何百年経っても色あせない作品たち『あわれ彼女は娼婦』

2016.05.22 Vol.667
 イギリスの劇作家ジョン・フォードの代表作。日本でも過去に名だたる演出家のもと、日本を代表する俳優を起用し、何度も舞台化されてきた作品。  今回も栗山民也演出、浦井健治、蒼井優主演という豪華な座組での上演となる。  物語の舞台は中世イタリアのパルマ。勉学に優れ、人格的にも非の打ち所がないと将来を嘱望されるジョヴァンニは、尊敬する老修道士に、類まれな美貌の妹アナベラを女性として愛していると告白。修道士は叱責するが、ジョヴァンニはアナベラに気持ちを伝えてしまう。アナベラもまた兄を男性として愛していたことを告白。2人は道ならぬ恋に身を委ねてしまうのだった。  戯曲が書かれたのは1620年ごろ。近親相姦は重罪で処刑されていたような時代。  そこから約400年の時が経っても、作品の中で描かれる人間の愛、欲望、嫉妬といった感情は色あせない。しかし受け取る側の感覚は!? 『あわれ彼女は娼婦』という意味深く残酷なタイトルを持ったこの作品が現在の日本ではどのように受け取れられるのかも気になる、そんな作品。

ミュージカル『王家の紋章』で宮澤佐江が卒業後初舞台

2016.05.16 Vol.666
 秋田書店の月刊プリンセスで1976年から現在にわたり連載中の『王家の紋章』がこの夏、初めてミュージカル化される。  同作は現在まで単行本が60巻を数え、累計発行部数が4000万部を記録する、日本の漫画界でも指折りの超大作。  16日、主役のメンフィス役を演じる浦井健治、ヒロイン・キャロル役をWキャストで演じる宮澤佐江と新妻聖子ら出演者と演出の荻田浩一氏、そして原作者の細川智栄子さんと芙~みんさんが登壇し、制作発表会見が行われた。  この日はプリンセスなどで募集された230人のファンも参加。冒頭、浦井ら出演者によって劇中で歌われる『Where I Belong』、『Unrequited Love』の2曲が披露された。  会見では原作者の細川さんが「昔テレビドラマのお話をいただいた時、ドラマと漫画の描くスピードが違い、すごく苦労した。それから妹と相談して、お話があっても一切お断りしましょうと決めた」とこれまで同作が実写化されなかった理由を語った。そして今回は「(舞台化が)4巻まででどうかというお話だった。それだったら…」と舞台化実現した経緯を語った。  本作が初の単独主演となる浦井は「とてもうれしいが、ド緊張もしている。このメンバーだからこそできるミュージカルになるのではないかと思うようなメンバーが集結している。ストーリー的にも人物造形的にも素敵な作品でそのすべてが魅力的」と語った。  今年3月にAKBグループから卒業し、本作が卒業後、初の舞台となる宮澤は「素晴らしい作品のヒロインに選んでいただいて、光栄に思っています。それと同時にとても緊張しています。頑張ることは当たり前。私はキャストのみなさんの中でも一番頑張らなければいけないと強く思っています」とし、初出演となる帝国劇場については「夢にも思えなかったくらい素晴らしい場所に立てることに感謝して、キャロルという可愛らしい女の子をしっかり、私らしく演じたい」と語った。

井上、浦井、山崎のミュージカルの3プリンスがコメディ「イメージ壊れるシーンある」

2016.03.08 Vol.661
 井上芳雄、浦井健治、山崎育三郎からなるミュージカル界のプリンスユニットStarSが福田雄一とタッグを組み、ミュージカルコメディ番組『トライベッカ』(WOWOWプライム)をスタートさせることになり、8日、都内で制作会見が行われた。浦井は「ミュージカルを愛しているメンバーが集まっている(番組)。それをWOWOWでできるのがすごくうれしい」と、手放しで喜んだ。  歌あり、ダンスあり、笑いありの番組。建設会社を舞台にしたミュージカルコメディドラマ『レッツゴーっ!営業3課』のほか、コント、トークのコーナーなどで構成される。脚本・演出は福田。アイデアのベースにはクレージーキャッツがあるという。ミュージカルではもちろん、テレビなどにも活躍の場を広げているStarSの3人だが、本番組では彼らの新たな1面が見られそうだ。  すでに撮影に入っているが驚きの演出があったという山崎は「自分の役がまだつかめていない。どこまで自分のふり幅に挑戦できるかと思っています……ふり幅は広いです」と、同じフレーズを重ねて使い、ふり幅の広さを強調。さらに「ミュージカル俳優って、スーツやタキシードで決めているイメージがあるかもしれないですが、そのイメージが壊れるところがいっぱいあります」と付け加えた。  また、本番組には、まゆゆことAKB48の渡辺麻友もレギュラー出演が決定。会見に同席したまゆゆに対し井上は「ミュージカルの現場では出会うことのない美しさ!」と、周囲をどよめかせるコメント。ミュージカル好きで3人の舞台も観劇しているというまゆゆは「すごい方たちと一緒にやらせていただかせていいのかと思っています。緊張していて手汗がすごい」とコメント。建設会社の新入社員で、自由奔放で個性的な上司に振り回される役どころについては、「ついていくのが大変ですが、コメディチックな一面を見せられるように頑張りたい」と意気込んだ。  ミュージカル好きが集まった番組。福田をはじめ、キャストらは「この番組を見て、ミュージカルに行ってみたいと思っていただけたら」と口を揃えた。  WOWOWプライムにて4月22日深夜0時から。月1回放送で全6回。

浦井健治×ソニンでシェイクスピアの問題作

2015.06.07 Vol.644
 世田谷パブリックシアターと文学座、そして関西の公共劇場である兵庫県立芸術文化センターによる共同制作作品『トロイラスとクレシダ』(7月15日〜8月2日)の制作発表会見が2日、世田谷パブリックシアターで開催された。  同作は戦争の中で翻弄される男女を主人公とする物語。悲劇的でありながら喜劇的・笑劇的・風刺劇的要素も多く含み、シェイクスピア作品の中でももっとも分類困難な“問題作”といわれるもの。主人公のトロイラスを演じるのは浦井健治。浦井は今年33歳の若さで読売演劇大賞最優秀男優賞を受賞した、いま最も注目を集める存在だ。  この作品は、会見に登壇したシェイクスピア演劇翻訳の第一人者・小田島雄志氏に言わせると「演出家が一番やりたがる本であり、観客が一番見たくない本」なのだそうだ。それはさまざまな要素を含むゆえに演出家にとっては腕の見せ所であり、観客にとっては最後まで物語の本質をつかみにくくなってしまうからだろう。  今回、演出を務めるのは日本を代表する演出家で、シェイクスピア作品を多く手掛けてきた鵜山仁。鵜山はこの作品については「たまたまヨーロッパとアジアの境目にある地域のお話。そこでいろいろな価値観が混在して、それがひっくり返ったりという混沌の中から未来の姿が見えてくるのかどうかということが差し迫っての我々の問題でもあるし、その辺にも触れることができたら、と思っている」と語る。これを受け浦井は「“混沌から未来へ”というのがこの作品のテーマなんだろうと思う。僕の演じるトロイラスは結論が出ない中、結局進んでいかなければいけない。現代的で退廃的。いま現在の日本の状況を表しているのかなと漠然と思ったりしている」と語った。  鵜山と浦井の言葉通りなら、この作品は現代の日本では“腑に落ちる”作品として受け入れられるかもしれない。  浦井の相手役であるクレシダを演ずるのはソニン。この2人の脇を固めるのは岡本健一、渡辺徹、吉田栄作、江守徹といった面々。杓子定規な“脇を固める”という表現を使うにはちょっと失礼な豪華な俳優たちが揃っている。

ちょっと変わった一筋縄ではいかない作品
新国立劇場 2014/2015シーズン『星ノ数ホド(Constellations)』

2014.11.22 Vol.631
 新国立劇場が10月から上演している、シリーズ「二人芝居−対話する力−」の第3弾はイギリスの劇作家ニック・ペインの『星ノ数ホド』を取り上げる。  登場人物は物理学者のマリアンと養蜂家のローランド。ある出来事の裏には実は数限りない別の可能性があるのでは…という発想から物語は組み立てられる。恋に落ち、やがて別れてしまった2人が再会するとき、男は別の誰かと婚約している。あるいはしていない? 違う受け答えをしていたら? 状況が全く逆だったら? といったさまざまなパターンを繰り返しながら物語は進行し、やがて2人に運命の日が訪れる。  演じるのは鈴木杏、浦井健治という数々の話題作に出演する若き実力派の2人。そして演出には2012年に読売演劇大賞の優秀演出家賞を受賞した小川絵梨子。斬新で奇抜な戯曲をどのように料理するのかにも注目が集まる。
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