
vol.210
インタビュー
吉田幸治
「有名な選手が男としてどれだけ強いのか、肌で感じてみたい」
とんでもない男が、総合格闘技の世界に足を踏み入れた。
吉田幸治が歩んできた格闘人生は柔道、そしてプロボクシング。「打・投・極」のトータル能力が問われる総合格闘技において、彼のキャリアはまさにうってつけといえる。しかも両競技とも日本のトップレベルを経験。吉田の「強さ」への欲求は、いかにして新しいベクトルにたどり着いたのか。
「柔道界から総合格闘技にチャレンジしている選手たちを見ていて、やってみたいなぁと思っていたんです。具体的に転向を意識したのは、今年に入ってからです」
そして吉田が「プロ格闘家」として選んだのは、誕生したばかりの「HERO'S」だった。
「格闘技界の中でも、一番陽の当たる舞台だと思ったからです。注目されている選手もたくさん出場しているので、男として自分がどれだけやれるのか試したい」
参戦発表の記者会見が行われる前日、吉田は東海大学卒業後も親交のある柔道アトランタ五輪金メダリスト・中村兼三に総合デビューを報告したという。
「彼は現在イギリスに留学しているので、電話で話をしました。『暴れてこい、頑張ってこいよ』と激励してもらいました」
デビュー戦を迎えるにあたり、ボクシングは北澤ジム、寝技は阿部裕幸(AACC)、大山俊護らと練習を進める。適正としては申し分ない吉田だが、初体験の総合格闘技テクニックには、戸惑いもあったという。
「まずは裸で寝技をやることですね。これは柔道にない部分ですから、最初は戸惑いました。あとは足関節。これも逃げ方を教わって、徐々に慣れてきた状態です。もちろん、逆に手ごたえを感じている部分もあります。それは寝技になった時、自分の得意なパンチを生かせるということ。まだまだ練習を始めたばかりの状態ですが、実際にパンチが当たったらいけるという感触はすでに持っています」
吉田に用意されたのは、デビュー戦としては厳しすぎる相手・グレイシー一族。中でも最強の柔術テクニックを持つといわれる、アブダビ王者ホイラーと対戦する。
「やはり勝負は立ち技ですね。ただ寝技になった状態でも、チャンスが来たら打撃で仕留めたい。相手の土俵に入るのではなく、あくまで自分の土俵で勝負をしていきたいと思っています」
会見の時から「ホイラーをブッ倒す」と熱く語っていた吉田。その闘志はそのまま、試合でも血の気の多いファイトを目指す。
「どんなことをしても勝ちたいとは思いますけど、判定を狙ったギリギリの試合は、お客さんがしらけるだけだと思うのでやりたくない。勝つなら豪快に、打撃で勝ちたい。最終的には殺(や)るか殺られるかの試合をしたいと思っています」
ホイラー戦で勝利を収めるだけでも、世間を揺るがすビッグニュースである。しかし、行われるのは世界最強を決めるトーナメント。大みそかまでの4試合、持ち前の勢いで一気に突き進むつもりだ。
「勝ち上がったら宇野選手とかKID選手とか、日本人の有名な選手たちとやってみたいですね。理由は、みんなどれだけ強いのか、肌で感じてみたいから。男として、どのぐらい強いのか興味があります。相手に向かっていく気持ちは、誰にも負けない。7月6日は大暴れして面白い試合をしたいと思っているので、皆さん応援してください!」
(取材&文:本紙・小池龍之)
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1974年、9月27日生まれ。所属フリー。小学校から柔道を始め、高校時代には国体で団体優勝。名門・東海大学に入学し、1年先輩のアトランタ五輪金メダリスト・中村兼三とともに柔道技に磨きをかける。卒業後はプロボクサーを目指し、01年には全日本スーパーライト級新人王に輝く。167センチ、65キロ。
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