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2008年05月20日

 

若い演劇ファンにもぜひ観てほしいピーターさんの舞台

 こんにちは、中井です。GWもせっせと劇場通いをしていた私ですが、その収穫の中から選りすぐりで、今月も感想をお送りします。

 まずは『越路吹雪物語』。池畑慎之介(ピーター)さんが、実在した歌手・越路吹雪さんの半生を演じるミュージカルです。シャンソン歌手として絶大な人気を誇った越路さんに、見た目も歌もピーターさんがそっくりで大評判を呼んで再演を重ね、これがファイナルです。

 私も3度目で内容は分かっているのに、同じシーンでジーンとし、むしろ一層の感動を味わいました。それはピーターさん、高畑淳子さん、長谷川稀世さんといったキャストの素晴らしい演技力が、一層の深みを増していたからだと思います。

 母はこの舞台を観て「コーちゃん(越路さんの愛称)が生きてた!」と感激していましたが、現役時代の越路さんを知らない私は、いまや本物よりピーターさんのほうが親近感があるほど。そんな役に巡り合うのは役者にとって大きな幸運だと思いますが、物真似にならない演技力、歌唱力が問われるはずで、それを見事に表現しているのがさすが。同じ時代に生きているのですから、若い演劇ファンも、ピーターさんの舞台をぜひ観てほしいです。

 実在の人物といえば、宝塚宙組の『黎明の風──侍ジェントルマン 白洲次郎の挑戦』は、サブタイトルにある通り白洲次郎さんをフィーチャーした物語でした。

 白洲さんの断片的な知識は持っていても、何をした人なのかよく知らなかった私は、終戦直後の日本内閣のブレーンだったこと、マッカーサーと互角に渡り合ったことなどをこの舞台で詳しく知りました。歴史上のエピソードはまとめ過ぎなところもありましたし、足の長いヅカの娘役の人たちにモンペは似合いませんでしたが、こうしたテーマに挑戦した意気込みには拍手を送りたいと思います。

 宝塚は「王子様とお姫様の話を1年中やっている」と思われがちですが、こうした骨太の作品も手がけているんですよ。それに何といっても、吉田茂首相を女性が演じてそっくりだなんて、他のジャンルではありえないこと。宝塚の懐の広さ、引き出しの多さを改めて確認しました。

 同じく戦後、日本映画界に吹き荒れた労働紛争を採り上げた猫のホテル『けんか哀歌』にもシビレました。登場人物たちの“表現者の業”が、猫ホテの役者さんの個性と重なって、やっぱりこの劇団はいいメンバーが揃っているなと感動。楽しませていただきました。

中井の気になる!!◆「ドラキュラ伝説」(初台・新国立劇場 中劇場 6月12~22日) ◆「Calli [カリィ] ~炎の女カルメン~」(天王洲 銀河劇場 5月31日~6月8日) ◆「恐竜と隣人のポルカ」(渋谷・パルコ劇場 5月24日~6月15日) ◆シリーズ・同時代「鳥瞰図-ちょうかんず-」(初台・新国立劇場 小劇場 6月11~22日) ◆THE SHAMPOO HAT「立川ドライブ」(三軒茶屋・シアタートラム 5月29日~6月8日) ◆宝塚雪組「ベルサイユのばら──ジェローデル編」(~6月15日まで全国ツアー中)


Profile

中井美穂 (なかい・みほ)
95年、フジテレビ退社後フリーアナウンサーに。現在『旅の香り』(テレビ朝日系・日曜18:56~)、『タカラヅカ cafe break』(MXテレビ・月曜22:00~)に出演。2007年1月スタート『世界陸上~We Love アスリート~』(TBS・金曜25:25~)でのMC、また8月25日~9月2日に開催される『世界陸上大阪大会』でもメインキャスター務める。『STORY』(光文社)連載コラムも好評!