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10時間でも興味が途切れない『コースト・オブ・ユートピア』

 休憩も入れると通し上演が10時間15分の『コースト・オブ・ユートピア』を観ました!

 終わった時はさすがに得も言われぬ達成感がありましたね。19世紀ロシアの話なので、そのあたりの歴史に私がもっと詳しければ、もっと楽しめたんだろうな、という感は否めませんが、それでも舞台作品として十分におもしろく「観てよかった!」と思えるものでした。追っても追ってもせりふを咀嚼しきれないのに、興味が途切れず、気持ちが持っていかれたのは、やっぱり役者さんの力ですね。阿部寛さんや池内博之さんというモデル出身の方が、勝村政信さんや石丸幹二さんという劇団出身の方と渡り合って大きな作品をつくり上げているのが、今の日本の演劇界のおもしろさだとも思いました。ヅカファンとしては、元宝塚の紺野まひるさんが素晴らしい演技を見せてくれたのもうれしかったです。

 ヅカと言えば、星組の新トップコンビのお披露目公演となった『太王四神記』も良かったです。新トップの柚希礼音さん、夢咲ねねさんは、どちらも長身でキラキラしたルックス。この作品は今年1月、花組でも上演されましたが、ふたりに代表される星組の個性が、花組版とはまったく違う『太王』をつくりました。花組が緻密に作品を構築して、物語の世界観をていねいに伝えたとしたら、星組はケレンと勢いで観客を巻き込む感じ。どちらにも良さがあって、競作の成功例ですね。この作品はもしかしたら『ベルサイユのばら』や『エリザベート』のように、各組が手がける名作になるかもしれません。

 その星組で4月まで男役トップだった安蘭けいさんが、退団後初めて舞台に立ったのが『アイーダ』です。男役を卒業して半年もたたないうちに女性役を演じると、ほとんどの場合(そんなケース自体がまれですが)、違和感が生まれます。安蘭さんはそれがまったくなく、これからの活躍を予感させました。それにしても気になるのは、元宝塚の女優さんが増え続ける中、ミュージカルで彼女たちの相手役になる男優さんが同じくらい増えているのか、ということです。『アイーダ』の伊礼彼方君は健闘していましたが、こういう人材がますます増えてほしいですね。

 松たか子さん主演のミュージカル『ジェーン・エア』も、マツタカファンの私は大満足の1作でした。若いし、大きな苦労などなかったと思える育ちなのに、どうしてあんなリアリティーある人間像が演じられるのか。ひき込まれながらも不思議に思います。

 今回に限らずなんですが、松たか子さんの舞台はぜひ多くの人に観てほしいと思います。

中井の気になる!! ◆ハイバイ「て」(池袋・東京芸術劇場小ホール1 9月25日~10月12日) ◆新感線「蛮幽記」(新橋演舞場 9月30日~10月27日) ◆ナイロン100℃「世田谷カフカ世田谷カフカ~フランツ・カフカ『審判』『城』『失踪者』を草案とする~」(下北沢・本多劇場 9月28日~10月12日) ◆ミュージカル「CHICAGO THE MUSICAL」(赤坂ACTシアター 10月1~25日) ◆「印獣」(渋谷・PARCO劇場 10月13日~11月8日)

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Profile

中井美穂 (なかい・みほ)
95年、フジテレビ退社後フリーアナウンサーに。現在『旅の香り』(テレビ朝日系・日曜18:56~)、『タカラヅカ cafe break』(MXテレビ・月曜22:00~)に出演。2007年1月スタート『世界陸上~We Love アスリート~』(TBS・金曜25:25~)でのMC、また8月25日~9月2日に開催される『世界陸上大阪大会』でもメインキャスター務める。『STORY』(光文社)連載コラムも好評!