
vol.189
20周年ファイナル!
NEXT STAGEへ向けて走り出す
TOKYO HEADLINE KIKKAWA EDITION
2月1日。デビュー記念の日に発売される21周年へ向けたシングル『狂った太陽』は、心にしみるミディアムバラードだ。「根底は愛を描きつつも、20年の軌跡と、今後の自分の姿勢を言葉として盛り込んでおきたいと思った」と、この特別な作品について吉川は話してくれた。
かつてボブ・ディランは「答えは風の中にある」と歌った。今回吉川は、この曲でそれを「自分なりにダイレクトに表現してみようと思った」と、語っている。
作家の高村薫さんと対談した際、「あなたはずっとさすらっていく人ね」と言われたと吉川は笑う。鮮烈なデビューから20年。いつも自分自身であるために、吉川は闘い続けてきた。極めて権威的なものへの反抗も、デリケートな部分で深く傷付いたこともあるという。広い肩幅に大きな身体、それと相反する無邪気な笑顔の吉川は、圧倒的に太陽のような男である。しかし、明るさで見えない炎の陰には、燃え消えた思いもある。
「無念を全部取り払うなんて無理であって、どれを捨てて、どれをあえて自分の胸に共存させて生きていくか。それも含めて自分だから。俺はこれからも、よくも悪くも等身大の自分を出していきたいと、今、すごく思ってますね」
とはいっても、背中が寒くちゃ寂しいぜ、という吉川の声が聞こえてくる。愛を歌う時、闘う男は、自分に向けられた深い愛情に心を溶かす。それは声援であり、応援であり、誰かの特別な愛かもしれない。「それでも心に愛と夢を」。吉川がいつも口にしている言葉だ。
21周年に向かうジャイアント・ステップは年を重ねてなお軽やかだ。ステージで蹴り続けるシンバルはさらに高くなる。「いつも喉が渇いたやつでいたい」と、吉川は言う。
「かつおぶしなんか、あんなからからになって、色もどす黒くなって、はじめて美味しくなる。喉が渇いて、水分欲しいのに、もっと乾けって酷使されて、かちんかちんになって、初めて水を与えられた時にすごい旨味を出すじゃないですか。人間も同じようなことかなと。でも、もうちょっとかっこいい例えがないのかね。ダメだな、俺も(笑)」
今年8月18日、吉川晃司は40歳になる。改めて聞いてみたい。彼にとって、人生で大切なことは何なのか───。(答えは一番下に)
“遠くを見ていた少年”は今。
吉川、ブルーリボン賞にノミネート
1984年、田舎から上京してきた演劇志望の青年を中心に描かれた若者たちの青春群像、『すかんぴんウォーク』でスクリーンにデビューした吉川。この作品で演じた民川裕司は、その後『ユー・ガッタ・チャンス』『テイク・イット・イージー』という三部作に登場。実際の吉川とリンクするように、民川は人気絶頂のアイドルスターになり、悩み、旅に出ながら自分を見つめ直していく。この三部作で脚本を書いた丸山昇一氏は、ある雑誌に寄せた文章で、当時の吉川を「遠くを見ていた」と表現した。87年には、日伊合作映画『シャタラー』に出演。2000年、三池崇史監督の『漂流街』では、孤高の男・伏見を演じ、三池監督との出会いが、『伏見JET』という副産物を生む。この『伏見JET』は、その後吉川のPVに3度登場。いまだそのストーリーは完結していない。翌2001年にも三池監督の『天国から来た男たち』に出演。そして2004年、高村薫原作の『レディ・ジョーカー』で半田という刑事を演じ、吉川はブルーリボン賞助演男優賞にノミネートされた。『レディ・ジョーカー』で監督を努めたのは平山秀幸。『ユー・ガッタ・チャンス』時代、大森一樹の助監督だった平山は、吉川との再会を何より喜んだ。デビュー当時の吉川を見つめていた丸山昇一氏は、20年を経て吉川に再会した際、外見は変化しても、視線だけは変わらない吉川を確認。相変わらず「遠くを見ていた」と表現している。役者としての次回作は、2005年冬公開予定の『大停電の夜に』。
出所したての元ヤクザ、銀次。
映画『大停電の夜に』撮影快調!
クリスマスの夜、東京に大停電が起こり、街は闇に包まれる─。その夜に繰り広げられるさまざまな人間模様を描く『大停電の夜に』の撮影が快調に進んでいる。吉川が演じるのは、出所したての元ヤクザ、銀次。源孝志監督は、「ステージ上だけではなく、バラエティーに出ている素の吉川さんを見て、その体の大きさを含めた存在感や率直な感じが、寺島しのぶさん演じる礼子を包み込む銀次役にピッタリだと思い、お願いしました」と、吉川起用の理由を語っている。豊川悦司、田口トモロヲ、原田知世、宇津井健など、総勢14名におよぶアンサンブルキャストで描かれる今年の日本映画界最大の話題作。撮影監督を努めるのは、フランス映画界で活躍し、『将校たちの部屋』でセザール賞最優秀撮影賞を受賞した永田鉄男。初の日本映画を手がける光と影の魔術師は、吉川について、「一歩間違えると危険な役柄になる銀次を、吉川さんは、その内面から滲み出る温かさで見事に演じています」と語っている。公開は2005年冬の予定だ。
歌って踊る駅長出現!
「次の電車は……止まりません!」。粋な駅長がそうアナウンスしたかと思うと、いきなり歌って踊り出す。この踊り方には見覚えがある。ヤツが歌っているのは、COMPLEXのヒット曲『恋をとめないで』の替え歌だ。電車も歌も止まらなければ、パフォーマンスも止まらない。この謎の駅長を演じたのは、もちろん吉川晃司。『WONDA』のCMで、その「止まらないうまさ」を全身で表現した。「20周年は、シャレをやりたいよね」。そう言っていた吉川らしいCM。たった15秒なんてもったいない! ちなみに撮影は、京王線のとある駅でした。
三池×吉川が生んだ最大の謎・伏見JET
※吉川晃司20周年にあたり、三池崇監督にお話をうかがった。
『パンドーラ』『The Gundogs』『恋のジェリーフィッシュ』のPVを手がけた三池崇史監督が、吉川を通して生み出した最大の謎が、伏見JETというキャラクターだ。ある時、謎のフィルムが発見された。そこに写っていたのは、刀を片手に鮮やかに斬りまくる浪人、伏見JET。そして伏見JETは大阪万博時代の日本にも現れる。一体ヤツは何者だ。その後、伏見JETはクラゲからの進化物体だったことが明かされるが…。果たして伏見JETの謎が明かされることはあるのか?
「彼を見ていて、ずっとこの人、満たされないんじゃないかって……。そういう飢えた、独特の匂いを吉川晃司からは感じていて。だから一緒にやる時はフィリピンに連れていったり(『天国から来た男たち』)、京都、太秦のスタッフと斬り合いをさせたりした(PV『パンドーラ』)。「暴れる場所は、ここにもありますよ」ってね。『伏見JET』も、吉川晃司がああいう性格、生き方をしていなければ生まれなかった。もし、これを作品にするなら、100億円ぐらいはバジェットがないとね。吉川とやったことで誕生した副産物だから、大事にしていかないと。タランティーノから「また『キル・ビル』を作るから貸して」と言われればOKだけど(笑)、例えばそれぐらいの奇跡が起こらなければ、やる必要はないものなんです。今回は武道館のライブビデオを監督することになったんだけど、言われたことは『こうして』じゃなくて『よろしく』。……映画やるよりも大変だね(笑)」。映画界の奇才、三池監督をも困惑させた吉川。武道館のライブが楽しみだ。
男がホレる吉川の秘密
※吉川晃司20周年にあたり、カメラマン中野正貴氏にお話をうかがった。
「撮りたくなる、いい顔してるよね」とつぶやくのは、カメラマンの中野正貴さん。
「深みのあるいい顔だ。特に横顔がいいんだよ。男がにじみ出てるね」。彼もまた吉川晃司の魅力に取り付かれた男の1人だ。
「ミュージシャンと役者をやってられるのはパーソナリティーがちゃんとあるってことなんだろう。芯がないとうすっぺらくなっちゃうから。両方をいったりきたりする中で、いい経験、いい時間を過ごしてきたんだろうね。いい感じになってるよ」
今、映画『大停電の夜に』のスチールカメラマンを担当する中野さん。ついつい吉川のシーンでのカットも増えてしまう。
「ニセモノだったらね、男が見て魅力を感じることはない。年上の男から見ても、いいヤツって思える男だよ、吉川は」
(なかの・まさたか…カメラマン。写真集『TOKYO NOBODY』が話題に。現在、映画『大停電の夜に』のスチールを担当、同時に“まっくらな東京”の写真集の準備も進めているとかいないとか)
KIKKAWA's FAVORITE
※吉川晃司20周年にあたり、漫画家ナカタニ・D氏にお話をうかがった。
「吉川晃司は、変身しない本郷猛だ」と、漫画家のナカタニD.氏は話す。自他ともに認める大の吉川ファンで、現在は吉川のプライベートマガジン『K2』に漫画も連載中(下)。吉川も愛用する15周年と20周年記念のマグカップの絵柄も手がけた。「最初のヒーローはウルトラマン、それが仮面ライダーになった後、巨大になったり、仲間が増えたりするヒーローはおかしいと思った。そんな時にテレビで吉川晃司を見て、彼こそまさに変身しない本郷猛だと思ったんです。その後、吉川さんは闘い続ける人だと知り、おかげで僕も、媚びない大人になれたと思ってます」。現在、『週刊ビッグコミックスピリッツ』に『DAWN』を連載中。コミック第2巻が発売されたばかりだ。
若さより魅力的な39歳の『モニカ』
※吉川晃司20周年にあたり、 小松壮一郎監督にお話をうかがった。
先秋、デビュー曲『モニカ』のセルフカヴァーPVを作った折、僕は39歳となった現在の彼の姿にこの20年間のライブ映像をコラージュしようと、これまでのすべての映像をあらためて見直した。時代をわし掴みにしていた印象の10代や20代の奔放な姿。それは時代の中でとても眩かった。しかしそれよりも僕を嬉しがらせたのは、ここ近年の彼の姿の方が断然エネルギッシュで魅力的だったことだ。結果、完成したPVの映像は分量的に近年の方が圧倒的に多くなってしまった。僕は確信した―「彼はまだまだ進化を続けているんだ」。今、『モニカ』でデビューした頃の吉川晃司はいない。そこには40代を前にしても『夢と瞬間』に向かって戦う男がいる。僕はその行方を、同世代として誇りを持って見つめている。
小松壮一郎 映画監督 映画『ハートブレイカー』でデビュー。吉川のさまざまな音楽映像を数多く手がける。ストリートダンス・ドキュメント『∞〜MUGEN〜』が近日発売。
素顔はシャイ??
※吉川晃司20周年にあたり、 カメラマン細野晋司氏にコメントをいただいた。
吉川晃司のスタジオにかかる一枚の大きな写真。ノーメイクの吉川が静かに歌う姿。これはカメラマン細野晋司さんが撮影した一枚だ。「初めて撮った時、すっと立ってるだけでも人間性が伝わるような写真が取れたらな、って思いましたね」と細野さん。「自然な流れの中でいい表情を拾いたい」と、細野さんは吉川とスタジオで2人きりの撮影。そこで捉えた、『BOY'S LIFE』を歌うノーメイクの吉川晃司の姿は、ステージでは見ることのできない素顔がにじみ出る。「シャイで、なおかつホットな人。年々どんどん男らしくなっていくので、そういうモノは撮りたいですね」
(ほその・しんじ…カメラマン)
吉川は珍獣? 心ザワザワな魅力
※吉川晃司20周年にあたり、 ノンフィクション・ライター小松成美氏にお話をうかがった。
吉川の周りにいる数少ない女性の一人、ノンフィクションライターの小松成美さんは言う。「同世代でデビュー当時から見てましたけど、初めて見たときは“ウワッ”って思いました。怖いっていうか、珍獣を見てる感じ」。今までにないスタイルで歌う彼の姿に、その思いとは裏腹に惹きつけられたという。心が「ザワザワとした」。
「プラトニックな恋愛に似た感情がありましたし、今では職業的な、物書きとしての興味と、その両方があります。吉川さんには、人の心をワクワクさせるところがあるんですよね。慶応文久年間に生まれていたら、きっと維新の志士になってたんだろうな、っていうような」
小松さんは吉川の生きる姿勢にも感銘を受けている。「昔から、ずっと同じ場所に立ち続けてステップアウトしていない、叫び続けている姿が神々しくすらある。私、尊敬できる人の最後に必ず吉川晃司の名前を挙げてます。“坂本竜馬、ドストエフスキー、吉川晃司”って」(笑)
小松さんが出演したラジオ『吉川晃司 KNOCKIN' ON NEXT DOOR』近日放送予定(こまつ・なるみ…ノンフィクション・ライター。スポーツを中心に活躍中。主な著作に『中田語録』『イチロー・オン・イチロー』など)
KIKKAWA's FAVORITE
吉川が音楽製作に使っているスタジオの壁には、大きな切り絵作品が飾られている。製作者は吉川晃司。「まあ、あんまりいい出来じゃないけど」と言うが、絵は好きなことのひとつだ。「子供の頃に絵を習ってたからね。ちょいちょいって、描いたり作ったりするのはもともと好きなの」と吉川。絵の隣に並ぶのはサングラスのコレクション。レイバンの特注品もある。デビュー当時から歌番組などにサングラスをかけて出演したわけは、「アイドルみたいに上手に話せなかったから。俺に話しかけないでくれーっていう意思表示のつもりだったんだけどね」
吉川晃司、音楽の冒険 NHK 夢・音楽館
テレビ出演が相次ぐ吉川晃司。中でも見どころなのが、NHKの『夢・音楽館』(2/3放映予定)。ジャズバイオリニスト・寺井尚子さんとのコラボレーションで『Innocent Sky』『LA VIE EN ROSE』を熱唱した。共演した寺井尚子さんは「『モニカ』の印象が強かったので、声が成長しているのにびっくり! 特に低音がステキ。吉川さんは歌心があるので“歌の会話”が弾んで楽しいひと時でした」とコメント。イッセー尾形さんも交えたトークにも期待。
[これからの出演情報(予定)]2/2 NTV『ズームインSUPER』/2/3 NHK『夢・音楽館』/2/3 TBS『うたばん』/2/4 NTV『ザ!情報ツウ』
[放映日未定]フジテレビ『HEY! HEY! HEY!』/ANB『Matthew's Best Hit TV』
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寺井尚子『dreamdancing』
TOCJ-68064 2800円(税込)
BEST BEST BEST 2/23 Release!
1984年〜2005年までの吉川晃司を網羅したベスト盤が、吉川が在籍した、ユニバーサルミュージック、東芝EMI、徳間ジャパンの合同企画として、2月23日に3枚同時にリリースされる(各2500円/税込み)。この絵柄は、1月29日より渋谷区役所通りに面したパルコの壁面アートとして製作開始!
《こたえ》
ずっと喉が渇いているヤツでいたい。ずっと怒っているヤツでいたい。
しかるに 上善は水の如し! これもまたしかり。〜吉川晃司〜