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芸劇eyesに選出。演劇ユニット「ピンクリバティ」の『点滅する女』が6月14日から上演スタート

2023.06.09 Vol.754

 ピンクリバティは昨年惜しまれつつ解散した「劇団子供鉅人」に所属していた山西竜矢が在籍中の2016年に旗揚げした演劇ユニット。山西が脚本・演出を務め、リアリティーある日常生活の風景や言葉が奇妙な世界と混ざり合っていく、不穏かつ幻視的な作風が特徴的で、暗部の多い照明設計によって生み出される、絵画的な空間演出にも定評がある。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で2020年こそ中止となったが、コンスタントに年1回ほどの公演を行い、今回で7回目の公演となる。2021年11月に浅草九劇で上演された『とりわけ眺めの悪い部屋』は浅草九劇賞・特別賞を受賞。山西は同年には自身初となる長編映画『彼女来来』で若手監督の登竜門 MOOSIC LABにて準グランプリ含む三冠を達成し、NYで開催される日本映画祭JAPAN CUTSでは新人部門最高賞の「大林賞」を受賞。その後も長久允監督・森田剛氏主演の短編映画『DEATH DAYS』のメイキングドキュメンタリー『生まれゆく日々』の監督・構成、ドラマ『今夜すきやきだよ』の脚本など、ジャンルを越えて活躍している。

 今回は東京芸術劇場が才能ある若手団体とタッグを組み上演する「芸劇eyes」に選出。ある一家のもとに亡くなった長女が別人の体を借りて帰ってくるという、一風変わった設定で送る家族にまつわる物語。田舎町で暮らす一家と、彼らを取り巻く人々の姿がブラック・ユーモアを交え軽妙に描かれる。

タニノクロウ作・演出 2021年上演『虹む街』のその後を描いた『虹む街の果て』が5月13日から上演開始

2023.05.10 Vol.754

 庭劇団ペニノの主宰で劇作家・演出家のタニノクロウは 2021年6月にKAATで『虹む街』という作品を上演した。同作は当初は神奈川県民と一緒に舞台を作ることを目指した作品だったのだが、折からの新型コロナウイルス感染症の感染拡大のため、県民を対象としたオーディションを断念。その中でタニノはオンラインで飲食店経営者、お寺の住職、葬儀屋、教職者といった人たちから話を聞いたり、横浜の飲食店街に足を運んだりとコロナ禍でもできる範囲で取材をする中で横浜の野毛をモデルにした飲食店街の一角を舞台とした作品を作り上げた。作品には実力者俳優に加え、神奈川県民を中心とした多様な国籍の人たちが出演し、多国籍な街の風景を表現。そしてコロナ禍という状況を逆手に取り、ほとんど台詞を発しない“寡黙劇”に仕立て上げた。 

  今回の『虹む街の果て』 はそのリクリエーションで、タニノ曰く「前回から10年、20年、100年と時間が経ったら街にどんな風景や時間が流れているのかを想像しながら作り直します。コインランドリーやスナック、パブ、飯屋、タバコ屋などの100年後、それらの果て、生活の果て、人間の果てを描き、破壊的なリメイクを目論んでいます」とのこと。 

 初演とは対照的な音や音楽であふれる世界を創造し、新たに公募で県民からの参加者を選出。また「この街の中にさまざまな人が出入りした痕跡を残したい」というタニノの思いから 4月中旬には稽古場でのイベントも開催した。作品作りの過程も含め、前回は成し遂げられなかった「県民参加劇」を作り上げた。公演中も開演前に舞台上のセットを中まで見学することが可能となっている。 

東京と福岡の2都市で上演決定 TEAM RevArt 第7回公演『恋砂―れんさ―廻』

2023.03.03 Vol.web original

 幅広いジャンルで活動する制作団体「TEAM RevArt 」が「コロナ禍のダメージに負けず前を向き、演劇の熱を消さない為、また小さな舞台でも演劇が充分楽しめる事を実感してもらう」をテーマに、第7回公演『恋砂―れんさ―廻』を東京と福岡の2都市で上演する。

 今回は、東京公演をダブルキャストとして『縁』『結』と2チームで、福岡公演は東京公演のキャストをシャッフルした公演となる。

『縁』チームは、『崖の上のポニョ』でポニョ役として声優を務めました神月柚莉愛とTEAM RevArt主宰の男澤博基を筆頭に三尾周平、飯田和之といった実力派の俳優が出演。

 また東京ガールズコレクションがプロデュースする令和時代のスターを発掘するガールズオーディションプロジェクト「DUO presents TGC AUDITION 2020」でグランプリに輝かれました上妻美咲も出演致する。

『結』チームは飛香まいと子役時代より数々の舞台に出演している若手俳優の寺尾歩武を主演に据え、中崎りつか、木嶋智哉といったお馴染みのキャストが作品を盛り上げる。

見て、感じて、そしていろいろ考えたい作品『カスパー』

2023.03.01 Vol.753

 

 2019年のノーベル文学賞受賞作家でもあるペーター・ハントケの『カスパー』が舞台化される。

 同作は幼少期より暗い牢のような場所に約16年間監禁され、発見された当時は一つの文章しか話せなかったといわれる実在したドイツ人孤児、カスパー・ハウザーを題材に描いたもの。主人公のカスパーを今回が初舞台となる寛一郎が演じる。

 寛一郎を支えるキャストとして、バレエやコンテンポラリーダンサーとしての華々しいキャリアを持つ首藤康之、昨年『ピサロ』で今回の演出を務めるウィル・タケットとも組んだ下総源太朗、そして文学座若手俳優の萩原亮介がカスパーをことばの世界へと誘い、調教する3人の謎の男“プロンプター”役を演じる。

 カスパーは史実によれば16歳で保護された当初、言葉を全く理解しておらず、また言葉に意味があることさえ知らなかったといわれている。そんな彼に周囲の人々は教育を施し、ただの音でしかなかった“言葉”に意味があることを彼は知り、自分というものの存在、また他者との関係について考えるようになっていく。やがて自分のこと、周囲の事象を他者に伝える手段として自らが言葉を使うようになっていく過程で、彼が何を感じ、何を得て、何を失っていったのか。それらを、カスパー演じる寛一郎と共に、この実力派キャストたちがセリフだけでなく身体表現を駆使して描いていく。

黒田勇樹が男女共同参画を実践。夫演出、妻主演、稽古は子連れで新作公演「シン・デレラ」〈インタビュー〉

2023.02.09 Vol.Web Original

 劇作家・演出家で俳優の黒田勇樹が演劇界における真の男女共同参画を実践!? 黒田は自身が脚本・演出を務める三栄町LIVE×黒田勇樹プロデュースvol.13「シン・デレラ」が2月21日からスタートするのだが、主演に妻の珠居ちづるを起用、子連れで稽古という新しい試みにチャレンジしている。黒田にその経緯、実際の稽古の様子などについて聞いた。

シルク・ドゥ・ソレイユが5年ぶり来日!シルク史上最も愛された『アレグリア』で完全復活

2023.02.08 Vol.Web original

 シルク・ドゥ・ソレイユによる5年ぶりの日本公演『ダイハツ アレグリア−新たなる光−』東京公演が8日、お台場ビッグトップで開幕する。初日を翌日に控えた7日、同所で公開リハーサルが行われた。

 2018年の『キュリオス』公演以来、5年ぶりの来日公演。パンデミックを経て、シルク・ドゥ・ソレイユの新たな幕開けにふさわしい作品は、“シルク史上最も愛された”といわれる伝説のショー『アレグリア』。

『アレグリア』シリーズは1994年の誕生以来、世界255都市・40カ国以上で上演された人気作品で、日本では1996年に『アレグリア』、2004年に『アレグリア2』が上演され、181万人を動員。今作『アレグリア−新たなる光−』は、アレグリア誕生25周年を記念して2019年につくられた最新作で、日本には初上陸となる。 スペイン語で「喜び」や「歓喜」を意味する「アレグリア」の言葉通り、世界的パンデミックからのシルク・ドゥ・ソレイユ完全復活を体現するエネルギッシュな作品だ。

コロナ禍乗り越えピーピング・トムが6年ぶりの来日。世田谷パブリックシアターで『マザー』を上演

2023.01.17 Vol.Web Original

 ダンスカンパニーのピーピング・トムが6年ぶりの来日を果たし、2月6~8日に東京・三軒茶屋の世田谷パブリックシアターで公演「マザー」を上演する。

 ピーピング・トムはベルギーを代表するダンスカンパニー「Les Ballets C. de la B.」の中心メンバーとして活躍してきたガブリエラ・カリーソと、フランク・シャルティエによって2000年に結成されたカンパニー。「ピーピング・トム=覗き屋」という名前は“未知なるダンスの創造を目指す”という思いからつけられたもの。

 人間技とは信じがたいオリジナルなムーブメント、他の追従を許さない独創的なスタイルから、全世界の熱狂的な支持を集め“次代のピナ・バウシュ”とも称される存在となっている。

シアタートラムで京都の急先鋒「安住の地」が12月16日から初の東京単独公演

2022.12.15 Vol.Web Original

「シアタートラム・ネクストジェネレーション」が2年ぶりに復活

 世田谷パブリックシアターの人気企画「シアタートラム・ネクストジェネレーション」が新型コロナ禍による中断を経て、約2年ぶりに復活する。

 同企画は世田谷パブリックシアターが新しい才能の発掘と育成を目指し、1年に1度、公募により選ばれた団体にシアタートラムでの上演機会を提供し、公演の際には劇場がサポートを行う。これまで「快快 -FAIFAI-」「FUKAIPRODUCE羽衣」「てがみ座」「スズキ拓朗」「開幕ペナントレース」「泥棒対策ライト」「to R mansion」「らまのだ」「悪い芝居」といった現在、演劇界で活躍中の多くの才能を輩出してきている。

 今回、上演されるのは京都の劇団かつアーティストグループである「安住の地」。劇団にとって東京での単独公演は今回が初めてとなる。

名古屋市千種に「メニコンシアターAoi」が開設。「新宿や下北沢、ブロードウェイのようなエンターテインメントのメッカにしたい」

2022.12.08 Vol.Web Original

オープニング主催事業ラインアップ発表記者会見を開催

 一般財団法人メニコン芸術文化記念財団が12月7日、名古屋市内にあるHITOMIホールでメニコンシアターAoiのオープニング(2023年度)主催事業ラインアップ発表記者会見を開催した。

 同財団は音楽、演劇、舞踊その他の芸術及び芸能の振興並びに地域の芸術文化・教育の発展に寄与することを目的とし、2021年9月に設立された。これまで音楽を中心とした多目的ホール「HITOMIホール」の運営・管理を行ってきたが、今後は来年4月に開設する演劇公演を中心とする総合芸術ホール「メニコン シアターAoi」の運営・管理も行う。

 今回の新劇場開設にあたり、芸術監督に山口茜氏が就任する。山口氏は演劇ユニット「トリコ・Aプロデュース」や「サファリ・P」を主宰する劇作家・演出家・女優で、京都を拠点に活動し、2003年には「第10回OMS戯曲賞大賞」、2006年には「若手演出家コンクール最優秀賞受賞」を受賞。2007年9月〜2009年9月まで文化庁新進芸術家海外留学制度研修員としてフィンランドにも渡っている。

屋良朝幸、オリジナルミュージカルで自らカメラを回すわけは?梅田彩佳も感心

2022.11.09 Vol.Web original

 11月19日に開幕するオリジナルミュージカル『りんご』のオンライン公開稽古が8日行われ、屋良朝幸、梅田彩佳、Micro(Def Tech)らが出席した。

 本作は、りんごの自然栽培に人生を賭けた、青森のりんご農家・木村秋則氏の実話を基にしたオリジナルミュージカル。自然と向き合う姿を、豊かなカントリー風楽曲や、激しいロックサウンド、そしてラップを使ったオリジナルナンバーで綴っていく。

 初日を前に公開稽古に臨んだ屋良は「“稽古終わってくれるな”と思っています。一人ひとりキャラが粒だっていて、稽古が楽しくてしょうがない。笑ってセリフが言えなくなってしまうくらい」と、和やかなカンパニーの様子を明かした。これには梅田も「屋良さんが稽古場の楽しい様子を伝えようと、ムービーを撮って下さっている」と、屋良自らが撮影・編集した稽古場の様子が本作のホームページで公開されていることを伝え、「笑いが絶えない現場。雰囲気の良さがステージでも伝われば」と意気込んだ。

 りんごの自然栽培を通して、農業だけではなく、地球温暖化への取り組みや放射能汚染など、社会課題も描く本作。屋良は「これからの地球や人類にとって大切なメッセージがさらっと込められている。これから僕たちがしていかなければいけないことを、エンターテインメントだからこそ楽しく見せられている。(観終わった後に)“自分たちには何ができるかな”ということを持ち帰っていただければ」と呼びかけた。

 オリジナルミュージカル『りんご』は11月19日~12月7日まで、自由劇場にて。

KAATで城山羊の会が新作『温暖化の秋 – hot autumn – 』を上演

2022.11.01 Vol.752

 城山羊の会はソフトバンクモバイルの白戸家シリーズなど話題のCMを数多く手掛けるCMプランナーの山内ケンジの脚本・演出による演劇プロデュース・ユニット。山内は2004年に「CMディレクター山内健司の演劇」として演劇活動を始め、2006年に「城山羊の会」を発足。以降、コンスタントに作品を発表し続け、2015年には『トロワグロ』で第59回岸田國士戯曲賞を受賞している。

 これまで山内は下北沢や三鷹を中心に公演を行ってきたのだが、今回は初めての神奈川公演。これはKAAT神奈川芸術劇場の芸術監督である長塚圭史の「山内氏の新作をぜひ神奈川県民の皆さん、特に演劇を見たことのない方に初めての演劇体験として観劇してほしい」という強い要望から実現したもの。

 山内は昨年12月に上演された『ワクチンの夜』(ワクチン接種後に発熱した主婦を主人公にしたコメディー)で、現代社会の時流をとらえつつ日常に潜むおかしさをあぶりだした。今回は「温暖化」という旬でありながら長く続くテーマをどう料理してくれるのか。

 趣里、お笑いコンビ「シソンヌ」のじろうといった実力派が初出演。山内作品になくてはならない役者である岡部たかし、岩谷健司ももちろん出演。

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