KERAさんの芝居を見て自分が作家でもないのにヒリヒリ
こんにちは、中井です。すっかり秋が深まりましたね。季節のせいではないでしょうが、いろんなことをじっくりと考えさせられる舞台にたくさん出合いました。
『ゆすり』は、平田満さんと井上加奈子さんご夫妻のユニット、アルカンパニーに、グリングの青木豪さんが書き下ろし、演出も手がけた作品です。出演は平田さんと井上さん、そして大谷亮介さんという大人の3人で、内容もとっても大人でした。小心者の善人にしか見えない平田さんが、実は大谷さんと井上さんをゆすりに来た怖い人…で終わる話かと思ったら、むしろそれはきっかけで、そこから露わになったのは兄と妹の近親相姦や、不安定な妹の精神状態。本当に怖いのは誰なのかを何度も考えさせられました。そして、こんなふうに怖くてエロい話を書いてしまう青木豪という作家について興味が深まりました。
作家への興味という点では、半自伝とも言える『シャープさんフラットさん』を書いたKERAさんも、ますます目が離せなくなりました。 作家や演出家を主人公にした舞台は少なくありませんが、KERAさんの手にかかると苦悩の切実度が増して、自分が作家でもないのにヒリヒリするんです。笑いに取りつかれ、恋人とも劇団とも上手く付き合えなくなった作家を見ていると、何をおかしいと感じるかは、その人の本質的な部分をむき出しにすることで、その分、そこがズレてしまうと残酷な結果を生んでしまうのだと改めて教えられました。それにしても、ほぼ同じ脚本を2組で交互に上演する企画はおもしろかったです。役者さんが変われば、役の印象、話の印象が変わるのは当然だとは思っていましたが、まさかこんなに変わるのかと。そしてKERAさんのお芝居を観るたびに思うのですが、ぜひサントラをつくってほしいです!
NODA・MAPの『The Diver』は、野田秀樹という才能豊かな劇作家が、キャサリン・ハンターという才能あふれる女優に出会った奇跡を堪能しました。まるで魂の双子のように、野田さんがイメージすることをせりふでも動きでもやりこなしてしまうのがキャサリンなのではないかと感じたのです。お互いに長いキャリアを重ねてきて、しかも外国人同士で、こんなふうに深い絆を結べるふたりが出会えるのはすごいことですよね。そして彼らがつくる生の舞台を、シアタートラムという小さな空間で味わえたのは、観客としての奇跡でもあると思いました。
中井の気になる!! ◆ミュージカル『テニスの王子様』東京凱旋公演(池袋・東京芸術劇場 中ホール 10月30日11月3日) ◆パルコプロデュース『幸せ最高ありがとうマジで』(渋谷・PARCO劇場 10月21日11月9日) ◆新国立劇場『山の巨人たち』(初台・新国立劇場 中劇場 10月23日11月9日) ◆『表裏源内蛙合戦』(渋谷・シアターコクーン 11月9日12月4日) ◆『昭和島ウォーカー』(新大久保・東京グローブ座 11月223日)