宝塚で「カラマーゾフの兄弟」!? 取り越し苦労の素晴らしい出来栄え
こんにちは、中井です。2009年も始まったばかりというのに、もう続々といい舞台が動き出していますね。ほんの一部ですが、その感想を皆さんにお伝えしていきます。
まず1本目は、宝塚雪組の『カラマーゾフの兄弟』。「宝塚でカラマーゾフ?」と驚いた方、いらっしゃいますよね? 私も演目だけ聞いた時は、正直、違和感がありました。ドフトエフスキーの原作を私は読んでいないのですが、暗くて重くて長い文芸作品だということは知っています。でも、どんな原作であれ、宝塚で上演するなら一定のルールの中で再構成されることになります。男性が主人公で、その男性が格好よく描かれること、歌と踊りを入れること、この公演では休憩を含めて2時間半にまとめることなどなど……。そこにうまくハマるのか、よく分からなかったからです。でも、そんな心配はいりませんでした。宝塚のセオリーの中でかなりアレンジされたのだろうな、と分かるのですが、脚本・演出の斎藤吉正さんは、人の罪をかぶる男の美学を採りいれ、テンポよく話をまとめてくれました。音楽が『ゲド戦記』も手がけられた寺嶋民哉さんなのですが、ゲーム音楽的なポップさが分かりやすさを助けてくれたと思います。ラスト、ロシア民謡などがテクノっぽくアレンジされてダンスが始まるのですが「これはこれであり!」と納得。なのに原作のイメージを何ひとつ損なうことのない出来栄えでした。
青木豪さんが脚本を書いた『空の定義』も心が打たれました。俳優座プロデュースで、私がこれまで観ることのなかった新劇系劇団の役者さんが何人も出演されていたのですが、主人公をナイロン100℃の松永玲子さんが演じていたこともあって、親しみを感じました。内容は、学生運動をしていた人とその子供の確執と和解です。学生運動という硬いテーマを使いながらこんなふうに家族の話ができるんだ、と驚きました。青木さんは、痛くて沁みる家族の話をよく描かれるのですが、その感触はそのままに、でも『空の定義』にはいつもより大きな世界観を感じました。家族を捨てて革命を選んだのが女性という設定もおもしろかったですね。
KERA・MAPの『あれから』もよかったです! 思い返すと、渡辺いっけいさん、よかった。高橋ひとみさん、よかった。萩原聖人さん、よかったと、次々と出演者の方が浮かんできて……。これって、いい作品だったという何よりの証ですよね。
中井の気になる!! ◆騎馬スペクタクル ジンガロ『バトゥータ』(清澄白川・木場公園内ジンガロ特設シアター 1月24日~3月26日) ◆オリガト・プラスティコ『しとやかな獣』(新宿・紀伊國屋ホール 1月29日~2月8日) ◆『ちっちゃなエイヨルフ』(東池袋・あうるすぽっと 2月4~15日) ◆『その夜明け、嘘』(青山円形劇場 2月7日~23日) ◆『アルターボーイズ』(新宿FACE 2月10~22日) ◆『マルグリット』(赤坂ACTシアター 2月10~18日) ◆宝塚花組『太王四神記』(東京宝塚劇場 2月13日~3月22日) ◆『夜の来訪者』(新宿・紀伊國屋ホール 2月14日~3月15日)