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人生の不条理さと青春の不条理さと RooTS Vol.04『あの大鴉、さえも』

2016.09.12 Vol.674

 東京芸術劇場の名物企画となった「RooTS」は「アングラ演劇・小劇場演劇」の草創期である1970年代前後に発表された戯曲を、現在活躍する若手演出家が演出することによって新たな魅力を発見し、刺激的な作品を生み出そうという試み。

 4回目となる今回は竹内銃一郎の『あの大鴉、さえも』をカンパニーデラシネラの主宰・小野寺修二が演出する。小野寺といえばマイムから始まりダンサー、振付といった場面での活躍が多く “フィジカルシアターの旗手”ともいわれる存在。最近は音楽劇や演劇などに振付で参加することも多いのだが、本格的なストレートプレイで演出を手掛けるのは初めてという。

 この作品は3人の男が客には見えない巨大なガラスを運んでいるというだけの設定の戯曲。場所はどこで、今がいつで、この3人の男の関係もよく分からない。『ゴドーを待ちながら』的な不条理劇だ。

 今回は上演台本をノゾエ征爾が担当。男性3人という登場人物を小林聡美、片桐はいり、藤田桃子の女優3人が演じる。小林、片桐ともに小野寺とは振付や演出で関わったことがあり、藤田と小野寺は長く一緒に創作活動をしてきた仲。

 ただでさえ強烈なナンセンスコメディーを演者の性別をひねることで、プラスどれくらいおかしなことになるのか楽しみだ。

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