
vol.202
パペットアニメ界、震撼!!
超壮大なスケール、超緻密なアートワーク。
『緑玉紳士』インタビュー
監督 栗田やすお
これはもう、単なるパペット・アニメーションではない! 長編映画も引けをとらないインパクトとエンターテインメント性を放つ、気鋭のクリエイター栗田やすお監督作品第一作『緑玉紳士』。
「大学のころに「ウォレスとグルミット」に出会い “なんじゃ、こりゃ!”と衝撃を受けまして。それで本作の“緑玉”のパイロット版になった作品を製作し始めたんですよ」
そのパイロット版が、あるプロデューサーの目に留まり企画がスタートするのだがキャラクター制作はもちろん、画コンテ、撮影、アフレコまでを自身でこなした。
「映像の勉強は、それまで一切していなかったのでずいぶん拙いものだったと思いますよ。それで、ヒッチコックの対談集などを読んで、カメラワークなどを勉強しましたね。ぼくのやっているのはコマ撮りのアニメーションですけど、ヒッチコックは、勉強になるんですよ。コマ撮りのアニメより、むしろ実写映画のほうが参考になるんですよね」
アイテムの精巧さ、物語の背景の壮大さ、舞台のデザインのユニークさは特筆すべきものがある。
「物語は表と裏の世界が登場しますが、表の世界はヒッチコックのどこをとっても上品な雰囲気を、裏の世界では、おどろおどろしさだけでなくキューブリックの『シャイニング』のような空気感を出したかったですね」
そして企画スタートから、4年半。1日15秒を撮影するのがやっとという過酷な作業に耐え続けねばならない。撮影の苦労は想像を絶するものだったようだ。
「コマ撮りって、本当にうつになりやすいんですよ(笑)。集中力が他の作業よりはるかに必要とされるんですよね。プロの人でも、1日仕事したら翌日休むものなんです。それを365日続けたわけです。なのに、知り合いには“お前は好きなことをしているのに何を言っているんだ”と、分かってもらえない(笑)。こっちはもう、死ぬか生きるか、という状況だったんですけどね。死ぬなら作っている最中に死のう、って(笑)」
軟らかい動きに、一見粘土を使ったクレイ・アニメかと思ったのだが…。
「正確にはクレイではなく、パペットになります。わざと、クレイっぽく見えるような色の塗り方をしてるんですよ。クレイを使ったのは、ほんの少しだけ。針金で芯を作り、そこに樹脂で肉付けしていくんです。型を作り、針金を入れ、ウレタンゴムを流し込む。コレ、結構難しいんですよ(笑)。主人公の顔は40個前後、ジョーカーなら30個ぐらいバリエーションのあるものを作るわけです」
美術系の高校で“モノづくり”を経験してきたためか、大学に上がった彼は、ある違和感を感じたという。
「僕は人間的には幼いんですけど、モノをつくる、自己を表現するとうことに関しては、周りがずいぶんと幼く見えましたね」
その言葉こそ、まさに本作を作り上げた人物のもの。これまでのイメージを打ち破る型破りなスケールと完成度を持った“栗田ワールド”、必見だ!