今週のTOKYO HEADLINE
vol.189
(2005.01/31-02/06)
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MOVIE vol.189

『キャロルの初恋』に主演した、スペインの天才子役

クララ・ラゴ

「ペネロペ・クルスを見て思ったの。私も女優になりたいって」

 吸い込まれそうなくっきりした瞳、つるっつる美肌に真っ黒な長い髪。写真で見えないのが残念だが、ぜい肉のいっさいない、まさにぺったんこなおなかに、長い足。スペインの天才子役とうたわれるクララ・ラゴは、まだ14歳。しかし、11歳の時に撮影し、日本でも公開中の主演映画『キャロルの初恋』では、貫録の演技を見せている。


 物語の舞台は、スペイン内戦の時代。ニューヨーク生まれで自立心旺盛な少女キャロルが、母親に連れられて訪れたスペインで過ごすひと夏の出来事が、クララをはじめとする若い俳優たちの熱演により、みずみずしい少年少女の物語として綴られていく。初恋、そして別れ。戦争は、静かな田舎町にもその影を落として行く。自分がまったく知らない時代の話を、クララはどのように演じたのか。
「撮影当時はまだ11歳だったから、実はほとんど何も考えてなかったの(笑)。ほとんど自分の本能のままに動いたって感じかな。撮影現場に行けば、今と違う美術があって、今と違う建物があって、衣装だって今とは違う。そういう環境が、自分をその気にさせてくれるのにとっても役立ったと思う。それに、今と違ってまだ子供で、男の子っぽいところとか、キャロルに似ている部分もあったから」
 そう言うと、ちょっと恥ずかしそうに、「自分では、今はもっと女性っぽくなってると思ってるから」と、クララは付け足した。
「だいたい、映画の時の髪形は嫌いだったの。すごいショートカットだし、顔も丸いし、今見ると、恥ずかしい(笑)。今はお化粧とかハイヒールとかも好きだし、昔ほどあけっぴろげな性格でもないの。人に対して、自分の心を開くのに、ちょっと時間がかかるようにもなったから」
 つまり、大人になったのだ。そういう意味でも、この映画のクララは貴重だ。不思議な輝きとはかなさと合わせ持つ少女の存在感は、“小さな恋のお話”とはいえ、普遍的なファースト・ラブ・ストーリーとして心に響く。これからどんな女優に成長するか、将来が大いに楽しみだ。


「よく、自分が出た映画の感想を求められるけど、冷静な感想なんて、3年たった今でも言えない。見るたびに自分が出ているシーンが気になって、もうちょっとああすればよかった、この場面は、もっとこう考えればよかったって、そういう思いだけが出てくるから。母親の仕事の関係で、小さい頃から映画関係の人に囲まれて育ったせいかもしれないけど、いろんな人が映画の話をするのを聞きながら、一日一日が変化のある映画の仕事につきたいとずっと思ってた。映画を見に行っては、いつも主演女優になりきってたわ。でも、本当に女優になりたいと思ったのは、ペネロペ・クルスの映画を見たのがきっかけ。ペネロペのように、国際的に活躍しながらも、ちゃんと自分で作品を選んでいけるような女優になりたい」


 この映画には、オーディションで選ばれて出演したクララ。最初の選考基準は、ブルーの目に金髪の少女というものだった。そこに黒い瞳に黒髪のクララが、無理を承知で応募し、みごと主役の座をさらってしまった。その夢を追いかけるチャレンジ精神には脱帽。もちろん、「スペインに帰ったら、月曜日から学校なの」と、残念そうに話す普通の14歳の一面もある。スペインといえば、サッカー選手人気がすごいはずだと思い、アイドルは誰かと聞いてみた。「女の子はみんなベッカムがいいと騒いでいるけど、私はあまり興味はないの。知っている選手といえば、フィーゴ、ラウル、カシージャス、ジダンも人気だけど…」と、すべてレアル・マドリードの選手の名前ばかり。どうやら本当にサッカーに興味はなさそうだ。好きなものは、「やっぱり映画!」。初めての日本のお土産は、「お母さんに着物を買ってあげたい」と、良き娘の顔ものぞかせた。

『キャロルの初恋』…スペイン人の母とアメリカ人の父を持つ12歳のキャロルは、母の故郷であるスペインにやってきた。しかし母は病に倒れ、父は義勇軍として戦地に行ったきり。腕白な少年トミーチェとの淡い恋、厳格な叔母との生活。しかし人民戦線派は反乱軍に降伏。独裁者による過酷な弾圧が迫っていた…。
監督:イマノル・ウリベ 出演:クララ・ラゴ、フアン・ホセバジェスタ、アルバロ・デ・ルナ他 東京テアトル、ポニー・キャニオン配給/1時間44分/シブヤ・シネマ・ソサエティにて公開中
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