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vol.227
(2005.10/24-10/31)
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Tokyo culture vol.227

インタビュー
祝デビュー10周年!! 田中知之(Fantastic Plastic Machine)

「FPMである」ということ。

グッドミュージックの裏にFantastic Plastic Machine(FPM)あり。田中知之によるソロ・プロジェクトであるFPMは音楽活動だけではなく多領域で活躍する世界規格のクリエイターである。今年でデビュー10周年を迎え、11月2日に記念パーティーを開催、さらに今冬5枚目のオリジナルアルバムをリリースする。そんな“クラブシーンで最も忙しい男”を直撃。その言葉からは、10年間で積み上げた“FPMであること”の責任感が見え隠れしていた。

「FPMに一番期待しているのは、自分かもしれない」

 テイ・トウワ、ピチカート・ファイヴ、ファットボーイ・スリム、スカパラ、ケツメイシ、浜崎あゆみ…。FPMがこの10年でコラボレーションしたアーティストは、列挙するだけでページが埋まってしまうほど膨大な数に上る。

 この事実が物語るもの、それはすなわちFPM=田中知之が生み出す作品の信頼性の高さである。FPMのフィルターを通したサウンドは洗練され、アーティストを違う角度から光らせる。そんな理想的なコラボレーションを生み出す秘密は、意外にシンプルなところにあった。

「なんでメンバーが1人かというと、僕がいちファンとしてコラボレーションしたい人と仕事ができるから。基本的にはそういう“役得”を前提にしたコラボレーションのために、FPMが誕生したんです」

 1995年といえば、「コラボレーション」という言葉すら浸透していない。一歩先を行ったコンセプトでは苦労もあったはずだが…。 

「不思議な話なんですけど、デビュー前から海外にもコラボレーションができる友達がいたし、1stアルバム(1997年『The Fantastic Plastic Machine』)を作る時も、ベルリンでレーベルをスタートさせたDJに『お前のアルバムうちで出すよ』なんて言ってもらっていたんです。もちろん規模は大きくなかったんですけど、気の合うDJやアーティストが世界各地にいるという実感があったから、特に苦労したっていう感覚はないです」

 当時ラウンジとダンスミュージックを融合させた、FPMの独創性あふれるサウンドはやはり斬新なものだった。その誕生秘話も、彼に言わせればシンプルだ。

「当時は“ラウンジ”という言葉はなかったんですが、そういう音楽とダンスミュージックが一緒になればいいなと思っていたんです。でもそういうレコードが売ってないから、じゃあ自分で作るかと。『こういう音楽が好きな人、ちょっとずついるんじゃないかな』っていうぐらいの単純な気持ちでしたね」

 かくしてFPMのサウンドはクラブシーンを席巻した。しかし「常にフレッシュで、自分をアップデートしていきたい」という思いが彼の音楽をカテゴリーではくくることのできない進化へと導いた。

「ひとつ成し遂げると、“やり方”って分かるじゃないですか。それで次からは楽に生み出せたりするんだけど、最初の達成感を超えるものはないだろうなって。だから“やり方”が分かっちゃったら、違う方法、違うジャンル、違うセンスを求めていきたくなるんです」

 そのストイックさは、新しいサウンドを追求する姿勢だけにとどまらない。平日はスタジオで制作、週末はDJ活動という超多忙な生活パターンを、ここ8〜9年は続けているというから驚きだ。

「やっぱり自分が面白いと感じるからこそ続けられるんでしょうね。もちろん産みの苦しみは伴いますよ。でも、海外にいるアーティストもFPMに期待を持ってくれているといいなと思うし、もしかしたら自分に一番期待しているのは自分かもしれないとも思う。だから『なんとなく海外のトレンドを日本向けにアレンジして出しました』みたいなことは許されない。本当に、出来上がるまでは七転八倒の苦しみですよ。でもスタジオで曲を作っている最中、『ああ、やっとゴールが見えた!』っていう瞬間が訪れるんです。そこが一番、快感ですね」

 現在は5枚目のアルバムを鋭意制作中。「これから怒涛(とう)の日々です」と苦笑するが、まさにレコーディングが佳境を迎える時期に記念パーティーが開催されることになる。

「DJをやるのは日常に組み込まれているような行為だし、制作に没頭してDJの現場をストップするのは僕にとっては決してプラスじゃないんです。それにDJやライブ、VJでとても豪華な方々に出演していただけるので、本当にありがたいと思っています」

 デビュー10周年という節目を経て、来年には不惑を迎える田中知之。だが、彼の音楽にかける情熱は強まるばかりだ。

「ポップミュージックのアイデアや手法は出尽くしたといわれているけど、まだまだエポックメイキングなことはできるはず。それが大きな流れにならなくてもいい。そこに“自分だけが到達できる地平”があるなら、生み出した音楽に自分だけが責任を持てるようなものを作りたいんです」


(本紙・小池龍之)

『Fantastic Plastic Machine 10th Anniversary Party FPM10』
【日時】11月2日(水)22時〜
【会場】ageHa@STUDIO COAST
【DJ】田中知之、小西康陽、須永房緒、MURO、RYOJI(ケツメイシ)、SILVIA and more special guest
【DJ & PERFORMANCE】Benjamin Diamond
【LIVE】金原千恵子 feat. 井出靖 and friends、YOU THE ROCK★
【VJ】teevee graphics
【LASER PERFORMANCE】mixtecs design
【前売料金】4000円
【URL】http://www.ageha.com/ http://www.fpmnet.com
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