『世田谷カフカ』と『印獣』でチームワークの妙を堪能
こんにちは、中井です。今年も残り40日。あと何本、舞台を見られるでしょうか? さて、今月もまたKERAさんに楽しませてもらいました。『世田谷カフカ』は、カフカの未完の長編小説3本をまとめると聞いていたので「どんなふうにするんだろう?」と思っていたら「こんなやり方があるんだ!」と。それぞれの主人公と登場人物にカフカ本人まで出てくるし、ダンスや映像もありと、たくさんの要素を入れ込んでいたのですが、すべてが見事にしっくりきたのです。でもそれがしっくり感じられたのは、間違いなくナイロン100℃という劇団でやったから。プロデュース公演で同じようなことをしようとしても、こんな仕上がりにはならなかったでしょう。
劇団とは違うチームワークを見せてもらったのは、ねずみの三銃士の『印獣』です。生瀬勝久さん、池田成志さん、古田新太さんの3人が「おもしろい舞台をつくろう」と集まって、おもしろくないはずがありません。しかも脚本が宮藤官九郎さん、演出が河原雅彦さんなら間違いなしでしょう。とはいえ、この作品の本当の主人公は三田佳子さん。スターがスターであった時代の芸能界で、世間の常識とは違う生活を送って来たであろう三田さんだからこそできる迫力満点の役でした。とんでもない格好もさせられたりしていましたが、これを中途半端にやっていたら、むしろ看板に傷が付いていたでしょう。それを堂々とやりきったところに“本物”を感じました。岡田義徳さんの好演も光ってました。
劇団☆新感線の『蛮幽記』も文句なしのおもしろさでした。以前から早乙女太一君は絶対に新感線に出るべきと思っていて、彼本人も出たいと言っていたのを知っていましたから、まさに夢がかなった舞台です。この作品は2度見たのですが、太一君は声からして変わっていて、いいカンパニーでお芝居をしている充実感、ぐんぐん吸収していい役者さんになっていく様子がよくわかります。復讐から始まる物事には勝者も敗者もなくただ悲しみがあるだけなんだなと。また観たくなる作品でした。
彩の国さいたま芸術劇場のネクストシアター『真田風雲録』には感動しましたね。小劇場の劇団はなじみがある私ですが、それ以外の形で、若手の役者が集まった演劇集団と言われてもピンと来ません。演出を蜷川幸雄さんがなさったことで初公演を観に行ったのですが、劇場の床を泥一面にして役者さんを動かす演出に驚きつつも納得。合戦って、こういうことなんですよね。役者さんもスタッフの皆さんも死ぬほど大変だったと思いますが、そんな演出を貫いた蜷川さんは、本当にパンキュッシュな方だと思います。与野本町まで行く価値のある作品でした。
中井の気になる!! ◆パルコ・プロデュース『海をゆく者』(渋谷・PARCO劇場 12月8日) ◆『フロスト/ニクソン』(天王洲アイル・天王洲 銀河劇場 18日12月5日) ◆Bunkamura20周年記念企画『12人の怒れる男』(渋谷・シアターコクーン 17日12月6日) ◆宝塚月組『ラストプレイ祈りのように』『Heat on Beat!』(東京宝塚劇場 27日12月27日) ◆バンコク・シアター・ネットワーク×東京芸術劇場共同制作『赤鬼/農業少女』(池袋・東京芸術劇場 小ホール1・2 1923日)