タニノさんの頭の中を少しだけ垣間見られたポストトーク
こんにちは、中井です。2009年も残りわずか。観劇もラストスパートかけてます!
まず『海をゆく者』、作品もキャストもよかったです。アイルランドを舞台にした話は、暴力的な若者を描いた『ウィー・トーマス』などのマクドナー作品しか知らなかったのですが、マクファーソンという劇作家が書いたこの話は登場人物がおじさん5人。なのに全体的な印象、セットの雰囲気がよく似ていて、すんなりその世界に入れました。途中から悪魔が出てくる意表を突く設定なのですが、アイルランドでは“神様や悪魔と契約する”という感覚が普通に根ざしているのでしょう、違和感はなく、終盤はグッと引き込まれました。小日向文世さん演じた悪魔は、喪黒福三をもっと理詰めにしたような銀行員風の風貌で、だからこそ怖かったです。役者さんは全員が達者。毎日違う仕掛けがあるんだろうな、と想像させる余裕は、この座組みならではでした。幸せな終わり方も良かったです。
幸せな終わり方と言えばグリングの『jam』も印象的でした。青木豪さんは「忘れていたけど、かつて友達に言われて傷付いた言葉、自分が親友に対して心の中で抱いた一瞬の黒い感情」を思い出させる芝居を書く人。今回も痛い気持ちになることたびたびでした。でもギリギリのラストで、ほんのり明るいものを提示してくれる。公演のたびに観に行っていた劇団なので活動休止になるのは寂しいですが、また会えるのを楽しみに心待ちにしたいと思います。
庭劇団ペニノの『太陽と下着の見える町』は、ポストトークの司会をさせていただくために稽古場も見学させていただき、事前の期待がかなり高まっていたのですが、本番は期待以上でした。作・演出のタニノクロウさんは、ファンタジックな部分とストレートな性欲の部分のバランスが抜群におもしろい方ですね。どちらかに転ぶことなく最後まで駆け抜けて、思いもよらない、でも納得の落とし所に着地してくれました。広い会場でペニノを見られたのも貴重でしたし、ポストトークでタニノさんの頭の中を少しだけ垣間見られ、いい経験をさせていただきました。
同じくフェスティバル/トーキョーのプログラムで、観客が貨物となって東京から横浜までトラックで運ばれるリミニ・プロトコルの『Cargo Tokyo-Yokohama』も本当に行ってよかったです。まず、流通という観点から都市を見るという発想がおもしろいですよね。でも実行となると、日本の法律や規制をクリアするだけでも相当大変なはず。それなのに緻密な演出がなされていて、3時間近い行程、まったく飽きることなく過ごせたのは驚きです。登場する物流センターで働く人や物流博物館の職員さんたちの生の言葉も素敵でした。観客を運んでくれたふたりのドライバーさんもとても魅力的で「こんなふうに愛情と誇りを持って自分の仕事について語れる人が何人もいる」という発見もうれしかったですね。
中井の気になる!! ◆『ミュージカル テニスの王子様』(日本青年館大ホール ~24日) ◆『マレーヒルの幻影』(下北沢・本多劇場 ~27日) ◆『東京月光魔曲』(渋谷・シアターコクーン ~1月10日) ◆『志の輔らくごin PARCO』(渋谷・PARCO劇場 1月5~31日) ◆宝塚宙組『カサブランカ』(東京宝塚劇場 1月3日~2月7日) ◆『ミュージカル キャバレー』(日生劇場 1月7~29日) ◆冨士山アネットproduce『EKKKYO-!』(池袋・東京芸術劇場小ホール1 1月14~17日)