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前回公演『悪漢』より(写真は3枚とも芝田文乃) |

vol.193
5年の沈黙を破って伝説の劇団が帰ってきた
3月18〜21日
風煉ダンス
中野光座に降臨
『風煉ダンス』という劇団がある。筑波大学芸術専門学群出身の笠原真志と林周一を中心に1990年に旗揚げされ、90年代の演劇シーンを文字通り駆け抜けていった“集団”だ。当初はこまばアゴラ劇場、ウエストエンドスタジオといった小規模の劇場で芝居を打っていたが、1993年、以降風煉の劇中音楽を担当することになる不破大輔との出会いが彼らの方向性を大きく変える。
作家の林は言う。「渋さ知らズの六本木でのライブを見て、これは面白いな〜と印象に残っていた。渋さの生音で“江戸もの”をやったら面白いだろうな〜と漠然と思っていたら、笠原が“面白い。やろう”と」
渋さ知らズの生演奏を劇中歌に使用し、演劇と音楽が本気のぶつかり合いを見せた法政大学学生会館大ホールでの『犬姫』は各所で高い評価を受けた。以降、広い空間をダイナミックに、かつアーティスティックに活用するスタイルに転換する。1994年、博多で行われた日本デザイン会議に招待された彼らは『スカラベ』で今度は野外に飛び出す。警固公園いっぱいに、1週間の公演のために約1カ月かけて野外ステージを制作。招待公演ということもあり入場無料だったが、東京からわざわざこの舞台を見るために多くの人が博多に足を運んだ。
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作家・林周一 |
「犬姫とスカラベで達してしまった。スカラベ後は3カ月社会復帰できなかった。あまりに強烈すぎた。1年間なにも手がつかなかった」
麻薬のような2本の公演以降、林と笠原は刺激を求めてさまよう。1年後上演された『ドリンドリン』は評判はよかったものの、2人には不完全燃焼に終わった。その後、旗揚げからの美術ブレーンが抜けたこともあり、一度目の沈黙――3年の空白を迎える。
しかし、1999年には横浜ジャズフェスティバルのカテゴリーのなかで、またもや特設野外ステージを構築。戦国スペクタクル『悪漢』を上演。そこから二度目の――長い、実に長い5年の沈黙に入る。そして3月、久々に風煉ダンスが演劇シーンに戻ってくる。
林はさらりと言う。「30代は山田まさし一座(林、笠原を中心とした別ユニット)を中心に活動していた。ちょっと風煉の活動がおろそかになっていたんで、これから頑張ろうかなと思う。去年から風煉は1年に1回くらいはやりたいなって考え出していた。今回は原点に返っての公演。来年の5月くらいには東京でどこか場所を探して野外でやりたい」
5年経って、役者の顔触れは変わった。しかし、もともと『風煉ダンス』の看板は林と笠原が背負ってきたものなのだから、そんなことはあまり関係ないのかもしれない。ただし今回も“役者”というカテゴリーにとらわれない魅力的な出演者たちが揃った。「当たり前の話なんだけど、そのとき一緒にやってくれる人、そのとき面白いと思っている人間としかできない」
今回は中野光座という廃映画館での公演。「戦争の不条理」を近未来の「犬の惑星」を舞台にスラップスティックな笑いと歌と踊りで送る驚愕の悪夢ファンタジー。美術は「戦乱の泥沼」と「狂人の妄想した秘宝館」を可視化し、密度の濃い空間作りを念頭に置いているという。
舞台には、本物の泥沼を設け戦乱の風景を表現。その泥沼から現れる体を失い漂泊する泥家族、跳梁跋扈するひめゆり決死隊、マクベスの魔女の如き三婆など謎のキャラクター達が舞台狭しと暴れまわる。
破天荒な風煉の世界は健在だ。
渋さ知らズが劇中音楽を担当
知る人ぞ知る、いや今や知らぬ者はいないといっても過言ではない「渋さ知らズ」。昨年のフジロックでは「実質的には大トリじゃん」という声もあがるほど、日本を代表する存在となった。
『犬姫』以降の風煉ダンスの音楽を担当している渋さ。「犬姫のテーマ」をはじめ公演のために書き下ろした曲もたくさんある。
今回は劇場のキャパの都合と林の「原点に返る」という試みから渋さによる生演奏は残念ながら実現しないが、今まで同様、ダンドリストの不破大輔(写真)が劇中音楽を担当する。
不破は今回の風煉の復活に向け、林にこの言葉を送った。
「日の出は世界を待っている」
幕が上がって音が鳴る。風煉と渋さの世界観が絶妙にクロスし、温度の高い空間がまた広がる。
◆Live Information
渋さ知らズオーケストラは3月12日に上野水上音楽堂にて『命どぅ宝、平和世コンサート』に出演。
【開演予定】16時(渋さ知らズは16時から出演予定)
【料金】前売り3000円(琉球センターとチケットぴあで発売中)、当日3500円(15時から発売)
【問い合わせ】琉球センター(03-5974-1333=月曜休み)
【他の出演バンド】寿、ソウルフラワーモノノケサミット
※その他のライブ日程は「渋さ知らズ」ホームページ
http://www3.alpha-net.ne.jp/users/poipoi/index/top.html
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