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「いかすぜ日本」~クールなJAPANを世界に売り込もう! 第四回「東大」もと暗しは、クールじゃない

2015.10.11 Vol.

広告PRのスペシャリストが考察 「いかすぜ日本」~クールなJAPANを世界に売り込もう!vol.3

2015.09.12 Vol.650

 僕がアメリカに移住したのは14歳の春。

「クラスの皆さ~ん、日本からやってきたベッシャー君です。英語が苦手なようだけど、仲良くしてね」転校初日、このように先生に教室で紹介されました。それまで、ロシア語と日本語で育った僕は言葉が通じない同級生と仲間になれるのかとても心配でした。授業後の休憩時間、学生に囲まれ、一気に話しかけられたのですが、会話にならず動揺してしまいました。ウルトラマンの胸に点滅するカラータイマーのように僕の心臓は破裂しそうなくらいバクバクしていました。ピンチの度合いは「赤」に達し、絶体絶命寸前です。そんな時、僕を救ってくれたのがウルトラマンだったのです。どこからともなく、だれかが、「ジャパン! ウルトラマン!」、と叫び、皆で大笑いしたのです。そうです、言葉は通じなかったけど、ウルトラマンが共通の話題になりました。驚いたことに、同世代のアメリカ人が皆、ウルトラマンを知っており、「ウルトラマンはクールだ! ウルトラマンが誕生したジャパンは凄い!」と大騒ぎになりました。僕がクール・ジャパンのパワーを知った初めての経験でした。

 1966年に日本で誕生したウルトラマン・シリーズは1973年ごろからアジアでも放送が始まり、その後、米国や南米にも広まります。1980年代には9カ国語以上のウルトラマン・シリーズが知れ渡るようになりました。結果、世界中でクール・ジャパン普及の先駆的な役割を担っていったのです。

 そんなウルトラマンに「都市伝説」があると最近知る機会がありました。『日本人はなぜ存在するのか』という本にウルトラマンの沖縄ルーツの話が載っていたのです。調べてみると史実でした。ウルトラマンは円谷プロに所属する沖縄出身の脚本家、金城哲夫により立案され、彼の企画路線と監修はウルトラセブンまで続きます。実際、金城さんが担当したウルトラマンの作品には沖縄のヒントが多々あります。ウルトラマンが生まれたM78星雲は「南、那覇」に由来。伝説の怪獣たち、「キングジョー」は沖縄に多い苗字「金城」、頭でっかちの「ジブル星人」は琉球語のジブル(頭)より命名、ザンバ星人は有名な沖縄泡盛の「残波」から名づけられた、等々。

 でも、大切なのは沖縄問題の本質と重なる物語です。ウルトラマンは地球人(科学特捜隊)と協力して地球侵略を企てる怪獣と戦う話ですが、初代ウルトラマンの魂が乗り移ったハヤタ隊員は宇宙人と人間の両面を持ちます。地球(日本)を救うために「正体を隠して生きるマイノリティ(沖縄)」なのです。ウルトラマンは義理もないのに、なぜ自分を犠牲にしてまで地球のために戦わなければならないのでしょうか。このような文脈で考えると、金城さんのウルトラマンは現代日本に沖縄の問題を映写しているとも言えます。ウルトラセブンの最終回、キリヤマ隊長が残した言葉に「地球は我々地球人が自分たちの手で守らなければならないのだ」があります。地球を守るためにボロボロになったウルトラセブンを労わる言葉です。沖縄と日本は共存しなければなりません。今、必要なのは日本が沖縄に感謝し、沖縄を労わることではないでしょうか? 沖縄もウルトラマンも「クールな日本」として世界に広まっています。ウルトラマンの放送の終わりに繰り返される、「ありがとうウルトラマン」が改めて心に響きます。

広告PRのスペシャリストが考察 「いかすぜ日本」~クールなJAPANを世界に売り込もう!vol.2

2015.08.09 Vol.648

 皆さん、暑いですね~!連日の猛暑、熱帯夜で大変でしょう。今回は季節柄、涼しいトピックにしました。「いかすぜ、日本の滝!」です。

 小生は滝が大好きです。機会さえあれば、滝を訪れ、安全を確認し、気合を込めて入ります。自分にとっては浄化と祈りの行為ですが、同時に楽しいです。時に凍えるほどに酷寒ですが、生き返った気分になります。また、猛暑の季節にも、最適のリフレッシュ活動です。ちなみに滝の語源は「滾つ(たぎつ)、激つ(げきつ)」。また、滝が多い三重県には「多気(たき)」の地名もあり、「気」との関係が伺えます。やはり自然現象として激しく漲る水には神秘的なパワーがあるのです。

 自分の「滝好き」は兄の影響です。彼はパリの大学で文化人類学を教えています。年齢は15歳離れていますが、子供のころ、毎年夏休みに帰郷する兄に連れられ文化的拠点を中心に日本列島を広く旅しました。そこで、仏教徒でもある彼は、滝を見ると季節を問わず、入って祈るのです。「付いていきたい」の一心で僕も参加しました。それが病み付きになりました。まあ、当時は「祈る」とか「滝行」というより、遊びでしたね。特に夏などは、大はしゃぎです。気が付いたら、ずっと滝を求める生活をしています。

 滝行は日本の伝統文化といえます。真言密教、修験道、神道などの行事として定着しています。根幹にある思想は自然界のいたるところに宿る神を拝み敬う。その最たる象徴が滝なのでしょう。言い換えれば、日本列島における最古の「崇拝の場」は「滝」なのかも知れません。また、宗教的な意味合いの延長線で、昔も現在も多くの方々が観光として日本中の滝を楽しんでいます。栃木の「華厳の滝」、熊野の「那智大滝」、茨城の「袋田の滝」は日本の3大名瀑と呼ばれており、毎年数千万人が訪れています。世界遺産の熊野は滝の宝庫で平安時代から巡礼と称した観光が盛んでした。「蟻の熊野詣で」と称したくらい、江戸時代には日本中から多くの人々が那智の滝を目指して訪れていたようです。でも、このような名瀑は自分には向いていません。滝行が「規制」されているからです。祈りの一環として滝に入るのが、従来の目的であるのに、そんなことをしたら「始末書」を書かされたり、警察を呼ばれたりします。うんざりです。滝をエンジョイする際には管理体制に気をつけましょう!

 海外の方々が日本を訪れ、よく驚かれるのは自然の豊かさです。近代日本のイメージは「都会」なのでしょうが、実は日本の七割が山岳地帯であり、豊かな自然にあふれています。それがゆえに、雨量が多く、山々が連なる日本列島は滝の宝庫なのです。ただし、滝を求めて旅すると素晴らしく整備された林道に驚かされます。ほぼどこでも容易にアクセスできるのです。

 そこで提案です。古代から滝を拝み、はたまた楽しんできた日本列島の住民に学び、海外からの観光客の皆様にも滝めぐりを通じて日本の自然を満喫して頂いたらいかがでしょう? インバウンド観光客が本年度には1800万人に達します。最初はどうしても観光の内容が都会中心になりがちですが、リピート客を狙うなら自然と文化の融合企画がもってこいだと確信します。観光庁やJTB、近畿日本ツーリストなどがタッグを組んで滝観光を世界にアピールしましょう! 滝は海外にも通用する立派な日本の観光資源なのです。

【新連載コラム】広告PRのスペシャリストが考察「いかすぜ日本」 ~クールなJAPANを 世界に売り込もう!

2015.07.13 Vol.646

 皆様こんにちは! 今日からこのコラムを担当するベッシャーです。毎月、日本の「いいとこ」を世界にアピールするテーマでいろいろ考えて行きたいと思います。まず、その前にちょっと自己紹介。

「お客さん、日本語うまいね~」。タクシーに乗るとバックミラーを通して必ず言われます。外国人客だと思っている運転手さんが、流暢な日本語に驚くのも分かるけど、正直疲れます。自分は日本生まれ、日本育ち、日本国籍なのですが、皆さんのリアクションはいつもこんな感じです。

 出身は山と海に囲まれた国際的な街、神戸です。両親は戦後、中国から日本に移住したロシア系の難民でした。父母ともに無国籍だったので、日本の国籍法のおかげで、小生は帰化せずに日本人と見なされました。考えてみると確かに日本人の定義は法律であり、外見ではないのですね。

 家庭環境はロシア文化でしたが、学校は中学まで日本の公立に通いました。友達も大勢いて、楽しかったな! その後、14歳で渡米。高校、大学、大学院とアメリカで教育を受けました。英語は最初、とても苦労しましたが、今は仕事やプライベートで使ってます。日本でも、アメリカでもよく「外国人」扱いされ、苦い経験もありますが、いつからか開き直って、自分のユニークな生涯を楽しめるようになりました。

 日本は大好きです。特に自然豊かで、山々に囲まれた原風景がすばらしいと思います。国民も素敵。皆さん、基本的に礼儀正しくて、人を思いやる心が豊かだと思います。仕事柄、いろいろな国を旅しましたが、日本の自然と国民性は最高。世界遺産にしてもいいくらいだと思いますよ。文化庁はUNESCOに申請しないのかな?

 では、本題に入ります。今日のテーマは先のオリンピック招致ですっかりおなじみの「お・も・て・な・し」です。その語源には諸説がありますが、僕が好きなのは「表裏無く、相手を思いやる言動」とする考えです。古代から平安時代までは、態度や感性を意味していたそうです。中世の日本列島に交通網が発達し、多くの人々が伊勢や熊野詣をするようになったころから、客を「持て成す」概念として定着します。あの源氏物語にもいろんな場面で「持て成し」についての批評が表現されています。また、千利休の「茶の湯」はそれを極めた形式です。亭主と客が茶と空間を共有し、心を通い深めていく。すばらしい伝統が形成されていきました。

 このような誇るべき思想だからこそ、世界でも「御もてなし」がそのまま日本語で通用するようになってきたのだと思います。最近パリを旅行した際にも、日本のおもてなし精神を高く評価するフランスの文化人に驚かされました。

 そこで提案です。この誇るべき日本の精神を近隣諸国との外交政策に取り入れてはいかがでしょうか? 最近なにかと刺々しい東アジア情勢が続いていますが、隣国をあえて無条件の話し合いに招いて、「表裏無しで」持て成す。相手の立場を考慮し、相手を思いやる。親切を尽くす。そこで新たに得られた理解を政策や条約に反映させる。これぞ厳しい状況打破を実現する「いかすぜ日本」じゃないですか? ノーベル平和賞絶対ですよ。日本を世界に売り込み、事態を有利に運ぶ英知に他なりません。「??的自衛権」より、はるかに確実に平和と繁栄をもたらす施策でしょう。

 これからは、世界を魅了する「お・も・て・な・し」精神をぜひ外交に生かして頂きたいですね。

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