vol.41
たまには速いヤツと走れ!



 この間、「ところで吉川さんは、どうやってモチベーションを保ち続けているんですか?」って質問をされたんだ。若い人にとっては「21年も続けて、さらにチャレンジするのってしんどくないか?」ってことらしいけど、それって何なのか俺にもよく分からんし、実はこれ、一番面倒な問題なんだよな、本気のやる気って奴ね。

 手っ取り早いのは、締め切りを作って自分を追い込むって方法。去年の年末に本を出した時はまさにこれだ。「自分で書く!」と宣言したとたんに、締め切りは決まるし、担当編集者からは追い込まれるし、夜中に煮詰まりながらそれでも一生懸命書いて朝方になってメールを送ると、「じゃあ、次は今日の昼で」なんて気軽に言われちゃうからね。でも、そうやって何とかやり終えると、また書いてもいいかなって思っちゃうから人間は不思議だよ。

 あとはやっぱり付き合う相手だね。いろんな意味で自分よりレベルの高い人と付き合うと、ついていけないことに悔しくなる。作家さんとかと話して日本語をうまく使えないでいると、「お前の言ってる意味が分からん。もうちょっとマトモな日本語使え」みたいな顔をされちまう。そうなると「チクショー!」って。で、そういう人が、明らかに俺のレベルに合わせてくるのもムカツクから、そういうところでイチイチかちんとくる状況を作ることが大事かなと。

 これはミュージシャンとしても同じで、経験豊かで技術の高い人と一緒にやったり、逆に若さで突っ走れるヤツらとやることがすごい刺激になる。昨年末のライブでは、上は63歳の山下洋輔さんから下は22歳のT-スクエアのドラマーの坂東くんという総勢11人のメンバーで、俺はちょうど中間管理職みたいな立場。年長者には「負けたくない」気持ちがあるし、若者には「甘えたところは見せられねぇ」って、両方を見ながらモノサシにする感じだった。ドラムの(村上)ポンタさんに、最年少の坂東くんと「何か2人で好きなことやってください」って言ったら、ニヤッと笑って“てめえ、俺を試す気か”っていう顔したけど、ドラムバトルの譜面を全部書いてきてくれたからね。ポンタさんにも“若造にゃ負けてらんねぇぜ”っていうのがあったんだと思う。ポンタさんとは、後藤次利さんとスリーピースをやった時に、「このガキがっ」て思われながら?もやれるとこでは勝負しますよって俺が突っ走ったことがあったから、俺の言うことも受け入れてくれたんだと思う。だからやっぱり人間関係だな。幸いにも俺の周りにはそうやって頑固ジジイ?になった人がいっぱいいて、尊敬してる人に叱られたら、「チクショー!」って思いながらこんな俺でも素直になる。だから、たまには自分より速い人と走らなきゃいかんってことだね。毎日毎日コツコツ努力するなんて、人間なかなか出来ることじゃないから。

 去年のライブでは、久しぶりにギターの弦を押さえる指先が全部切れちまった。そこは指の感覚が鈍くならない程度に瞬間接着剤で補修するんだけど、その指が何を言ってたかって、甘えてたってことだよ。でも、それがまた次につながるんだなって思ったね。

  
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