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vol.216
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Movie vol.216

インタビュー
第1回監督作品『七人の弔』

ダンカン

この映画に、共感しないでくださいね〜!

 初めに浮かんだのは、黒澤明の名作『七人の侍』をもじったタイトルだったとか。「一文字変えるだけで、何か良いのはないかなと、あ、い、う、え、お…ってやっていって(笑)、“と”…“弔い”。いい響きだな、悲しい別れという意味だけでなく、送り出してあげるというようなイメージがある。じゃ、これでいいや、と」

 まさか、本作でシビアな社会問題を扱ったのは、パロディーから生まれたタイトルを使いたかったためだったりして…。

「7人出すなら子どもがいいな。親子といえば今、世の中で虐待問題が起こっているな。それならこんな話が考えられるなとね。“虐待”と“臓器売買”というのは、あくまでオマケのようなもの。それがこの映画のテーマではないんです。それに僕は作品で子どもを殺めることはしないしね。だから作っているこっちはあっけらかんとしているんだけど…(笑)。自分は普通だと思っていても、実はちょっとおかしかったりするんじゃないの、という疑問がこの映画のテーマなんです。物語に登場する親たちも近所にいますよ、いくらでも。石投げりゃ当たるくらい。ここまで極端じゃないにせよ、いるでしょ、こんな人たち」

 それがまた笑えるような、恐ろしいような…。

「自分は普通だなんて、そうとばかりは限らないよ、ということです。アスベストは静かな時限爆弾だ、なんて言いながら、タバコを吸う。エコロジーについて説教した後5000ccの車で排気ガス撒き散らしながら帰っていく。自分たちは正しく生きてるつもりなんだね。でも、あなたもそれ、おかしくないですか、と」

 脚本を手がけた『生きない』では集団自殺を素材にした。死生観はダンカンの根源的な要素…?

「ないないない(笑)。葬式コントと一緒ですよ。極限的なほうが分かりやすいというだけ。死に対して失礼だけど、死も楽しんでしまう…それが“弔い”。どんな問題を扱っていても、僕の作品から笑いが消えることはないですよ。それに、全部シリアスにしたら、どこかにメッセージ性が入ってくるでしょ。僕の場合、メッセージはないので(笑)。どう考えるかは見る人の自由だと思うから」

 キャストもいい味を出す俳優ばかりがそろった。

「物語の空気をすぐ感じてくれて、自分のポジションをキープしつつ最大限に力を発揮してくれる人たちだろうと思って。本当にその通りでうれしかったですね。彼らのスケジュールもタイミングが合って。まあ、半年くらいは軽く拘束できるような人もいますけど!」

 それが誰かは置いておいて、ダンカン組の一員といえる、温水さんについては。

「一番ヒドイ役ですね。(紙面に)書いておいてください。街で見かけたら石を投げてくれって。くれぐれも後ろから。ま、いい味出してくれるし存在感がありますよね。一番安心できるのは、どう間違っても大スターにはならないということ!」

 ダンカン流の称賛?(しかし石って…)。本作の“主役”子どもたちの演出は?

「演出はしていないんですよ。オーディションで部屋に入ってきたところでインスピレーションで決めていましたから。だからその新鮮さを失わないでいてくれればそれでよかった。第一印象の新鮮さだけが欲しかったから敢えて距離を置いていて、子どもたちとはあまり話をしてないんですよ。別の面が見えちゃうと、撮りたくなってしまうので。それに、川原真琴ちゃんとかは向こうから僕を嫌がっていたしね」

 なんでまた?

「2回くらい泣かせちゃったから。しかも映画のことで泣かせばいいのにねえ(笑)。演技の勉強だから、水木(薫)さんに“どうしたらそんなブサイクな顔ができるんですか”って聞いて来い!って。聞きにいったはいいけど、その後“とんでもないこと聞いちゃって…”って泣いちゃった。水木さんは水木さんでノッてね“そりゃね、生まれが悪いからよ”って(笑)。クランクアップのときも、子どもたちが感動しているのを、また僕が指差して“泣いてやんの、あ〜あ〜”って」

 それじゃイジメっ子じゃないですか…。

「小学校の時から変わらないよ(笑)。でも僕が子どものころは、親にはかなわないなという思いはあったけど、まあ今とあのころじゃ全然時代が違うからね。最近は親が子ども化して、子どもが大人化してる。近づいているどころか、下手すると超えているでしょ。15歳の子が爆弾作るけど、45歳の親はその作り方1つ知らない。だからね、親はちゃんと“お前、なにそれ。オレなんか1トン爆弾作ったぞ”ってくらいにならないとね! そしたら“オヤジにはかなわないや”となる」

 いや、危ないですから。しかし現代日本に、迷える親のどんなに多いことか。

「この映画を見て、“私も親だけどああいうところあるもん”って共感されちゃうのが一番嫌ですね(笑)。逆に、こんなの物語だよね、って言ってもらわないと。もし少しでも思い当たるところがあるなら、子どもとのこと、考え直したほうがよいのでは、と思いますね」

 ダンカン監督の客観的な視線を直視できないあなた…本当に“普通”ですか?


巧みにからんだ伏線、あっと驚くエンディング…。ところが脚本は「2日で書き上げましたよ。20何年、コント作ってきた僕の仕事ですからねえ…」。撮影もノートに描いた絵コンテ通りに完了。これで初監督とは…恐れ入りましたっ。

(本紙・秋吉布由子)

『七人の弔』
監督:ダンカン 出演:渡辺いっけい、高橋ひとみ、いしのようこ、山崎一、温水洋一他 オフィス北野、東京テアトル配給/1時間47分/テアトル新宿他にて8月13日よりロードショー公開 http://www.office-kitano.co.jp/7tomurai/
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