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2008年07月21日

 

『SISTERS』は地方に追いかけてでも観るべき舞台

 こんにちは。中井です。観劇に夏休みなし。今月もたくさんの舞台を観てきました。

 衝撃的だったのは『SISTERS』。

 作・演出の長塚圭史さんは、男性なのになぜ娘の立場から見た親子の話、姉の立場から見た姉妹の生々しいせりふが書けるのでしょう? 同じパルコ劇場での『マイ・ロックンロールスター』で初めて長塚作品に触れ、一気にその世界に惹かれた私ですが、数年の間にこんな作品を書く人になったことに驚き、これからもっといろいろな戯曲を書いて私たちを驚かせてくれる人だということを確信しました。

 それにしても主演の松たか子さんは凄かった。松さんの長ぜりふの迫力に客席も緊張して…。女であり、女優であり、演じるという点で狂気の人でもある彼女だからこそ、実現した作品でしたね。ラスト近くに、ある仕掛けが施されるのですが、それによって、登場人物たちの足元が不安定になるのと同時に、観ているこちらの気持ちも不安定になって……。ドキドキしました。東京公演を観られなかった方は、地方に追いかけてでも観るべき舞台だと私は思います。

 緊張感では『羊と兵隊』も負けていませんでした。主演の中村獅童さんは、いつものイメージとはまったく違う抑えた役でしたが、おそらく素の獅童さんが持っているであろう繊細で柔らかな雰囲気が感じられ、私は今までで一番色っぽいと感じました。作・演出は岩松了さんで、例によって説明ぜりふはなく、唐突にダンスのシーンが出てきたりして、確かに分かりにくいのですが、最近何作が続けて岩松作品を観て、少しその世界への接し方が分かってきました。以前はいちいち「それ、どういう意味?」と好戦的になりがちだったのが、考えずに舞台の空気に身を任せることで、言葉でないもの、空気や雰囲気で何かを感じさせようとしているんだということが分かってきたのです。そうすると、表面には表れてこない静かで深い感情が伝わってくるんですよね。

 反対に躍動的だったのは『道元の冒険』。何役も早変わりし、膨大なせりふを喋る役者さんたち、お疲れさまでした! でも、道元役として周囲のパワーをひたすら受け止めていた阿部寛さんが実は1番大変だったのかも。井上ひさしさんの戯曲は、ちょっと難しいというイメージがあるのですが、こうしてなじみのある役者さんが出演され、蜷川幸雄さんが演出されることで身近になりますね。とてもいいコラボレーションだと思いました。

中井の気になる!!◆『ミュージカル テニスの王子様』(日本青年館 大ホール 7月29日~8月17日) ◆宝塚花組『愛と死のアラビア』『レッド・ホット・シー』(東京宝塚劇場 ~8月17日) ◆『幕末純情伝』(新橋演舞場 8月13~27日) ◆グリング『ピース』(下北沢・ザ・スズナリ 7月30日~8月11日) ◆『女教師は二度抱かれた』(渋谷・シアターコクーン 8月4~27日) ◆『ガラスの仮面』(彩の国さいたま芸術劇場 大ホール 8月8~24日)


Profile

中井美穂 (なかい・みほ)
95年、フジテレビ退社後フリーアナウンサーに。現在『旅の香り』(テレビ朝日系・日曜18:56~)、『タカラヅカ cafe break』(MXテレビ・月曜22:00~)に出演。2007年1月スタート『世界陸上~We Love アスリート~』(TBS・金曜25:25~)でのMC、また8月25日~9月2日に開催される『世界陸上大阪大会』でもメインキャスター務める。『STORY』(光文社)連載コラムも好評!