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vol.228
(2005.10/31-11/06)
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Movie vol.228

インタビュー
あやしく、美しく、エロティック…究極の江戸川乱歩ワールド!
『乱歩地獄』

成宮寛貴

久しぶりに、本格的に捻じ曲がったヤツを演じました(笑)

 日本の文学史上に怪しくその名を光らせる、異色にして最高の怪奇幻想文学作家・江戸川乱歩。しかし、あなたは知っていただろうか。本当の乱歩は、もっとあやしく、美しく、恐ろしいことを―。怪奇と幻想、倒錯に満ちたディープな乱歩ワールドを、浅野忠信、成宮寛貴、松田龍平という3人の注目男優を主演に描くオムニバス映画『乱歩地獄』。語られる4つの物語のうち、最も“乱歩的”なあやしさと美しさを持つのが、実相寺昭雄監督、成宮寛貴主演の『鏡地獄』だ。

「監督いわく“脳髄を刺激する映画”と。ぴったりですよね。僕は小学生のころに探偵モノのシリーズを読んだ程度で、実は乱歩の世界をよくは知らなかったんです。今回の台本で、人間の持っているカオスや、エロティックさ、ちょっとサディスティックな部分も感じました」

 それもそのはず、何しろ彼が演じる斎 透(いつき とおる)は“ぞっとするほど美しい”容姿をした鏡職人の青年で、その美しさは、やがて彼の常軌を逸脱させていく―という役どころなのだ。

「あまりにもストイックになったために、すべてをそぎ落としていく、そういう間違ったポジティブさというか、ストイックさが、彼の悲しいところですね。鏡が女に対して嫉妬すると思い込み、女性を人と思わずモノのように扱ってしまう。僕はそんな実感がないけど、掘り起こしていくと自分の中にもそんな面があるのかも…という恐怖心も抱いたり。演じているうちに、この気持ちは何となく分かるな、人をモノみたいに扱えたら楽なのに、なんて一瞬思ってしまったり…いや、思わないですけど!(笑)。彼には、現代にも通じるところがあると思うんですよ。若者特有の理由無き反抗というか、ロックな気持ちというか(笑)。自分の中にもそういう気持ちはあるから、彼のことは理解できるんですけどね。ただ、理解はできるけど、想像で芝居するしかないな、と思いました。実感が伴った芝居というより、イメージして作っていく芝居。これが実感を伴ってしまったら自分でも怖いですよ、実感できなくて良かった(笑)」

 劇中では、いつもの穏やかな成宮クンからは想像もできないような、美しくもキワドイ、倒錯的な場面も…。

「よくこういう役を望まれるので、自分でも僕にはハマるんだろうなと思うんですけど(笑)」

 確かに、乱歩作品の持つ倒錯的なあやしさを、見事に作り上げている。彼いわくこのところは、作りこむのではなく余分なものを“引いて”いく芝居に興味が移っていて、本作のような特殊な人物像を作り上げていく芝居は久しぶりだとか。

「『高校教師』以来久しぶりに、本格的に捻じ曲がった哀れな男を演じました(笑)。あれから、自分がどれだけ成長したかを確かめる作業ができて、期末試験みたいな気持ちでしたね。そういう役が似合っている、なんて言われると、自分でもフェアじゃないような気がしていたんですけど…」

 似合っているのではなく、似合うと思わせるほど、巧妙な自然さをもって演じている…おそらくそれが本当ではないだろうか。だが彼は、共演の浅野忠信の“自然さ”にこそ感じるものがあったという。

「浅野さんとは初めて一緒に仕事をしたんですけど、何か違うものを本能的に感じたんです。あまりにもナチュラルな、そしてリアルな芝居をする人で、こちらが役を“作って”いるのが、とても愚かなことをしているような思いにさせられてしまう。ドキッとするような芝居をされる人です。一緒に仕事をして、非常に刺激をを受けました」

 そしてもう1人、実相寺監督。

「(乱歩原作の)『D坂の殺人事件』も、とても素敵でした。僕が真田広之さんの役を演じたい(笑)。実相寺監督とは、もう一度長編でじっくり仕事したいんです。プレッシャーもあったけど、いつもどっしりと見守っていて下さる監督でした。“普通にあなたがお芝居をしてくれれば、そこから僕が良いところだけピックアップするから”と」

 願わくば再び、実相寺×成宮タッグで、ディープな日本映画を見たいもの。

「もし海外に持っていくとしたらやはり日本的な作品で行きたいですね。その1つが三島由紀夫かな。だから『春の雪』も、自分がやりたかった(笑)。妻夫木君にもそう言いました(笑)。乱歩をはじめ、フラストレーションを抱えていたあの時代の作品は、華やかで残酷で、好きですね。それを今、演じるということは、大きな意味があると思っています」

 他ではそうそうお目にかかれない“華やかで残酷”な成宮クン、必見です!


(本紙・秋吉布由子)

『乱歩地獄』
原作:江戸川乱歩 監督:竹内スグル、実相寺昭雄、佐藤寿保、カネコアツシ 出演:浅野忠信、成宮寛貴、松田龍平他 アルバトロス・フィルム配給/2時間14分/シネセゾン渋谷、テアトル新宿にて11月5日よりロードショー公開  http://www.rampojigoku.com R-15
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