
vol.216
SUMMER FESTIVAL REPORT
大雨洪水警報5回発令でエキサイト!
フジロックフェスティバル‘05
これほど太陽のありがたみを感じた時はなかった。7月29日から3日間にわたって行われたフジロックフェスティバルは、このうえない天候に恵まれたのだ。厚い雲が垂れ下がり、雷鳴が響き渡る。そして、“犬と猫が空から降ってくるような”豪雨。降ってはやみ、やんでは降るという状況で、足場は悪くなる一方。気も滅入る一方かといったら、そんなことはない。のべ12万5000人のオーディエンスは、雷が走れば走るほど、雨が強くなれば強くなるほどエキサイトしたのだ。
フジロックは、豪華な海外アーティストのラインアップが注目されるフェス。だが、今年は少し違っていた。もちろん彼らのパフォーマンスは素晴らしかったが、それ以上に国内アーティストに底力を見せつけられたのだ。象徴的なのは、中日のサンボマスターだった。大きさでは2番目に大きいホワイトステージにメンバーが登場する頃、はるか遠くまでオーディエンスの手が波をうっていた。「あんたたち、外国のバンドが一番だと思ってるんでしょうよ! でも、あんたたちが帰ったとき、今年の一番はサンボマスターだったって思ってほしい!」と山口が高い位置に抱えたギターの弦を奏でながら叫ぶ。セットは、『青春狂騒曲』や『歌声よおこれ』、新曲の『世界はそれを愛と呼ぶんだぜ』などを顔をしわくちゃにしながら歌っていた。ステージから100メートル近く離れたところまで、観客全員が一体となってジャンプする様は圧巻。山口がいうまでもなく、今年の一番はサンボマスターだった。
パレスチナ帰りのソウル・フラワー・ユニオンは、最終日、ようやく晴れ上がった空の下で突き抜けたライブパフォーマンスを披露した。ボーカルの中川は、集まった数え切れないほどの観客数を見るとうれしそうに笑い、強いメッセージのある楽曲を歌った。
“世界で最も聞かれているバンド”コールドプレイは、初日のトリ前でメインのグリーンステージでプレー。演奏前にはステージ前から傾斜のある奥のほうまでぎっしりと人が集まり、人気と注目の程が目に見えた。ボーカルのクリス・マーティンを筆頭に全身黒でまとめた4人のメンバーが現れると苗場中に完成が響き、そして静寂が訪れた。クリスの奏でるピアノの旋律、ギター、ベース、ドラムスが融合した、エモーショナルなサウンドがオーディエンスを支配、会場全体が優しいオーラに包まれた。ブレークのきっかけとなった『Yellow』や、『Clocks』など新旧の楽曲をバランスよくおりまぜながら、さながらクラシックコンサートを思わせる高貴なサウンドを響かせた。ピアノ、ギター、マイクと次々に持ち替えながら、人生よりも大きなスケールで展開するライブ。クリスは、シャツの両脇が破れるほど大きく手を振りながらパフォーマンスしてい。
ダンスアクトは、雷と豪雨に恵まれた。30日、自分の誕生日に登場したファットボーイスリム、最終日のモービーは、パフォーマンス中に雷が闇に走ると、バケツをひっくり返したような雨が降り出した。イギリスとアメリカのパーティーグルに引っ張られ、ステージに集まっていたオーディエンスは雨に打たれながら踊りまくっていた。
3日間の開催期間中に5回の雷洪水警報が発令され、雨とぬかるみに悩まされたフジロックだったが、思い返してみればこれまでのフジロックのなかで一番いい経験ができたような気がする。回を経るごとに成長していくフジロック。来年の10回目のアニバーサリーはさらに素晴らしいものになるだろう。
※フェスティバルの模様は、WOWOWで8月27日(へッドライナー)と9月21〜23日まで放送される。