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2008年09月15日

 

やっと本拠地の「庭劇団ペニノ」でタニノクロウを体験

 こんにちは、中井です。暑い夏、私は涼しい劇場でたくさんの思い出をつくりました。

 ひとつは庭劇団ペニノ。以前、プロデュース公演で『野鴨』を観たり、何人かのクチコミからタニノクロウさんに興味を持っていたのですが、やっと本拠地の劇団でタニノさんが作・演出する舞台を観ることができました。『星影のJr.』というタイトルにあるJr.とは、おそらく主演のタクミ君のこと。日仏ハーフの小学生を中心にした家族劇で、当日パンフレットのタニノさんの文章には「これはタクミ君のための公演」とあり、物語は学校の授業のように「1時間目」「2時間目」と区切られて進むのですが、ずいぶん思い切った授業をするなぁというのが正直な感想です。これはほめ言葉で、冷めた夫婦生活や、父親と愛人の肉欲の結びつきなど、大人から見れば肉感的で不道徳な出来事も、子供の目にはただの風景のように映るのかもしれない、と気づかされました。それがあとから意味と結びついて、私たちが持っている常識や先入観になるのかもしれません。タクミ君の夏休みの絵日記をのぞいているような感覚に、そんなことを思いました。タニノさんはきっと“絵”で舞台をつくる人なのでしょう、小さなスズナリでセットの転換を何度も繰り返して、絵づくりにこだわっているように見えました。犬になっても息子の近くにいようとする母親の情念は、ひたすら怖かったです!

 もうひとつ、初めて観た劇団がサスペンデッズ。作・演出は早船聡さんで、新国立劇場の「シリーズ・同時代」で『鳥瞰図』の脚本を書かれた方です。ご自身の劇団の新作『MOTION&CONTROL』では、『鳥瞰図』とはまったく違う、青春の匂いたっぷりの世界を見せてくれました。大学の映研と、それから10年くらいたった今と、ふたつの時間が交互に描かれ、その中で、ひとりの女性をめぐるふたりの男性の考え方、生き方の違いが浮かび上がります。この大学時代のエピソードが、いちいち自分の過去とシンクロしまくり。個人的な感情としてフィードバックして、胸がつまったり恥ずかしくなったり、大忙しでした。

『ガラスの仮面』は、あの壮大な原作をどう舞台にするのか興味津々でしたが、登場するエピソードがどれもストライクゾーン! しかも、天才演劇少女のバトルではなく“舞台は観客によって仕上げられる”という柱を立てたことで、観ている私たちも気持ち良く巻き込まれました。私が子供だったら、夏休みの絵日記に間違いなく、この舞台のことを描いたことでしょう。続編、待っています!

中井の気になる!!◆NYLON100℃『シャープさんフラットさん』(下北沢・本多劇場 9月16日~10月19日) ◆『TheDiver』(三軒茶屋・シアタートラム 9月26日~10月13日) ◆笑福亭鶴瓶落語会(紀伊國屋サザンシアター 10月1~5日) ◆ハイバイ『オムニ出ス』(原宿・リトルモア地下 10月19日~11月5日)


Profile

中井美穂 (なかい・みほ)
95年、フジテレビ退社後フリーアナウンサーに。現在『旅の香り』(テレビ朝日系・日曜18:56~)、『タカラヅカ cafe break』(MXテレビ・月曜22:00~)に出演。2007年1月スタート『世界陸上~We Love アスリート~』(TBS・金曜25:25~)でのMC、また8月25日~9月2日に開催される『世界陸上大阪大会』でもメインキャスター務める。『STORY』(光文社)連載コラムも好評!