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米中間選挙で民主党が下院で過半数「ねじれ議会」に いら立つトランプ氏はCNNの記者と口論

2018.11.08 Vol.712

 米中間選挙は11月6日(日本時間7日)、投開票され、野党・民主党が下院で8年ぶりに過半数を奪還した。上院は共和党が過半数を維持。新議会は4年ぶりの「ねじれ議会」となる。

 民主党は下院の議長と全委員長ポストを握ることになり、その権限を使ってロシア疑惑やトランプ氏の大統領権限とビジネスに関する「利益相反」の問題の解明を進めるとみられる。大統領の弾劾訴追も視野に置く構えという。

 今後の議会運営についてはトランプ氏は難しいかじ取りを強いられる。

 貿易問題では民主党の意向にも目配りした政権運営を求められる。雇用確保を優先し、伝統的に保護貿易的な政策もいとわない民主党の意向をにらみ、米政府が来年1月以降に始まる日本との新たな貿易交渉に厳しい姿勢で臨んでくる可能性がある。

 外交面では中国やロシアとの「大国間競争」や北朝鮮核問題といった喫緊の課題については議会でおおむね超党派の支持を得ている。

 最も注目を集めるのは移民問題か。

 トランプ氏は中間選挙の最終版で中米から米国に向かう移民集団への対処のため米軍部隊の派遣や「出生地主義」廃止を表明して不法移民問題を争点化した。しかし今回の結果で、不法入国を阻止するためにメキシコ国境へ建設するとしている「壁」への予算措置や移民制度改革は難しくなりそう。

 トランプ氏は選挙戦で、民主党が不法移民の犯罪に甘いとし、同党を「犯罪の党」と呼び攻撃。一方、民主党は政権の「不寛容政策」による不法入国者家族の引き離しを非人道的だとして批判しており、対立が続くことは必至な状況だ。

 なお日本では「ねじれ」が起こった場合、衆参両院の意見が一致しない時は衆議院の議決が国会の議決となるが、米国では下院の優越を認める制度はなく、法律案が上下両院で不一致の場合は廃案となる。

 今回の中間選挙では全米50州のうち36州で知事選が行われ、改選前に16州を握っていた民主党は非改選州を含め、少なくとも22州に勢力を伸ばした。共和党は選挙前の33州から減らしたが、大統領選で重要州となるフロリダやオハイオで勝利。非改選州も合わせて半数の25州を維持した。

 トランプ氏は6日深夜には上院勝利を受け「とてつもない成功だ」とツイッターに書いたが下院の敗北には触れなかった。7日に行われた会見ではCNNの記者と口論になるなどいら立ちは隠せなかった。

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