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“演劇の神様”のような存在に思えた『桜姫~』での笹野高史さん

 こんにちは、中井です。本格的な夏ですね。暑さに負けず、劇場通いを続けましょう!

 今月、強く印象に残っているのは『桜姫~南米版』。脚本を書いた長塚圭史さんは、以前はひとつのことをいろんな言葉で説明しているイメージでしたが、劇団公演の『失われた時間を求めて』から、観客に大きなテーマを投げて説明しないようになってきている印象に変わりましたね。初日開けてすぐと千秋楽前日の2回見たのですが、そういう抽象的な内容だったせいか、最初は役者さんたちが探り探りだったのが、あとになるとそれぞれが自分の色を出していて、印象がまったく違いました。歌舞伎の『桜姫東文章』はあらすじしか知らないのですが、アッパークラスの人も底辺で生きる人も、ひと皮むけば結局は似たようなものだというメッセージは、何となく共通しているような気がします。笹野高史さんの役割が、都合のいい時に必要なものを持ってきたり、片付けたり、作者が持っていきたい方向に物語を引っ張っていくという、歌舞伎でいえば黒子ですが、もっと広く“演劇の神様”のような存在だといえる気もして、おもしろかったですね。

 シアタークリエで上演された『ゼブラ』は、ヒロイン役が交替して現場は大変だったと思いますが、星野真里さんは主人公のキャラクターにぴったりで、まるで最初からキャスティングされていたようでした。夫の愛人と会った斎藤由貴さん演じる長女が、その愛人が帰った後に茶碗を投げつけるシーンになぜか私のスイッチが入り(そんな経験はないのに!)、そのあとは胸が詰まりっぱなしでした。小劇場の作品がプロデュース公演で大きくなった成功例だと思います。

『COCO』は、先月から続くマイブーム、鳳蘭さんのシャネルがとにかく格好よかった! コレクションに失敗した晩年のシャネルから話が始まるのがよかったですね。

 宝塚月組の『エリザベート』は、自分のトートをつくり上げていた瀬奈じゅんさんが素晴らしかった。彼女はルキーニ、そして男役でありながらエリザベートも演じた経験もあり、この作品で3役演じたことのある、おそらく世界で唯一の人。東宝版は演じる人に合わせて振付が変わりますが、宝塚版は同じ歌詞、同じ振付なので、逆に演じる人の個性が問われます。瀬奈さんは満を持してのトートで「見せどころをわかっている!」というまさに美しく、妖しく歌い踊り誘う宝塚のトートでした。

中井の気になる!! ◆ONEOR8『躾』(吉祥寺シアター ~26日) ◆ペンギンプルペイルパイルズ『cover』(下北沢・本多劇場 ~26日) ◆モダンスイマーズ『血縁』(赤坂RED/THEATER ~8月2日) ◆コクーン歌舞伎『桜姫』(渋谷・シアターコクーン  ~30日) ◆『オペラ・ド・マランドロ』(池袋・東京芸術劇場中ホール 25日~8月2日) ◆『スペリング・ビー』(天王洲 銀河劇場 ~8月2日)

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Profile

中井美穂 (なかい・みほ)
95年、フジテレビ退社後フリーアナウンサーに。現在『旅の香り』(テレビ朝日系・日曜18:56~)、『タカラヅカ cafe break』(MXテレビ・月曜22:00~)に出演。2007年1月スタート『世界陸上~We Love アスリート~』(TBS・金曜25:25~)でのMC、また8月25日~9月2日に開催される『世界陸上大阪大会』でもメインキャスター務める。『STORY』(光文社)連載コラムも好評!