この間、『MOTONAVI CAFE』という番組にゲスト出演した。バイク雑誌『MOTONAVI』の番組で、パソコンテレビGyaOで3月24日からアップされてるからもう観てくれた人もいると思うけど、久しぶりにバイクの話で盛り上がって楽しかったよ。10代のころに粋がってバイクにまたがってる写真なんかも持ち出されて、懐かしいやら恥ずかしいやら。あのころはホント、大人への反抗というか抵抗というか、“征服という名の制服”を着せられてた時代に、唯一「俺は俺だ!」と叫ぶことができた道具がバイクと皮ジャンとギターだったんだ。まあ、本物の皮ジャンは高くて買えないから、俺が買ったのはビニールのビニジャンだったけど(笑)。ただのビニールなのに、皮っぽくシワシワになってて、本当に皮っぽい匂いがついてる(笑)。
バイクを買うために必死になってバイトもしたよ。番組でも話したけど、広島だから冬になると牡蠣の工場でバイトがあって、おばちゃんたちが剥いた牡蠣をパレットに並べるんだけど、冷凍庫が寒いのなんの。朝は朝で4時半ごろからキツイ坂道を新聞配達。それから水球の朝練に出て、放課後も夜まで水球の部活。そのころの一番の被害者は母親だよ。可哀想に、俺が起きないから毎朝早起きして起こしてくれてた。とにかく忙しい高校生で、じっとしてるのがダメっていう性分は今も変わってないってことだ。
そうやって稼いだ金に、親からの援助を足してバイクを買ったわけだけど、うれしかったねぇ。俺の通ってた高校はバイクを許可しなかったけど、免許は学校にちょっとした嘘をついて取った。もう東京に行くことが決まってたから、「オーディションを受けるのに免許が必要みたいなんですよ」って(笑)。とにかくうれしくて、よくひとりで海岸通りを走ってたね。呉のほうまで行くんだけど、広島って暴走族が多いから追っかけられたりして大変だったよ。こっちはひとりだから、金剛山ってとこまで一気に逃げて、1本道を頂上までぶわーっと走ってすぐにUターンして撒いたりした。でも仲良くなったヤツもいて、「お前、今度こっちで困ったことがあったらワシに声かけろ」って、ヤクザかお前は! みたいなこと言うの。まあ、根はいいやつらが多かったんだと思うよ。
なぜバイクかって、結局は風の向こうに行きたかったんだな。「風」っていうとなんか文化的な香りがしちゃうから、スピードって言葉に置き換えてもいいけど、ある程度のスピードを超えて、感じたことのない風を感じたかった。風の向こうに何があるのか分からないけど、風に挑んで追い越してみたい。自分で走っても、頬に風を感じるほど早くは走れないわけじゃない。その時にもっとも信頼のおける相棒がバイクだったってことで、それって戦国武将における馬だよね。コイツだったら何かやってくれるんじゃないか、自由になれるような、見えない呪縛から解き放たれたいという突破願望。スカッとする気持ちだったね。まあ、今思うと幼稚な考えかもしれないけど、男はいくつになってもそういうロマンがあるのよ。風の向こうには宝島があるんだ!とかね。俺なんかいまだに精神年齢が低いのか頭が悪いのか、40になってもそんな思いは消えないね。
『THE FIRST SESSION KIKKAWA KOJI LIVE 2005〜エンジェルチャイムが鳴る夜に〜』
参加ミュージシャンの名前を並べただけでもそのすごさがわかる吉川晃司のライブ。2005年12月29、30日に代々木競技場第2体育館で行われた怒濤の2デイズセッションの、スリリングで貴重な瞬間を記録したスペシャルDVD。「楽しく、激しく」繰り広げられたセッションという名の瞬間芸術の真髄にふれる名盤だ。【参加ミュージシャン:山下洋輔(pf)/ホッピー神山(key&pf)/YASSY(key)/弥吉淳二(g)/後藤次利(b)/坂井紅介(b)/TOKIE(b)/NATCHIN(b)/村上“ポンタ”秀一(dr)/菊地英二(dr)/坂東慧(dr)】
2006.3.22 Release
TKBA-1089 /¥5,800 (tax in)
GyaO特別番組
『吉川晃司 〜ミュージシャン11人との熱い夜〜』
11人のミュージシャンとセッション・バトルを繰り広げた年末ライブ。その裏側を追ったドキュメンタリー映像が特番としてGyaOで放送中。ライブDVDと合わせて見ると、年末ライブの裏も表もすべてが分かる!⇒http://www.gyao.jp/music/kikkawa/