場も身につまされますよね。蓬莱作品には珍しく、悪い人がたくさん出てきましたが、どの人の気持ちもそれなりに分かるんですよ。再び寝たきりになった老人は、結局、「見飽きた」と言っていた天井を見つめて亡くなります。それに気付いたのが、1番使えないと言われていた介護士だったのも効いていましたね。観た後でいろいろなことを考えさせられた作品でした。

 それと劇団☆新感線の『IZO』も良かった。いつもの極彩色てんこもりの「いのうえ歌舞伎」を期待していくと、肩透かしを食ったかもしれませんが、丁寧に時代劇をつくっていると感じました。青木豪さんの書いたせりふも美しくて、特にラスト15分で気持ちが持っていかれました。主演の森田剛君の“野良犬感”もとても良かったし、戸田恵理香さんはこれが初舞台とは思えない腹の座り方で、これからもどんどん舞台に出てほしいと思う、いい女優さんでした。その青木さんが演出し、イキウメの前川知大さんが脚本を書いた『ウラノス』。どちらも大好きなクリエイターで「このふたりが組んだらいったいどうなるの?」と楽しみだったのですが、今回は残念ながら、ものすごい化学反応は見られなかったように思います。私の期待が大きすぎたのかもしれませんが、次!! に期待です。

中井の気になる!!◆恋する妊婦(渋谷・シアターコクーン ~28日) ◆ファントム(表参道・青山劇場 ~22日) ◆親族代表THE LIVE「 (発電所)」(新宿・THEATER/TOPS ~24日) ◆「空白に落ちた男」(森下・ベニサンピット ~28日) ◆「春琴」(三軒茶屋・世田谷パブリックシアター ~3月5日) ◆宝塚雪組 ラブ・ロマンス『君を愛してる-Je t'aime-』/ショー・ファンタジー『ミロワール』-鏡のエンドレス・ドリームズ-(有楽町・東京宝塚劇場 ~3月16日) ◆イキウメ「眠りのともだち」(赤坂RED/THEATER 2月27日~3月9日)


Profile

中井美穂 (なかい・みほ)
95年、フジテレビ退社後フリーアナウンサーに。現在『旅の香り』(テレビ朝日系・日曜18:56~)、『タカラヅカ cafe break』(MXテレビ・月曜22:00~)に出演。2007年1月スタート『世界陸上~We Love アスリート~』(TBS・金曜25:25~)でのMC、また8月25日~9月2日に開催される『世界陸上大阪大会』でもメインキャスター務める。『STORY』(光文社)連載コラムも好評!