これからは演劇の現場にZUKAZUKA行きます!!
こんにちは、中井です。2~3月は注目作品が目白押しで、どこに足を運ぼうかと思案の毎日でした。
モダンスイマーズの『凡骨タウン』は、昨年上演した『夜光ホテル』のその後を描いた作品。
作・演出の蓬莱さんの作品は今までは、具体的なエピソードを重ねて物語を分厚くして、ストーリーでお客さんを引きつけるという手法を取っていたと思うのですが、今回はセットも抽象的にし、エピソードを投げ掛けて観客の想像力を刺激するというやり方を取っているように思えました。
1月に長塚圭史さんに取材したときにも感じたのですが、今までストーリー性を重視していた人たちが、事件性を放棄するというか、全貌を見せず、私たちに考えさせるようになってきたように思えます。具体例がなければ、取り方次第で見た人によってストーリーは膨らんでいきます。そういうアプローチの仕方が面白くなってきたということなんでしょうか。今度機会があったら聞いてみたいですね。
蓬莱さんは自転車キンクリートSTOREの『富士見町アパートメント』でもそんな感じ。事件で物語が動くのではなく、登場人物の内なるものから発生することによってストーリーが展開します。そして登場人物の2人の関係性については断片的に語らるため、謎は謎のまま話は進みます。なにか深読みしたくなる気分になりました。
この『富士見町-』は、4人の作家さんがアパートの一室という設定で1時間のストーリーを作り、鈴木裕美さんが1人で演出をするという企画。マキノノゾミさんの『ポン助先生』は役者さんのバランス、演出のバランスが整っていて、題材も演劇を知らない人でも楽しめるものでした。そして鈴木さんが一番楽しみながら演出しているといった印象を受けました。4本ともそれぞれの個性が出ていて、演出家は大変だと思うけど、また見たいと思わせる企画でした。
そして『上海バンスキング』。私は作品も吉田日出子さんを舞台で見るのも初めて。「今コクーンでわざわざやるのはどうなんだろう」なんて思ったいたら観て分かりました。「あ、この舞台生きてる! 単なる復活劇じゃないんだ」と。昨年のBunkamura20周年記念企画『雨の夏、三十人のジュリエットが還ってきた』のリアル版を見ている感じがしました。作品は戦争に翻弄される人間の切なさ、哀しさそして吉田さん演じる女性のたおやかさを描いていて胸がいっぱいになりました。
実は今月でこの連載を終了することとなりました。2006年11月から多くのお芝居についてお話させていただきました。このコラムを通じて、演劇に興味を持つ方が一人でも増えてくれればと思っていました。
これからは今まで何度かやっていた対談形式の取材を不定期連載の形でやらせていただくことになりました。今までよりもっと突っ込んだ形で作品や演出家さんや役者さんの考え、その作品の楽しみ方なんかを伝えていきたいと思っています。これからもよろしくお願いします。