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身近な人にこそ勧めておきたい一冊『患者の心がけ』

2018.04.18 Vol.Web Original

 著者は脳卒中治療を専門とする脳神経外科医から脳リハビリテーション医へ転向。2013年にはNHKの人気ドキュメンタリー番組「プロフェッショナル 仕事の流儀」でも取り上げられた。そのスタイルは患者がよりスムーズに社会復帰ができるように、できるだけ早い段階から積極的に身体を動かしていくというもので、「攻めのリハビリ」といわれ大きな注目を集めている。

 タイトルの「患者の心がけ」というのは患者自身の「回復したい」という意思であったり、医師に「任せる」という気持ち、家族の回復を願う気持ちなどさまざまなものを意味している。それらがあることが、いい病院を選ぶことにつながり、早い回復につながっていく。

 本書では現在の日本の医療体制や自身が中学時代に負った事故でのリハビリの体験などを通じ、リハビリの重要性を語る。そしてさまざまな事例を挙げ、いい医師、いい病院の選び方をサジェスチョンしてくれる。

 また本の中では何度も「チーム医療」の重要性が説かれるのだが、これは著者がデンマークに留学した時に医療現場で経験したことから学んだこと。

 特にリハビリの現場ではリハビリ医を筆頭に、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などのセラピストに看護師とケアワーカーとさまざまな役割の人々が関わってくる。ただスタッフが揃っていても必ずしも効果的なチーム医療が行われていないところもあるらしく、そんなところにも注意が必要なようだ。

 人間そうそうリハビリが必要な状態になることはないだろう…とはみんなが思っているはず。でもその可能性はゼロではない。そんな状態に陥った時に、本書で得た知識を自分の口で伝えることができない場合もあるかもしれない。そう考えると、自分で読んだ後に身近な人にも、いや身近な人にこそ勧めておきたい一冊。

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