作り手の皆さんの姿勢が素晴らしいコクーン歌舞伎十五周年企画
こんにちは、中井です。『世界陸上』の出張前、たくさんの舞台でエネルギーチャージしました。まずは、先月に続いてコクーン歌舞伎です。鶴屋南北の名作『桜姫』を先月は現代版に書き換え、今月は古典をコクーン版演出で上演するという試みでした。普通に2カ月やってもいいのに、十五周年ということもあって、あえてこういう企画を立てて冒険する。作り手の皆さんの姿勢が素晴らしいですよね。2作観たことで私自身、『桜姫』という作品をより深く感じることができました。古典版のラスト、中村七之助さん演じる桜姫が、赤ん坊を抱いている姿が神々しくて、パッと聖母マリアをイメージしたのですが、奇しくも現代版の桜姫の役名がマリア。偶然なのか仕掛けなのかは分かりませんが、贅沢な舞台の見方を経験せさてもらいました。
ペンギンプルペイルパイルズの『cover』もよかったです。オープニングの自動車のシーンから、まさかあんなにしみじみしたラストになるとは……。深いテーマなのに淡々として、でも笑えて、さらに切ない。キーパーソンの谷川昭一朗さんが“さりげなく上手い大人の役者”でカッコよかったです。前回の劇団公演とは印象がまったく違って、作・演出の倉持裕さんの引き出しの多さを感じました。パンフレットに倉持さんが「書きたいことはたくさんある」と書かれていたので、それを追いかけていきたいと思います。
役者の上手さを感じた作品をもう1本。世田谷パブリックシアターで上演した『奇ッ怪』です。小泉八雲の短編をイキウメの前川知大さんが構成、演出した作品で、メーンの出演者が仲村トオルさん、池田成志さん、小松和重さん。話をしながらクルクルと役が変わって、いくつもの話を行き来するのが、とてもスムーズでした。技量がなければできないことで、お三方のおかしみや色気と共に、自在な演技力を堪能しました。これも、八雲と前川さんを組み合わせた企画の勝利ですね。
大好きなモダンスイマーズの『血縁~飛んで火に入る赤木五兄弟』もおもしろかった! 旗揚げ十周年記念作品ということで、メンバー全員で作・演出、いつもは作・演出の蓬莱竜太さんが役者として出演されていました。途中に『スリラー』のダンスがあったり、最後まで堪能しました。こんなお祭りができる劇団がどれだけあるのか考えたら、やっぱりモダンは幸せな劇団で、それを見られる私も幸せだとつくづく感じたのでした。
中井の気になる!! ◆宝塚星組『太王四神記』(東京宝塚劇場 ~9月13日) ◆ザ・ミュージカル アイーダ 宝塚歌劇「王家に捧ぐ歌」より(東京国際フォーラム ホールC 8月29日~9月13日) ◆NODA・MAP『ザ・ダイバー』日本バージョン(東京芸術劇場 小ホール1 8月20日~9月20日) ◆ミュージカル『ジェーン・エア』(日生劇場9月2~29日) ◆『ワルシャワの花』明石家さんま主演(世田谷パブリックシアター 9月5~16日) ◆英国ロイヤルバレエ『兵士の物語』(新国立劇場 中劇場 9月11~16日)