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vol.206
(2005.05/30-06/05)
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Movie vol.206

インタビュー
アカデミー4冠!『ミリオンダラー・ベイビー』

ヒラリー・スワンク
モーガン・フリーマン
公開記念緊急来日

『誰もが共感できる、本当に素晴らしいストリ−よ』
…ヒラリー
『こんなにいい脚本にあたるのは、本当にまれなことだね』
…モーガン

 作品に対する期待の高さは、目に見える形で表れた。記者会見場には溢れるほどの取材陣が詰めかけ、ヒラリー・スワンクとモーガン・フリーマンが現れると拍手が巻き起こり、しばらく鳴りやむことはなかった。記者会見でこれだけの拍手が巻き起こるのは極めてまれである。初来日のヒラリーが、日本に来れたことが本当にうれしいと発言したのに続き、4度目の来日となるモーガンは、「おはようございます」と流暢な日本語で挨拶した。

 『ミリオンダラー・ベイビー』は、ボクシングの老トレーナー(クリント・イーストウッド)と、30歳を過ぎてボクサーを目指すひとりの女性(ヒラリー・スワンク)、そして物語の語り部となるトレーナーの友達(モーガン・フリーマン)を通し、生きること、闘うこと、人との絆、命の尊さなどを描いて見せた珠玉の作品だ。

 アカデミー賞4部門受賞の快挙について聞かれると、ヒラリーは「これは心に訴える作品で、人間をリアルに描いた普遍的な物語だから評価されたのだと思うわ」と答えた。「私もまったく同じ意見だよ」と、モーガン。そして、「クリントが監督だから取れたことも大きいわね!」とヒラリーが付け足した。監督としてのイーストウッドについて聞かれたふたりは、「とにかく素晴らしい」と絶賛。「クリントは普通の監督のように、大声を出して“アクション!”なんて言わないんだ。いつも静かな物言いで、“やりたいようにやってくれ”“ストップだ”というように話すから、現場にいてもいつ始まっていつ終わったの分からないくらいだよ」。イーストウッドの話し方を真似て話すモーガン。その話し方があまりにそっくりだったので、会場は大きな笑いに包まれた。

 記者会見場からインタビュールームに場所を移し、さらに話しを続けた。

 ふたりが初めて見たお互いの作品は、モーガンが『ボーイズ・ドント・クライ』(この作品でヒラリーは最初のアカデミー主演女優賞を受賞している)。一方のヒラリーは「『ドライビング・ミス・デイジー』を見てから、さらに遡ってモーガンの作品を見た」そうだ。共に「素晴らしい役者」と感じていたふたりは、今回の共演でもお互いへの賛辞を惜しまない。途中、ヒラリーの腕に傷がついているのを見つけたモ−ガンが、手を取って「どうしたの?」と聞くと、「最近撮っていた作品で怪我しちゃったのよ」と言いながら、「モーガンってやさしいでしょ」とヒラリー。「いつも人を気遣ってくれるの。私も撮影中にモーガンの腕に触ってたけど、それは、彼の才能がうつるようにって祈ってたからなのよ(笑)」。

 この作品で3人が演じた役柄には、ひとつの共通点がある。それぞれが、それまでの人生の中で自分の大切なものを失っているという点だ。それは愛であったり、未来であったり、生きる糧であったりする。3人は欠けたものを補いながら再び『生きる』ことを始めるが、思いもよらない過酷な運命へと導かれていく。

 イーストウッドとモーガンとの共演は夢だったと語るヒラリーは、作品のもうひとつの主役は「脚本」だと言い切る。
 「最初に脚本を読んだ時、私はこのマギーという女性にとてもシンパシーを感じた。実際私も同じような境遇にいて、女優になる夢を持って頑張ってきたから。そしてこの作品は、私だけでなく、誰もが共鳴できる本当に素晴らしいストーリーだと思ったの。クリントとモーガンが出演すると聞いたのはその後。こんなに素晴らしいことはないと思ったわ」。脚本に対しては、モーガンも同意見のようだ。「いつもたくさんの脚本を読むが、こんなにいい本にあたるのは非常にまれなケースなんだ。これは読んだとたんに引き込まれてしまったよ。だから、完成した作品を見た時も驚きはなかったね。撮影中にヒラリーの素晴らしさを見ていたから、作品はそれが具現化しただけ。絶対においしいだろうと期待していた食事が、食べてみて、まさにおいしいと感じたような気持ちだったよ」。

 アカデミ−賞受賞という話題がなくても、人生のどこかで出会っておきたい、心打たれる一本。ひとつひとつのシーン、語られる言葉の余韻が、胸にこびりついて離れない。吹き替えなしで撮影されたヒラリーのボクシングシーンもみごと。イーストウッド監督はこの映画を「シンプルなラブストーリーだ」と語っている。

『ミリオンダラー・ベイビー』
監督・主演:クリント・イーストウッド 出演:ヒラリー・スワンク、モーガン・フリーマン他 ムービーアイ、松竹共同配給/2時間13分/丸の内ピカデリー1、新宿ジョイシネマ他にて公開中 http://www.md-baby.jp/
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