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多田淳之介 日韓の若い演劇人がシェイクスピアをベースに描く日韓の今

2015.10.25 Vol.653

 すっかりこの時期の東京のイベントとして定着した舞台芸術の祭典『フェスティバル/トーキョー 15』が10月31日から開催される。

 今年のテーマは「融解する境界」。

 この場合の「境界」というのは演劇と音楽の境界、過去と現在の境界などさまざま。そんななかで兼ねてから国境という境界を融解させ、創作活動をしているのが富士見市民文化会館キラリふじみ芸術監督の多田淳之介だ。

 多田は今年のF/Tでは韓国の劇団「第12言語演劇スタジオ」の主宰、ソン・ギウンとともにシェイクスピアの『テンペスト』を下敷きにした新作を上演する。

 この作品、10月に韓国で先行上演されたことから、多田は現在、ソウルに滞在中。まず、今回のF/Tでなぜこの作品を創作することに? そしてその意図は?

「富士見、ソウル、安山の日韓三つの公共劇場の共同製作をF/Tで上演することで、日韓合作、田舎の公共劇場の可能性を多くの方に見てほしいからです」

 F/Tの会見で「日韓で島の話をすると厄介なことも出てくる」という発言もあった。創作が始まって実際どう?
「そんな話は誰もしたがらないので全く困ることはありません。むしろ創作していると国が土地を支配できるという考え方自体がナンセンスに思えます」

 現在、日韓関係は政治においてはあまりいいものではない。しかし創作の現場では?

「政治的に仲が悪いことを日韓メンバー全員が迷惑に感じていますし、街を歩いていても日本人だらけ、政治とは一体何のためにあるのか考えさせらます」

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