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暴走柔術 平 信一【格闘家イケメンファイル Vol.67】

2017.02.27 Vol.685

 ベルトを肩にかけてさっそうと取材場所に来た平信一。ZSTを主戦場に戦うファイターで、現・ZSTライト級チャンピオンだ。

「このベルトは昨年の11月の大会で取りました。その日は、第2代ZSTライト級チャンピオンを決めるトーナメントの決勝で、藤巻選手に勝ち、ベルトを取りました。藤巻選手とは2度目の対戦でしたが、1度目は負けているので、見ている人はみんな僕が勝つとは思っていなかったと思います。その証拠に会場がすごい盛り上がってましたから。勝った時はいっぱいいっぱいでしたが、結果を残せたことで、お世話になった人や協力してくれた人たちに恩返しができたと思って、その瞬間はうれしかったですね」

 格闘技を始めたのは、意外と遅い。

「キャリアは10年弱なので、結構ベテランですが、始めたのは大学を卒業した22〜23歳です。大学でラグビーをやっていたんですが、卒業後はちょっと無理かなって。社会人とかも考えましたが、みんな体が大きかったし、自分はダメだと思いあきらめました。趣味の集まりでラグビーを続ける道もあったと思いますが、格闘技もラグビーも遊びではできない。どちらも激しいコンタクトの競技なので、気持ちを入れてやらないと怪我をしますから。ただ、大学を出てちょっと体を動かしたいなという気持ちはあったので、ラグビーをやっていた頃のトレーナーの人に紹介してもらい、現在も所属するジムに通う事になりました」

 柔術メインの道場に入ったが、壁にぶつかる。

「自分はラグビーもやっていましたし、フィジカルのパワーには自信があり、絶対に勝てるだろうと思っていたんですが、まったく通用しなかった。だから全然楽しくなくて。つくづく、パワーではなく、テクニックが大事だという事を思い知らされました。勝てないからつまらなかったけど、続けたのは負けず嫌いだったから。勝てると思ったのにコロコロやられて悔しくて。逆にそれでやりがいを感じたのかも知れません。ただ、その頃はまだ遊び感覚で、プロを意識したのはもっと後。なんか、本気のパンチを食らいたくなったんですよね。だから、本気の殴り合いを1回体験してみようと思い、アマチュアの試合に出たんです。結果? もちろんやられました。パンチをもらってびびっちゃって。それでまた悔しくなって続けちゃった。それが自分の格闘技人生の始まりじゃないですかね」

 お客さんを楽しませる事を常に考え、リングの上でパフォーマンスをしている。

「普通じゃダメだから、普通じゃない事をやろうと思い編み出したのが、プロレスの技を繰り出すこと。プロレスは派手な技が多いので、投げてみるとか。これがね、盛り上がるんですよ。普通は逆転されるリスクもあるからやらないんですけど、とりあえずやってみる。自分の中では投げに行ったことが勝ちみたいな感じです。実際、投げた後に負けた事何度もありますし。でも、それでお客さんが喜んでくれるならって。あとは入場でセコンドを投げるとか。他の選手は疲れるからそんな事しませんが僕はやる。最近やっているのが、ボブ・サップと対戦したいアピール。今年はボブ・サップと戦う事を目標にやっています。今度の試合もボブ・サップにアピールするためにやる。僕が強くて面白いところを見せられたら、ボブ・サップも気にしてくれるんじゃないかと思って。対戦できたら、ぜひボブ・サップを投げてみたいですね。いとも簡単に。絶対に会場はわくと思います」

 目の前の事を1つずつクリアするだけと言う。

「ずっと先の目標というのがないんです。以前、膝の怪我をして1年欠場していたんですけど、その時は復帰して1年で結果残したいなと思っていた。その気持ちだけでやってきて、ベルトが取れてまた目標がなくなった。それでまたボブ・サップと対戦という目標をかかげ、1年で叶えるというのが今の目標になっています。1年単位の目の前の目標じゃないと本気を出せないというか、1個の事しかできないので」

 戦いの目標は1つずつクリアしていくタイプだが、人生の目標は…。

「ケーキが好きだからパティシエになりたい。その夢を叶えるため、今は店で修行しています。将来は横浜で店を持ちたいですね。店の名前? もちろん、ボブ・サップです。『パティスリー ボブ・サップ』いい名前じゃないですか」

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