
vol.220
HERO'S 2005
ミドル級世界最強王者決定トーナメント準決勝
直前INTERVIEW
宇野薫
「ちょっとしたシーンでも、すごいと思われる攻防を見せたい」
いよいよ直前に迫った「HERO'S 2005〜ミドル級世界最強王者決定トーナメント準決勝〜」(7日、有明コロシアム)。優勝候補の宇野薫(和術慧舟會東京本部)は、過酷な大会を前にしても自然体を崩さない。復活、名勝負への期待、輝かしいキャリアの証明――。いくつものテーマを課せられながらも、プリンスは静かにその日を待っていた。
暴れ者、マッチョ、体育会系…。
そんな「格闘家」という言葉からイメージされる“男臭さ”とは無縁のところに、宇野薫はいる。
さわやかなルックスはもちろんのこと、キャッチフレーズからしてひと味違う。「総合格闘技界のプリンス」。もしくは「星の王子様」。
ファッション誌やCMなどの幅広い分野で活躍し、セレクトショップ「UCS」では自身が店主を務める。ここではオリジナルブランドや各種コラボレートアイテム、ドメスティック・ブランドの商品を数多く取り扱い、「宇野薫」の名前がなくても通用するほどのクオリティーの高さを誇っているから驚きだ。
ただし本当に驚くべきことは、“本業”の格闘技で残してきた輝かしいキャリアにある。修斗世界ウェルター級タイトル獲得、UFC挑戦、K-1 MAX参戦・・・。「これまで一人一人、本当にキツい選手、強い選手を選んできたつもりです」と語るように、あえて修羅場に飛び込んでいく姿勢は、「プリンス」の持つ悠々自適なイメージからはほど遠い。
しかし今年に入ってから、宇野はその輝きを封印されている。3月の旗揚げ戦では大会ベストバウトともいえる名勝負を繰り広げながら、試合終了直前にKO負け。続く7月には頚椎捻挫(けいついねんざ)のため欠場し、リングサイドで戦況を見つめる悔しさを味わった。
前回大会は「刺激になりました」と穏やかに語るものの、宇野の心中には期するものがあるはずだ。準々決勝で対戦する所英男は、7月に帝王・ノゲイラを撃破したニューヒーロー。所のデビュー戦(宇野がプロデュースするグラップリング大会「コンテンダーズ」)で、宇野自身がレフェリーを務めた過去もある。
「当時からアグレッシブな姿勢は変わらないし、面白い試合をする選手。やってみなければ分からないけど、かみ合えばいいなと思っています」
すでに通常の練習メニューをこなせるまでに、コンディションは回復。お互いアグレッシブな試合を持ち味とするだけに、単なる勝敗だけでなく「名勝負誕生」への期待度も高い。
「注目度も高い分、ちゃんとした技術が求められていると思っています。ちょっとしたシーンでも、すごいと思われる攻防を見せたい」
観客を沸かせてこそのプロフェッショナル。勝利至上主義に縛られがちな格闘技のフィールドにあって、このスタンスを貫き、そして勝ち続けるのは並大抵の格闘家ができることではない。
「動きのある試合、スピード感があって面白い試合を常に心がけています。ここまで長くやらせてもらえているのは、本当にファンの皆さんのおかげだと思っていますから」
来年は、デビュー10周年。「常に新しい技術を吸収して、進化を続けていきたい」と語る30歳のプリンスは、「リング」ならぬ「ベルト」を目指し、有明の地で帰還の時を迎える。