この間ある番組でトークしてるとき、「吉川さんは変わらないですね」って言われけど、“変わりたくても変われない”ものが俺の中には強くある。変わったら負けちゃった気になるとかね。それは何かというと、やっぱり田舎もん根性なんだと思うよ。「東京もんには負けへんで」っていう思いは大阪の人に顕著だと思うけど、広島人にもちょっとはある。東京の人は「勝負!」とか誰も言ってないのに(笑)。なんか、言い古されたことだけど、東京って何でもあるけど、一番大切なものがない気がするんだよ。ないというか、なくなってしまったというか。それが「俺はあくまで出稼ぎ」と言わせる理由のひとつかもしれないね。
表面的に言えば無計画にビルばかり建つ街は嫌いだしね。石原慎太郎が都知事になった時、古舘伊知郎が「都庁から見た東京はどうですか?」って聞いたら、開口一番「ゲロみたいな街だな」って言ったの(笑)。面白いオヤジだと思ったよ。で、石原さんは「もっと計画してキレイな街にしよう」って言ったんだ。俺もすごくそう思うね。ビルだけじゃなく、人間が多すぎて欲望が集結しすぎて、キレイな場所とはまるで思えない。
田舎の景色を懐かしく思うのは歳をとったせいだと言われるけど、俺なんか若い頃から田舎が好きだった。瀬戸内海ってのはきれいな凪があって、海なのに、鏡のように海面がまっすぐになる瞬間がある。そこに島がぽこぽこ浮いている景色は、もうホントに山水画の世界。そういうとこで生きてると、自分がどこで育ったかっていうのはもう変えられないよ。俺なんてオオサンショウウオ捕って食ってたからね。いけないんだろうけど、広島には食べる習慣があったの。ある時川で魚捕ってたら、おっさんが食ってて、もらって食ったらすごいウマかった。それで真似して捕ったら、天然記念物だからダメだって(笑)。それ以外にもウグイとかヤマメとかハヤも捕って食ってたし、山に行けばアケビはあるし、たまには近所の庭から失敬とか(笑)、とにかくオヤツには困らなかった。もし自分に子供ができたら、そういう環境で育てたいと思う。オオサンショウウオはまずいけどさ(笑)。
まあ、これは環境の話だけど、俺の場合は田舎もん根性というより“俺根性”と言った方が合ってるかもしれないね。『川の流れのように』って歌があるけど、うまく流れていく賢明さは俺にはなくて、俺の中で正しいことを踏み外したくないという頑固な思いがある。「バレなきゃいい」とか「権力との兼ね合いで…」とか、そういうことには断じて屈しないと。青少年の頃に「大人になれば分かる」みたいなことを言われて傷ついたこともあったから、余計に“曲げられない根性”が強くなったのかもしれないね。まあ、これはいいところでもあり、悪いところでもある。もうちょっと余裕を持って「まあいいじゃない」って言える方が成功するとは思うけど、それじゃ居心地悪いから、俺はこっちを等身大としていくしかないんだな。まったく、俺と付き合うスタッフも大変だよね。たまにはここで「ありがとう」と言っておくか。