凄すぎる鳳蘭さんの存在感と清水邦夫さんの戯曲
こんにちは中井です。今月もたくさんの作品を見ました。担当の編集者の方に「舞台と仕事のバランスがおかしくありませんか」と言われました…。
今月真っ先に取り上げなければいけないのが『雨の夏、三十人のジュリエットが還ってきた』。戦争で解散してしまった少女歌劇団の、かつての娘役のスターが『ロミオとジュリエット』の稽古を続けながら今もなおゴールデンコンビといわれた相手役の登場を待ち続けるというお話。娘役トップスターの三田和代さんが待ち望む相手役を演じた鳳蘭さんの存在感にとにかく圧倒されました。鳳さんがセットとなっている大階段の上から現れるのですが、これが何年も宝塚のトップを務めてきた人の降り方なんだと思いました。こんな相手役に巡り会ったら自分の残り人生をかけて待つだろうな、と納得させられました。
そしてなにより脚本の清水邦夫さんの台詞が物凄く刺さるんです。夢の世界に生きてきた女優さんの人生の幕の引き方。それを支える男性たちの姿。戦争を経て変わってしまったそれぞれの人生。老いをどう受け入れて生きていくのか。息をのむような美しい言葉、印象的な台詞が襲ってきて、しばし立ち上がれなくなるほど。カーテンコールで流れた清志郎さんの「デイドリーム・ビリーバー」の歌詞がまた芝居のテーマに合っていて、また涙。
『楽屋』も清水さんの作品。生瀬勝久さんが演出しているからか、コメディーシーンも多く、笑っているうちに、女優として生きるということの恐ろしさ、切なさ、魅力を余すところなく感じさせてもらいました。
女性というものを知り尽くしたかのような美しい言葉が散りばめられた清水さんの作品はもっと見なくちゃ。とにかく戯曲が読みたい、と思いました。
『夏の夜の夢』は再演。前回は見られなかったのですが、とても評判がよくてぜひ見たかった作品でした。パック役のチョウソンハさんの台詞と最後のシーンに感動。回り舞台がぐるっと回るとそこは舞台装置の裏。スタッフさんも見切れて早替わり室もよく見えるし、衣装を脱いだ出演者が皆登場し、役ではなく役者の姿と表情をさらけ出す。演劇っていいなあとぐっときました。
『鴨川ホルモー』は本屋大賞連続上演シリーズの最終作。このシリーズは3本あったのですが、どれも劇場、演出家、演者がうまくかみあっていて、とてもいい企画だったと思います。またこういうシリーズを仕掛けてくれないかな~と思いました。
中井の気になる!! ◆「桜姫」(渋谷・シアターコクーン 30日) ◆「炎の人」(天王洲 銀河劇場 28日) ◆「グローリー・デイズ」(新宿FACE 25日) ◆「Mr.PINSTRIPE 2009」(青山劇場 2528日) ◆さいたまゴールド・シアター「アンドゥ家の一夜」(彩の国さいたま芸術劇場 小ホール 18日7月1日) ◆「NINAGAWA 十二夜」(新橋演舞場 2027日) ◆「現代能楽集 鵺」(初台・新国立劇場 小劇場 7月220日)