
vol.213
インタビュー
リピート再生したいニューアルバム『空創クリップ』完成
スキマスイッチ
大橋卓弥と常田真太郎によるユニット、スキマスイッチがとてつもないスピードで人気上昇中だ。これまでに名曲『奏(かなで)』を筆頭に、ポップな『全力少年』などヒットチューンを飛ばし、そして先日リリースされたダークなバラード『雨待ち風』もヘビーローテーション中だ。何か大きなものが動き出した感のある彼らに話を聞いた。
“セカンドアルバム”らしいものを作りたいと思ったんですよ
街を歩いているときに、ふと足を止めたくなる曲に出会うことが時々ある。騒音に近いほど、あらゆるジャンルの曲が流れているにぎやかな街のなかで、体の中にじわっと入り込んでくる曲。スキマスイッチの『雨待ち風』はそんな曲だ。きれいなピアノに合わせて、やわらかな声で歌い上げるのは、去っていった恋人を思う男心。彼らの曲にはなぜかこの類の曲が多い。
「もはや、スキマスイッチの色ですね(笑)。スキマスイッチ君というか、スキマスイッチという人格が完成されてきてますね」(大橋)
スキマスイッチは、タイプの違うソングライターの2つの才能が作用しあい、いい結果を生み出しているユニットだ。芸術家肌の大橋とプロデューサー気質の強い常田、その関係はどこか右脳と左脳に似ている。
「僕は仕事が欲しかった。音楽をやりたかったし、その仕組みにも興味があったし。それで、僕に足りないものは何だろうって考えたときに、歌と声だった。それなら大橋くんと組むしかない。その他は僕がやればいいって思ったんです」(常田)
大橋の声に惚れこんだ常田は、売り込みに走った。事務所に気にいってもらった時、大橋には「組むことになったから」と告げた。
「今考えれば一緒にやってよかったと思いますけど、これで失敗してたら恨んでますね(笑)。(常田の)第一印象は良くなかったし。ライブを見に行ったとき、『これでお金取るんだなあ』って思いましたから」と、大橋は笑う。
どちらが欠けても今はなかった。美メロ、泣きメロ、共感を呼ぶリリック、そしてひねりのある作品。すべて2人だったから出来上がったものだ。そして今、こうしてたくさんの人を楽しませている。
20日にはセカンドアルバム『空創クリップ』をリリースする。「何かが変わった」というシングル『全力少年』のようなアッパーチューンあり、エモーショナルなバラードあり、一筋縄ではいかない曲もあって、あらゆる可能性のスイッチを押しまくっている作品だ。有名プレーヤーやGRAPEVINEが名を連ねるこのアルバムのコンセプトは1つ。「セカンドアルバムらしいものを作りたい」
「自分の好きなアーティストを聞いてると、セカンドアルバムって内容がバラけてる感じがするんですよ。勝手なイメージなんですけど、ファーストってよく分からなくて手探りの状態で思い描いていたことをやる。そうして分かったことを生かそうとするセカンドって混沌としちゃうんですよ。でも、それが良かったりして、5枚目、6枚目ってなったときに立ち返って聞くことができるんで、スキマスイッチでもそれができればいい、と。デビューしてから一番広がるところだとも思うんで」(常田)
「僕個人としては、その時に歌いたい歌を11曲集めたって感じが強いですね。最初からコンセプトありきではなかったですから」(大橋)
『空創クリップ』は、恋人と同じベッドで目覚めた朝を歌う『君に告げる』から始まる。大橋のボーカルから始まる短い曲だが、幸福感にあふれている。
「リピートで聞いてもらえるとうれしいなあと思って作ったところがあるんですよ。このアルバムは『雨待ち風』が最後の曲なんですが、それがアウトロが長い。それで、短めにイントロを、と。最初は12曲だったんですよ。でも、それだとリピートしてもらえなそうで11曲にしたぐらいですから」(常田)
本作で、バラードもさることながら、キラリと光るのが『フィクション』つまらない毎日を送っている銀行員が幸せのカギを使って金庫を開けようとする。
「本当は銀行強盗じゃなくて愚痴を歌っている曲だったんです。友達に銀行員がいて、彼と電話をしてたら愚痴ばっかり言ってて(笑)。僕はそれを歌にして。アルバムに入れることになって詞を再考してたら、エスカレートしちゃったというか…。タイトルも言い訳できてるんじゃないかと思って『フィクション』にしたんです」 (大橋)
「僕らがやりたいことのなかにギミックっていうのがあるんですよ。これはその色が強く出た曲でしょうね。幸せなメロディーに悲しいリリックを載せたり、サウンドや言葉だったりで遊ぶそういう要素は持っていたい」(常田)
硬軟、そしてユーモアのセンスをバランスよく配置したこのアルバムを持ち、秋には全国ツアーに出る。ライブでは、普段は見られない大橋のハジけっぷりも拝めるという。最近、男性ファンが増えたという2人。新しい観客の前で、どんなステージを見せてくれるのだろう。
(本紙・酒井紫野)
『空創クリップ』
『全力少年』『雨待ち風』などのヒットシングルを含むセカンドアルバム。w-inds.に楽曲提供した『キレイダ』、GRAPEVINEとの共演『さみしくとも明日を待つ』のアルバム・ヴァージョンなど11曲を収録している。 7月20日(水)発売。初回生産限定盤[CD+DVD]3360円。通常盤3059円。
|